異世界艦娘~猫耳摩耶の、チートな冒険~ 作:摩耶様の下僕TNG
長門と潮は転生者同士だから、直接やり取りできる筈なんだけど、その長門が近くに居るあたしに泣き付いて来るって事は、多分、潮の方から念話拒否してる筈。
そ~ゆ~事は神様に頼めってぇ~のっ!面倒くせぇ~っ...。
「取り合えず、どうするっ?使い魔で威嚇して無理矢理止めるっ?」
「そこは普通に呼び止めだろっ?」
瑞鶴~っ、頼むからここで天然炸裂させないでくれ~っ!
「今思ったんだけど、潮さんって、本当に"特級"取ったのかしらっ?」
「「えっ?」」
「何か、索敵見てたら潮さんの反応の追記に急に"LicenseA"て文字が出たから、変だなって思って...何かの間違いかなって思って、お姉ちゃん達のも見たら、"LicenseS"ってなってたから...。」
羽黒の指摘に、直ぐに自分の索敵を見て"やっちまったよ"と気付く。
あたしの索敵でも、確かに潮のライセンス表示はAのままだ。
このタイミングで羽黒の索敵レベルが上がったらしく、ライセンス表示が見れる様になったから良かったが、もし、これがまだ上がってなかったら、あたしも見落としたまま気付かず、潮が"A"のままで、国境を越えてたら大変な事になってた。
「羽黒、ナイス指摘だっ!」
「えへへ~っ。」
「ナイス指摘じゃないわよっ!」
「済まねぇ~っ...。」
羽黒を誉めて誤魔化そうとしたけど、間髪入れずに瑞鶴に怒られた...。
しかし、土壇場になって"不正国境越え"って疑惑が再浮上するとは...。
先行する潮は、あと30分程で国境に辿り着くが、彼女との連絡は、瑞鶴が飛ばした使い魔経由で呼び出してるが返事無し。
そうなると、今から全速力で追っ掛けたとしても、彼女が越える意志が有って停船等を行わなかった場合、その阻止は間に合わない...この場合、反逆又は逃亡罪となり、最悪は越える間際で処刑される。今回の場合、それを出来るのはあたししか居ない...。
『カドマツっ。』
『はい。何時でも、撃てる準備は出来てます。』
『済まないな...味方殺しの道連れにして...。』
『同じ立場に立たされたら、艦長と同じ判断をします...。』
今のあたしに、カドマツのその言葉は有り難かった。もし、潮を沈めた場合、状況がどうであれ、味方殺しのレッテルが付きまとうのは確実。
行動を共にする羽黒と瑞鶴まで、うしろ指を指されるに違いない。それに、彼女達はあたしと違って、この国に残った方が、当ての無い旅をするより良い生活を送れる筈だ...これが現実(処刑を執行)になったら2人と別れよう...。
「もう時間が無いわよっ!」
「使い魔にはまだ手を出させるなよっ!ギリギリで引き返すかも知れないっ!」
潮の越境が現実味をおび、その事に焦る瑞鶴が判断を急かす。
彼女もこう云った状況になったら、やることは一つしか無いと分かってる様だが、その号令を掛けるのは、このチーム(艦隊)のリーダー...つまりあたし。号令を掛ければ、直接実行者で無くても、レッテルは付きまとう。
それなら、手を汚すのはあたし一人で充分だ...。