ソードアート・オンライン ~より良き未来を目指して~   作:KXkxy

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 大変お待たせしました。書き上がった今話があまりにも救いのない内容に仕上がってしまったので、次話を書いてからまとめて投稿する形にしたため前回更新から時間が空いてしまいました。同時投稿で017も更新するため併せてお楽しみいただければ幸いです。

たいふ様、絹旗様、評価ありがとうございます。



016

 

 気が付くと、見覚えのない場所に倒れていた。薄暗い森の中。周囲を取り囲む、顔の見えない人影たち。怯え切ったユウキランの瞳。

 

 ああ、夢を見ているんだな、と何となく分かった。もう幾年も似たような経験をし、もはや僕にとって慣れ親しんだ感覚となっていた。

 

「ヒュー!こんな下層に今さらイイ獲物なんていないと思ったけど、中々の上玉じゃねえか!なあ隊長、コイツら、す前に少し()()()()ぜ?」

 

 下卑(げび)た声と、それを聞いてますます怯える2人。それを見ても彼らは止まらない。当然か、と自分のどこかで妙に冷静な自分が言う。加害者が被害者を(おもんぱか)る事など、無くて当たり前だ、と。

 

「嫌······嫌だよ、ソウ······!」

「助けて·········。嫌·········嫌ぁっ!?」

 

 涙を流す2人が蹂躙(じゅうりん)されていくのを、『僕』は成す術もなく見ている事しかできない。地に伏せ、何かに縛られたように動けない天野蒼には、自分の命より大切な彼女達を救い出す手段など無かった。出来る事といえば、2人を蹂躙(じゅうりん)している連中を心の底から憎悪(ぞうお)し、睨みつける事くらい。そしてその連中は、その程度で止まってくれるほど優しくも甘くもなかった。

 

 やがて、悲鳴を上げる事すらできなくなった2人が、ナニカの破片となって砕け散る。同時に『僕』の意識も途絶えた。

 


 

 次に目覚めたのは、薄暗い洞窟のような場所。目の前は視界を覆い尽くす程の『赤』に満ちていて、夢だというのにも関わらず『死』の気配が蔓延(まんえん)しているのが僕にも分かった。

 

「クッ······ソォ!」

 

 ヤケクソ気味に声を上げながら、手に持った短剣で目の前の『何か』を斬りつける『僕』。近くにはユウキランもいた筈だけれど、既にその姿は見えなかった。視界左上のHPバーはギリギリでイエローゾーンを保っているから、んでしまったわけではなさそうだ。

 

「シッ!」

 

 とはいえ、安心している訳にはいかない。1対1なら、或いは1対3くらいまでなら間違いなく斬り伏せられるとしてもこの物量に攻められれば無事に切り抜けられる保証はない。一刻も早く2人と合流して············

 

「あっ············」

 

 自分のそれの下に2つ並んだHPバー。そのうちの1つが音もなく消えた。同時にどこかから聞こえる、ガラスが飛び散るような音。そして少しの間を置いて、同じ音が再び聞こえた。残っていたもう1つのHPバーが、消える。

 

「う······そ······」

 

 ショックと悲しさ、2人をした

モンスターと、守れなかった自分への強い怒り、そして何よりも大切な存在を喪った事による絶望。それらが一気に襲い掛かり、手に持った短剣を取り落とし、へたり込んでしまう。急いで立ち上がり、防御なり反撃なりしなければんでしまう。そんな事は分かっていたけれど、体はピクリとも動かなかった。生きる意味、生きる理由を亡くした『天野蒼(あまのあおい)』の人生は、ここで終焉(しゅうえん)を迎えた。

 


 

 次に見えた景色は、大広間としか言えない場所だった。一辺数メートルの立方体型をした、大きな部屋。周りには沢山の人影があり、その全てが正面の、巨大な『何か』を見据えていた。

 

 そして始まる死闘。『何か』がその手に握る獲物を振り回し、回避や防御に失敗した者が次々に戦線を離脱する。誰かが抜けた穴には別の誰かが入り、その誰かが抜ければ元居た誰かが交代する。そんなサイクルを何度繰り返しただろう。気づけば目の前の巨体は見るからに弱ってきていた。

 

「いいぞ!このまま一気に攻めるんだ!」

 

 誰かが叫んだ。それに従って、手に持った相棒を構える。隣ではユウキランも同じように、それぞれの相棒を構えていた。

 

「これで······」

 

 終わりだ、と誰もが思った。見るからに弱り切り、何本もあったHPバーも(ほとん)ど削り切られている。そんな状態で、至近距離から10人以上の剣技(ソードスキル)を耐えきれる筈がない、と。

 

 その考えは半分は正しく、もう半分は間違っていた。確かに、残る僅かなHPかつ隙を晒した状態で、この人数の剣技(ソードスキル)を耐えきるのは、いくら第15層フロアボスでも不可能だ。()()()()()()()()()()()()()()()

 

 剣技(ソードスキル)をクリーンヒットさせた瞬間、攻撃した側のはずの『僕』達が強い衝撃を受けて弾き飛ばされた。そのHPは8割を維持していた状態から、5割を切り、3割を切り1割を切り············

 

 ()()()()()()()()()()()()()()。それは『僕』だけではなく、パーティを組んでいたユウキランも、同じように攻撃した周りのプレイヤーもだった。浮かび上がる『You Are Dead』の無慈悲な文字。それを認識した直後、『僕』の意識は途絶えた。

 

 死を見た。死を見た。死を見た。死を見た。死を見た。十数人にも及ぶ『天野蒼(あまのあおい)』が辿った、悲惨(ひさん)な結末を見せられた。

 

「(もう、やめて············)」

 

 見ているだけで苦しかった。辛かった。今まで見たどの『夢』よりも、1つ1つが苦痛だった。それは(まさ)しく『悪夢』だった。『夢』にはあった僅かばかりの光すら存在しない。見るのが嫌になるほどの苦難。こんな地獄を味わった紺野木綿季と紺野藍子がいたなんて、考えもしなかった。

 

「(ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい············)」

 

 自分でも何に謝っているのか分からない。誰に謝っているのか、何について謝っているのか。何も分からなかった。ただ『ごめんなさい』という言葉だけが、後から後から湧いて出る。そうするうちに、僕は夢の中で意識を手放した。

 

 

 




最初の『悪夢』に関してはR-17.9とかR-15とかのタグを付けるべきでしょうか······?『残酷な描写』タグは多分付けなくても大丈夫なように書いたつもりですが、何分処女作な上ガッツリとバッドエンドを描写するのが初めてなためその辺りの基準が分かりません。「このタグ付けた方がいいんちゃう?」というのがあれば感想等で指摘していただけるとありがたいです。
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