あと、この話から少し原作から外れたオリジナルになります。それでもよければよろしくお願いいたします!
五月が経ち。
前々から噂されていたクラス対抗戦が始まりを迎えた。その余興ともされる最初の試合は、誰しもが盛り上がるような組み合わせであった。
第二アリーナ第一試合、一組代表 織斑一夏 対 二組代表 凰鈴音。事情を知る者からすれば、因縁のある試合だろう。
男のIS操縦者と中国の代表候補生という、期待の多い新入生同士の戦いということもあり、アリーナの観客席はほとんどが沢山の生徒や関係者で溢れていた。それでも足りないようで、通路にすら入れない生徒達はリアルタイムでの鑑賞になる。
『マスター、マスター!イチカとリンちゃん、どっちが勝つのかな!どっちだと思う!?』
「…………さぁな」
観客席の隅の方で、面倒そうに片耳にイヤホンを着けた龍夜が、スマホの中でも元気なラミリアに短く答える。視線すら向けていないが、適当な反応ではないのは分かる。彼女が龍夜にとって単なる創造物ではない、特別な存在であることも。
アリーナ内に降り立ち、互いを見合う二人の姿を確認し、そろそろか、と龍夜はイヤホンを外し、試合に集中することにした。
◇◆◇
試合開始のブザーがなった瞬間。
『
ふうん、と感心したらしい鈴は自らの武器────異形の青竜刀の武装『双天牙月』を容易く手に取り、引き下がる。しかしそのまま後退する事はなく、一夏へと再び斬りかかる。
単なる斬撃。まるでバトンを手に取るようなその動きは、一夏も翻弄されかけていた。一撃、一撃がそれぞれ別方向から放たれる。しかもどれも、振り回した際の遠心力も乗り、その威力は尋常なものではない。
やっと一撃受け止めたところで、鈴が不適に声を投げ掛ける。
「一夏、今謝るなら少しくらい痛め付けるレベルを下げてあげるわよ」
「手加減なんていらねぇよ!全力で来い!」
そんな彼女に対し、一夏はそう言い返す。勢い良く『双天牙月』を弾き返し、反動に従うように後ろへと下がる。距離を取り、何とか打開策を取ろうとするが─────
「甘いッ!」
直後、動きがあった。
鈴の肩部位に存在する
そして、一夏の居た場所が一瞬で消し飛んだ。やはり、と息を飲み込む一夏を他所に、攻撃をしたであろう鈴が信じられないというように眼を見開いていた。
確信したように、一夏が叫んだ。
「『衝撃砲』ッ!『甲龍』の武装の一つだろ!砲身も砲弾も透明で見えないけど、衝撃弾くらいならセンサーで分かる!」
「ッ!?」
驚きながらも、流石は代表候補生。すぐさま『衝撃砲』を繰り出してきた。慌てながらも的確に避ける一夏は、少しの前の記憶を思い出していた。
◇◆◇
「───『衝撃砲』、それが鈴のIS 『
放課後のアリーナ。一夏と訓練することになった龍夜は、ついでに自分で調べた鈴のIS 『甲龍』の情報を一夏に教えていた。
本来であればここまでしてやる理由はなかったが、自分の強さを高めるライバルと見据えた一夏には簡単に負けて貰っては困る。敗北と経験というが、勝利を諦める理由にはならない。
────学食のデザートが、一夏を勝たせようとする理由ではないのだ。断じて。
「砲身も砲弾すらも見えない、だからこそ何時どちらに向けて撃たれたのかも分からない。何より、アレに物理的な砲身は存在しない。空気を圧縮して撃ち出しているからこそ、その気になれば全方位からでも攻撃は出来るだろ」
「………ってことは、無敵だよな?勝てるのか?」
「アレも武装の一つだ。そこまで無敵じゃない。弾は追尾しないから、当たるように工夫して撃ってくる筈だ。お前は、近付かずに距離を置きながら避け続けろ」
衝撃による砲弾。その実体を聞いても強そうではあるが、龍夜からすればそうでもない。ハイパセンサーにある気流や空気から判断し、斜角や距離、射撃の間隔なども計算して回避できる。
だが、一夏はそれほど頭がいい訳でもない。だから龍夜は一夏にもある程度訓練を行った。それは、龍夜が借りたレーザーライフルの狙撃を避けるという簡単なものであった。
しかし、それも最初まで。
次はハイパーセンサーを使用せず、目視で。その次は視界を隠すという無茶振り。
視界を隠して避けるとかは無理だったが、目視で見て避けるのは慣れてきた。これなら飛び道具もある程度は回避できるだろう、そう判断した龍夜は訓練をそこで終わらせた。
スポーツドリンクを飲んで休憩する一夏に、龍夜はふとある事を聞いてみた。
「───一夏」
「おう、何だ?」
「…………鈴と何があった、と聞くのは無粋か」
それだけ言うと、一夏は何も言わなかった。いや、何も言えなかったのか。落ち込んだ空気に、龍夜は大して気にしてすらいなかった。
「まぁいい、俺も興味はない。だが言っておく」
「……………それは」
「アイツ、泣いていたぞ」
「………………分かった」
それだけだった。
先程の暗い雰囲気から一転、覚悟を決めたような様子を見せる。悔いるように口を噛み締める一夏に、龍夜は怪訝そうに眉をひそめる。
彼の様子が変わったことに、疑問を覚えるように。
「………勝てなくなったか?」
「いや、負けられない理由ができた。後、謝らなきゃいけない理由もな」
「そうか」
◇◆◇
「───ッたく!しぶといわね!」
「そりゃぁ!負けたくないからな!」
放たれる透明な弾幕を、何とか避けていく一夏。豪語したものの、これだけの数の攻撃を掻い潜り、鈴を攻撃する暇はない。
だが、このままではジリ貧だ。いくら避ける事が出来ても、それには限界がある。無駄に体力を減らし、呆気なく倒される可能性がある今、一夏が選ぶべき選択肢は一つ。
一か八か、攻撃に転じることであった。
「鈴」
「なによ?」
「本気で行くからな」
雪片を構え、真剣に見つめる。本気で覚悟を決めた一夏の目つきに、鈴は驚き───何だか曖昧な表情を浮かべた。
「な、なによ……そんなこと、当たり前じゃない……。とっ、とにかくっ、格の違いってのを見せてあげるわよ!
鈴が両刃青竜刀をバトンのように回転させ、構え直す。続けて両肩の衝撃砲が放火を放つ────その瞬間に動き出した。
衝撃が砲弾となる直後、空気の変化をハイパーセンサー越しに感じ取った一夏はスラスターを軽く噴かし、自分の行動を予測した形で放たれた衝撃弾を難なく回避する。
そして、今までのように逃げる事はせず、前へと突き進んだ。ただ接近するのではなく、瞬時加速を発動させ、鈴との距離を勢い良く縮めていく。
「うおおおおおッ!!」
加速に身を委ね、雪片を振り上げる。慌てて青竜刀を振り払おうとする鈴だが、一夏の方が僅かに早い。彼女のISを雪片が斬ろうとした─────────が。
「ッ!?」
「な、なんだ!?」
二人が咄嗟に動きを止める。
後少しで決められた一夏も、鈴も動きを止め、反撃もしようとしない。それは試合では有り得ない出来事であり、観客席にざわめきが生じる。
彼等が感じ取ったのは────高エネルギー反応。互いのISとは無関係のそれが、自分達の付近から確認されると同時に。
─────ドオオォォォォォォッッ!!!
という轟音に続き、空から何かが降り注いだ。凄まじい爆発がアリーナ全体へと響き、観客席から悲鳴が生じる。それ程の衝撃であった。
爆心地はすぐ近く。
警戒を緩めることなく駆け寄った一夏は、目の前の光景に言葉を失う。
「……………ウソだろ」
自分達の戦っていたすぐ近く、その地面に大きな穴が空いていた。だが、それはクレーターが直撃としたとか生温いものではない。地面自体が、縦一直線に引き抜かれたように消失しているのだ。
巨大な機械でボーリング調査した、と言い訳しても納得できるような大穴に唖然としていた一夏に、鈴が声を荒らげる。
代表候補生に選ばれたからでもあるのか、彼女が状況を察知するのは誰よりも早かった。
「一夏!真上からの狙撃よ!」
「ま、真上からだって!?しかもアリーナの遮断シールドをぶち破るなんて────」
「それ以上の相手ってことでしょ!」
それだけ言ってた鈴が何も言わずに空を見上げ、両目を見開く。最初は声をかけようとしたが返事はなく、仕方ないと一夏も同じように真上に視線を向ける。
……………何も見えない。
分かるのは、染み渡るように広がる青空────そして、辺りに散乱するように浮く雲の数々。その形は通常であれば見たこともない形であり、先程の攻撃による影響というのは明らかだった。
そして、ハイパーセンサーが作動した瞬間、拡大された視界が何らかの姿を捉える。それを見た一夏の口から、疑問が漏れる。
「なんだ…………あれ?」
一夏が見たのは─────真上から此方を狙う、巨大な異形の存在であった。
◇◆◇
上空。
IS学園の真上に位置する最高度の領域。
その場所を飛ぶ飛行物体は本来ならば、何一つ存在しない。IS学園の真上やすぐ近くを飛行できる飛行機などあってはいけない、そのように厳重なルールも敷かれている程だ。
ならば、今も学園の真上を飛来している物体は、法に反したものであるのは確かだ。翡翠の軌跡を残し、空や雲を切り裂く金属のナニか。
それは、龍────特徴からだとそう呼ぶべきなのだが、全体的にはそう呼べないものだった。
大きさは、十メートル以上。
左右に巨大な鋼の翼を模したそれは、羽としての膜は存在せず、代わりにエネルギーを実体化させたような翡翠の刃を重ねている。
腕や脚、龍として存在するようなパーツはなく、空中を旋回するその巨体はさながら戦闘機であった。その頭部、顔のパーツもない金属のフルフェイスのような部位。
眼の役割をするサーチアイが、遥か下の第二アリーナを捉える。目視では確認できないが、金属の龍は赤外線か何らかの機能により、遮断シールドの貫通を確認した。
『────初撃、命中』
無機質に、結論を述べる。
金属の龍は独り言を口にしている訳ではない。自らの主、この機体を操るマスターへの報告を行っていたのだ。
龍に、思考パターンはない。
ただ単に、マスターからの命令を的確に実行する事だけ。もし命令に逆らうことがあるとすれば、自らの主人を護る事に他ならない。
故に、下された命令を拒絶することもなく、失敗することもない。どんな命令を果たす、『龍』という兵器が製造された理由なのだから。
そして、
『────了解。これより遮断シールドの完全な破壊を開始する。範囲内のIS二機を目標から除外し、攻撃を開始する』
ガコン、と胴体の装甲が移動する。腕の代わりに展開されたのは、巨大な二つの砲身だった。それが、龍と形容しがたい要因の一つであった。
大きさからして戦艦の主砲に匹敵する。実弾も使用しないのか、争点部位は見られない。代わりに、無数のケーブルが装甲の合間から覗いている。
二門の砲身は真下のアリーナへと向けられると────膨大なエネルギーを蓄積させる。そして、砲口から光が瞬いた。
◇◆◇
再び、轟音が連鎖する。
連動するように引き起こされる地震が生徒達の悲鳴と重なり、その悲惨さを物語っていた。
ピット内部でも、その現状は嫌という程見えていた。
「何だ、アレは………」
一つから二つ、三つへと増えた穴。学園上空からの狙撃で作られた大穴を目にした箒が言葉を失う。
アリーナのシールドの全ては打ち砕かれ、今のアリーナに外部からの攻撃を防ぐ事も出来る万能のバリアは存在しない。
「遮断フィールドをいとも簡単に貫通するだと………それにあの威力、一体どれだけ強力な兵装を積んでいる」
上空を旋回する鋼の龍にいち早く気付いた千冬が眼を鋭くさせながら呟く。一見すると落ち着いた様子の千冬だが、警戒は何一つ損なっていない。
むしろ今すぐ対応するべく、端末を起動させ、誰かとの連絡をとろうとする。その動きは迅速で、冷静なのは変わりなかった。
だが、通信相手と繋がるよりも前に────自分を呼ぶ真耶の声を聞き、彼女の元へと歩み寄る。
「どうした」
「アリーナに再びシールドが、レベル4に設定!扉も全てロックされました!」
「………ロックの方の解除を。アリーナなら兎も角、ひとまず生徒を避難させることが優先だ」
「ダメです!システムがハッキングされてます!」
コンソールを操作する真耶や、同じくタブレットを動かす霧山、二人の顔には普通には見えないほどの焦りがあった。突然再起動したシステム自体が、何の意図かアリーナ全体、避難通路すら封鎖を始めたのだ。この現状で観客席に生徒達が閉じ込められたままというのは危険だ。流れ弾が何時受けるか分からない。
そんなピット内部だったが、一瞬で暗転する。外の構成を映し出していた映像システムが強制的に切り替わったらしく、全てが真っ黒な画面へと染まっていく。
「これは───」
「何が、起こっているんだ!?」
ピット内から見学をしていたセシリアと箒がこの自体に困惑する。だが、何も分からないのは箒であり、セシリアは何が起こっているのかはまだしも、誰がこんな事をしたのかはある程度予想できるらしい。
実際、こんなことが起こるとは思いもしなかったが。
『
機械的な合成音声が、静かに響き渡る。
同時に目の前の画面には赤い文字がカチカチカチ、と刻み込まれている。
『
全ての画面に、たった一つのイニシャルが投影される。複数種類の銃と剣。交差する二つの武具に重なるように、見開かれた瞳のマーク。その眼光には「ANAGRAM」と記されている。
「…………アナグラム、一体何故────!?」
その組織について教えられたであろうセシリアが、疑問を漏らす。アナグラム、世間一般ではテロリスト定義された彼等だが、一般人を襲うことはない───それどころか人命を優先させる彼等には世間からの評価も厚い。
その彼等が、何故わざわざIS学園にこんな攻撃をしてくるのか、と。
答えがでない中、全てを理解した千冬が奥歯を噛み締める。砕きかねない程の力を込めながら、彼女は敵意を組織のイニシャルへと向けるしかなかった。
「…………そういう事か、嘗めた真似を」
◇◆◇
「…………流石はジールフッグのハッキングコード、IS学園のシステムを乗っ取ることに成功するなんて流石だな」
『褒め言葉ありがとう、我等がリーダー』
放送室。
混乱に包まれた観客席を静かに見る人影が一つ。耳に装着されたイヤホンとインカムの合体した機器を使い、ジールフッグなる少年と会話をしている。
顔立ちは良く、普通に見ればイケメンと言われるような美形の青年。黒い前髪の一部である白い髪が目立つ…………染めたというよりも、色が抜け落ちたような感じがある。
灰色のロングコートを着込むが、完璧に着ている訳ではなくその下に着た黒いシャツを露にしている。
放送室から周囲の光景を覗き込む青年以外の人間は数人だけいる。先程まで試合の審判とナレーターをしている女子生徒の二人。彼女達は気絶させられたらしく、近くの椅子に寝かされていた。
「これで織斑千冬や教師陣は動けない。少しの間は我々の思い通りに動ける─────そして」
青年は放送室の機器に手を伸ばす。その一つ、巨大なディスプレイに差し込まれたUSBメモリの一つを抜き取ると、ロングコートの内側に仕舞い込む。
インカムを口元へと移動させ、青年は口を開く。
「第一目標、問題なく達成した。『ドラグーン・ストライク・キャノン』は上空で移動中。シールドの破壊を確認。作戦通り、別動隊は今からアリーナへの侵入を開始せよ」
その瞬間、アリーナで更なる動きがあった。
◇◆◇
複数回の狙撃が、アリーナそのものを揺るがす。
遮断シールドの破壊されたアリーナの上空に、凄まじい空気を切り裂きながら飛行艇が踊り出す。ピタリと、その場で停滞した飛行艇の装甲が左右に開く。
その瞬間、五つの影が順番に飛来してきた。地面を揺らし、堂々した着地した四つの異様な影が、砂塵を振り払いゆっくりと体勢を立て直す。
キュイイン、と。機械独特の音は、間接部位を折り曲げた時のものであった。煙の奥から出てきたモノ達の姿が、ようやく露になる。
「……………IS、なのか?」
「いや、違うわ。アレは─────」
四機の兵器。そう呼称べきそれはヒトの形を型どったモノであった。
一際大きな図体。頭部に取り付けられ、此方や周囲を確認するモノアイ。両腕は掘削機のようなドリルと四方に展開されたクロー、そして反対の腕は大型キャノン砲が強引に取り付けられている。全部が同じ武装ではないらしく、両腕に何もない個体や、機関銃やアンカーなどつけている個体もいる。
そして、胴体に負けない程の大きさの肩にはそれぞれ砲門が搭載されていた。これは全ての個体に類似する特徴だ。
「……………まさか、『アルガード』?」
ふと、先に気付いた一夏が呟きを漏らした。
歴史の授業で習ったことがある。『アルガード』、強襲人型無人戦車。戦車として優れた攻守を人型で再現したという、第三次世界大戦で世界を破滅に導いた機械群の一体として区分されていた。
形状も教科書とは違うが、ある程度は類似してる所もある。
「ううん、でも有り得ないわ。あれは国連の兵器じゃない、八神博士が世界を滅ぼすために製造した『破界モデル』。『破界モデル』は国連が廃棄した筈よ、八割はね」
鈴の言う通りであり、一夏もそれに関しては同意だった。アルガードを含む『破界モデル』は多くの街や国を蹂躙した悪魔の兵器。いくら現時点の兵器より強くても、人々の不安故に使用できない。自己防衛や解析のため以外の個体は全て破棄された、それが国連の発表であった。
ならば製造し直したものか、とも思うが………それも難しい。八神博士の製造する兵器の多くは未知の技術を使用されており、十年が過ぎても尚、その技術を解析できずにいるのだ。
初代天災と呼ばれた名は伊達ではない。
兵器に組み込まれた膨大にして未知のシステムはブラックボックスであり、彼が死んだ今、完全な
故に、あの兵器の量産や改造タイプが目の前のいることは有り得ない。それはつまり博士の知識と頭脳を持つものが今の世界にいる、という信じられない可能性すら連想させる。
だが、一夏にも分かる。
あの兵器が狙っているのは逃げることも出来ず閉じ込められた観客席の生徒達であり、ISでも倒せる無人兵器であることだ。
すぐさま近くの一体へと向き直り、雪片を構える。奇襲ならば二人で二体を倒せる。それならば戦闘になっても勝ち目はある。
そう思い、スラスターを噴かそうとした 一夏だったが、
「動かないで、一夏」
スッ、と鈴が腕を前へと出して一夏の行動を制する。突然遮られた一夏は彼女へと問いかける。
「何するんだよ!?アレは倒さなきゃいけないヤツだろ!?早く倒さないと観客席の皆を──────」
「奴等の狙いを見なさい!観客席を狙ってもすぐに攻撃してないでしょ!今すぐ攻撃しないのは準備してるんじゃなくて、私達に見せつけてるの!ここにいる生徒達が人質だって!!」
確かに、言われ見ればそうだった。観客席へ砲口を向けた『アルガード』のモノアイはジッと一夏と鈴に向けられていた。全ての行動を確かめているようであり、何かを待っているようであるが─────────、
「─────その通り。話が早くて助かる」
タン! と地面を擦る足が響く。誰かがアリーナの中央に、アリーナの端へと移動する四つの機体の真ん中に位置する場所に立っているのだ。
それは、一人の青年だった。
青みのがかった長髪、女性のように艶のある髪は肩より下まで伸びている。顔立ちも端正で見るものを安心させるかのような微笑みだが、僅かな敵意が滲み出している。
服装は、白と黒が特徴的なもの。白い軍服に黒いマントを肩に取り付けた、普通では見ない衣装だ。黒いマントの下の腕は僅かにしか見えないが、何か機械らしきものが腕に絡まっているのだけ分かる。
「初めまして、メインゲスト 織斑一夏。そして、サブゲスト 凰鈴音。今回、お会いできて光栄でありますね」
まるで舞台にいる役者のように、壮大な素振りで腰を折り、胸元に手を添え、頭を下げる。少し演技くさいその動きは、一礼しているようであった。
そして、青年は告げる。
自らの名を、自分達が何者なのかを。ある種の宣戦布告の意味を含みながら。
「─────我々は、多国籍連合革命軍 アナグラム。そして私は、最高戦闘員《
『
アナグラム、襲撃開始。
まぁ前々から告知されてたから知ってた()という方が多いでしょうか。
次回もよろしくお願いします。