【悲報】私ちゃん転生したっぽいけどこの世界ってばディストピア臭がぷんぷんストリーム!   作:鬼百合ぴょんぴょん丸

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第五話 魔法少女ってマ?

 

 

 

 

 私、しーちゃん! 四さいになりました!

 

 毎日幼女達に混ざって遊んでたら、いつの間にか年を越していた。 

 ここにいる幼女達は私含めみんな誕生日不明なので、年初めに一斉に上がる仕組みになってる。

 

 そして特にお祝いとかはなかったです。

 はー、ほんと……はーって感じで萎え萎えしてしまった。

 

 誕生日パーチィーだとかお正月祝いだとか、記憶にあるような素敵イベントが全くないのはすごく残念だった。え、ないの? って素でしょんぼりしちゃったわ。

 

 なので代わりとばかりに、シスターマリーにおねだりしてケーキもどきを作ってみる事にした。

 ちなみにその際、私ちゃん禁断の駄々っ子バーサークモードが発動していた。

 

 やだやだやだ私ちゃんお祝いのお菓子作るの! お祝いイベントしたい! だからみんなのぶん作るの! だからそれっぽい材料ありったけちょーだいちょーだい! ぎゃーす!

 

 というクソガキっぷりを見事に発揮し、シスターマリーをどうにか泣き落とす事に成功したのだ。ゴネ得ゴネ得。

 

 そして調理開始。普段はロボが作業している一画を借りて、レッツクッキングタイム。

 ちゃんと幼女ちゃん用の足場も用意して、適当な布切れでエプロンと頭巾を着用。すると幼妻風幼女の出来上がり。

 

 肝心の材料は主食のパン屑と謎ミルクと飴ちゃんを粉砕して出来た砂糖を用意。とりあえず試作として私ちゃんの分だけ作ってみる。

 初めは超余裕と思っていたのだが、出来上がったのは無残な消し炭だった。なずぇぇ??? 

 

 ……はい、正直お菓子作り舐めてました。

 これちゃんとしたレシピないと私ちゃんじゃムリムリかたつむりだわ。

 

 うろ覚えの記憶だけじゃクッキーもどきですら無謀な挑戦だった。小麦粉固めて焼いたらできると思うじゃん?

 小麦粉はパン屑、繋ぎは謎ミルク、砂糖は飴ちゃん。ほら完璧だと思うじゃん?

 

 けど実際やるとオーブンの温度ってどうすりゃいいの? そういえばなんとかパウダーとかあったよね? 砂糖ってこんな焦げやすかったん!? とか終始やばたにえんなう。

 

 そんなこんなでドタバタしている内にレフェリーストップが入ってしまった。

 後ろで見守っていたシスターに「もー、食べ物で遊んじゃメッですよ?」と叱られてしまった。ぴえん。

 

 そしてシスターがロボに何事かを指示すると、ほんのちょっとで、なんとケーキが出てきた。はえっ???

 もしかしてこの短時間で作った? ロボちゃんちょっと未来の猫型ロボットの親戚だったりせーへん??

 

 というかケーキ。ケーキである。

 お前様、今まで一度も姿見せなかったやん! この世界に生きとったんかワレェ! って滅茶苦茶ビックリした。

 

「ふぁあっ!? ケーキ様おったん!?」

「ふふっ、おったんよー。しーちゃんが作りたかったのってこれ?」

「あい! それです!」

「そっかぁ……うーん、プログラムにない事はほんとは駄目なんだけど。毎日似たようなメニューばっかりじゃ皆も飽きちゃうよね? 今日は特別にこれでしーちゃんのいう、お祝いベントー? にしよっか」

「やったー!」

 

 シスターってば素敵! 抱いて! 

 やっぱマリーちゃんってば女神様やん!

 

 私ちゃんはコメツキバッタの如くマリー姉ちゃんの豊満なお胸にぴょんっとダイブし、幼い体全体で好き好きアピールする。

 今の私に尻尾があったらぶんぶん振ってる。今こそ全力で媚びれ、媚びるのだ! 

 

 そんな私を優しく抱き止めたマリーは、私の耳元でいつものおっとりASMR声で囁いた。

 

「――ところで、しーちゃんはどこで知ったのかな? こういうの」

 

 ヒェッ!?

 私は脊髄反射的に誤魔化そうとする。

 

「ご、ご本で読みました!」

「どんなご本? なんてタイトル? 私の知る限りじゃ、ここでしーちゃんが手に出来るご本の中に『ケーキ』なんて存在は出てこないよ?」

 

 しかしシスターは誤魔化されてくれない。確実に追い込んでくる。

 

 ちょおっ!? 怖いんですけどぉぉぉっ!?

 

 いつもの微笑みが逆に怖かった。

 その確信的な物言いが、私に有無を言わせない。

 

 ふぇぇっ……おしっこチビっちゃいそう。

 

「ふぇぇ、わかんないよぉ……っ」

 

 必殺幼女の真似! うん、いつもと変わらん!

 でも私ちゃんが変な記憶持ちってバレたら、なんか……なんかヤバそう!!(クソザコ語彙)

 

「うーん、別に怒ってるわけじゃないんだよ~? ただ不思議だなって。怖がらせちゃったかなぁ?」

 

 あ、これいける? いけるこれ? 誤魔化せる?

 お目目うるうるいたいけな幼女アッピルで何とかその場を凌ぎたい私。控え目に言ってクズである。

 

 そんな私をマリーはいつもの困ったような笑みで見ると、ぽんぽんと優しく頭を撫でてくれた。

 

「しーちゃんは不思議な子だねぇ」

 

 正直自分でも、私は頭がおかしいと思います。

 

 私がおかしいから世界がおかしく見えるのか、世界がおかしいから私がおかしくなったのか。

 何だか分からないので、本能のまま生きたいと思ってます(思考停止)。

 

「でも案外、しーちゃんみたいな子が【サヘナ】になるのかも知れないね」 

「……サヘナって?」

「この世界を守ってるもの達の中でも、ものすごく強くて、貴い人達の事だよ」

 

 あー、寝る前に読み聞かせしてるアレねアレ。理解した。

 おK把握。つまりサヘナ=魔法少女って事ね!

 

「なら私、魔法少女(サヘナ)になるね!」

 

 レッツぷり☆ゅあ!

 

 私の将来の夢は魔法少女です! なんちって!

 

 

 その後、初めて開催されたお祝いイベントでケーキ様がご降臨されたのだが。

 その純白の御姿に目を焼かれ、その甘美に幼女達が狂乱したのはもはや語るまでもなく。

 

「おぉおおおっ!」「あまぁあああ!」「なんりゃこああぁあ!」「うまし! うまし!」

 

 ――サバトが始まったのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ――後になって思う。

 何の覚悟も、一欠片の信念もなく。

 ただ勢いのままに軽々しく口にしたそれが、どれほどの重さを持っていたのか。

 

 当時の私は、あまりにも愚劣だった。 

 

 

 

 

 

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