【悲報】私ちゃん転生したっぽいけどこの世界ってばディストピア臭がぷんぷんストリーム!   作:鬼百合ぴょんぴょん丸

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第一章 フェアリードロップ
第一話 とりま転生したっぽい?


 

 

 

 この世界はおかしい。

 もしくは、私の頭がおかしいのか。

 

 私には生まれつき妙な記憶があった。

 それがいわゆる前世の記憶なのか。輪廻転生した際の不具合なのか、それとも単なる妄想か。

 

 そういった考えが泡沫の如く浮かぶように、私は誰に教えられたわけでもない知識を持ってこの世に生を受けた。

 その記憶にかつての私を示す手掛かりはなく、体験したであろう出来事も全てが無機質な情報でしかなかった。

 

 そんなおかしな記憶を持った私の脳味噌は、この世界をおかしいと断じ続けている。

 例えば、そう。

 

「どしたの? しーちゃん」

 

 絶世の美幼女が私の顔を覗き込む。

 そんな幼女に対して私は「なんでもないよ」と適当に追い払う真似をすると、彼女は何が可笑しいのかきゃっきゃと笑いながら駆けて行った。

 

 その揺れる後髪は染めたわけでもないのに緑に発色しており、辺りを見渡せば赤青茶金銀その他色取り取りの髪色をした美幼女達がわらわらと広場で遊んでいた。

 

 その様子も、何か変だ。

 保育園児程度の年齢の子供など猿みたいな物だと記憶は告げている。

 

 子供とは本来もっと汚くて、やかましくて、本能剥き出しの獣みたいなもの、らしい。

 けれど今目の前で遊ぶ幼女達は、無邪気ではあるものの確かな統率が取れており、そこにはちゃんと理性が存在していた。 

 

 みんな私と同じ妙な記憶持ちなのかと思ったが、どうにも違うっぽい。

 早熟というか、素のスペックが高い気がする。まぁ私が本気を出せばちょちょいのちょいなんだけど、と幼女相手にマウントを取ってみる。悲しみ。

 

 あと全員顔が良い。

 別に冗談ではなく、造形が整っている。幼さからくる丸っこさはあるが、それがより可愛らしさを強調している。

 

 それが一人二人ではなく三十人超ともなれば、平均値が高すぎて逆に誰が誰だか見分けがつかないレベルだ。

 幼い頃可愛いからといって将来美人になるとは限らないらしいが、彼女達を見ていると、どうにも将来を約束されている様にしか見えなかった。 

 

 ちなみに、もれなく私も美幼女だ。

 特別な手入れをせずとも天使の輪っかの浮かぶ銀の髪に紅玉のような瞳、整った顔立ちは美幼女達の中でも中々良い線いってるのではないかと自惚れたりもするが、記憶のせいで審美眼が狂っている可能性が無きにしも非ず。

 

 ロリコンとやらなら、ここが天国だと歓喜するのだろう。地獄に落ちればいいのに。

 そして私はロリコンではないようで、記憶から生じる違和感が強すぎて若干気持ち悪いくらいだった。

 

 私に刻まれた記憶との齟齬。

 幼女しかおらず、男子とやらがいないのも妙だった。

 ちなみに私はショタコンでもない。

 

 思い返せば、そもそも生まれてこの方男という存在を見た覚えがなかった。老いも若きも関係なく。

 やはり変だと記憶は告げる。ち〇ち〇はいずこに。いや、別に見たいわけじゃないが。

 

 ちなみに私が今いる場所は「ようせいじょ」らしい。

 養成所、だろうか? それは果たして何の? ぱっと記憶に引っかかるのは声優だの役者だの、芸能関係の養成所だった。

 なるほど、確かにここの美幼女達なら……いや、ないな。

 

 この施設はぶっちゃけ孤児院とか救護院とか、そういう感じの施設だと思う。

 私を含め、ここにいる子供達の親らしき存在をみた事がない。代わりに監督者のシスターと、お世話をする人形達がいるくらい。

 

 シスターといっても宗教関係のそれではなく、単純に年長者としての意味でシスターというらしい。 

 保母さんというか先生というか、主に私達を見守っている存在であり、私はどうにもこのシスターが苦手で、監督者としてのイメージが強い。

 

 そしてシスターを補助するお世話人形達。

 驚いた事に機械仕掛けの所謂ロボットだった。

 

 丸いフォルムをしたブリキの人形達は、この施設における実務の殆どを熟しており、掃除洗濯調理と私達に必要な細々とした雑事を一手に担ってくれている。

 シスターは基本マジで見守ってるだけなので、私の中では怪しさが爆発している。こわっ近寄らんとこってな感じにもなる。

 

「しーちゃーん! おにごっこするよー!」

 

 違和感を脳内で整理していると、先程とは違う幼女が遊びに誘ってくれた。

 ちなみに「しーちゃん」とは私の事だ。髪が白っぽいからしーちゃん。安直である。

 

 ちなみにここにいる幼女、私を含めて名前がない。その時点で何かやべぇってなもんである。

 まぁそれはそれとして相手を識別するのに不便なので、みんな適当な渾名で呼んでいる。

 余談だが私の他にもシロちゃんやしぃしぃやハクちゃんがいる。キャラ被りが激しい。ハゲじゃないが(激寒ギャグ)。

 

 正直今は考え事をしていたい気分だったが、少し離れた所からシスターが微笑みを浮かべて私を見ている。ふふっ、怖い。

 私は空気を読んで「いーよー!」と幼女達の輪に飛び込むと、がむしゃらに走り回ったのだった。

 

 ふははっ、この私、幼女相手だろうが容赦はせん! だって私も幼女だから!

 

「しーちゃんはやーい!」「つかまらんーっ!」「かこめかこめー!」

「あまいあまい! 速さが違うのだよ速さガー!」

 

 ちなみに今回はタッチしたら鬼が増えていくルールだったのだが、時間制限がなかったせいで最終的に三十五対一になってしまい、最後は捨て身の幼女タックルを喰らって撃沈してしまった。オイオイ物理的に回避できるかよあんなん。ウォール幼女とか容赦なさ杉。

 

 突発的に言語を狂わすミーム汚染された記憶を持っている私だったが、そこそこ現世をエンジョイしていた。  

 恐らく私の心配し過ぎで、多分ここは妖精所とか、そんな感じのメルヘンワールド……だといいなぁと思いました。まる。

 

 私も含めてここの幼女達なんか変だし、記憶にある常識が全然役に立たないし、シスターとかくっそ怪しいけど、今が楽しければまぁまぁ幸せなのだと思う。

 まぁとりあえずの所、怪しいシスターに近寄らなければ何も問題は――。

 

「はい、今日の頑張ったで賞は……鬼ごっこで活躍したしーちゃんです! ぱちぱちぱちー! ご褒美の飴を差し上げますねー!」

「わーい、飴ちゃんらー!」

 

 飴ちゃんには勝てなかったよ……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




 見切り発車なう。
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