異世界艦娘~猫耳摩耶の、チートな冒険~ 作:摩耶様の下僕TNG
2体の人型を沈める数分前...。
打ち上げた2本の"鯨の銛"は、あと2~3分で着弾する。
この後キクチが"着弾まで、あと1分"と言いそうな予感だが...。
『勝ったなっ?』
「はっ?」
『ああっ...。』
「えっ!?」
予想外の掛け声に、二人を見る。
キクチは、サングラスと付け髭をはやした姿で、司令部の司令官が座る椅子に座り、口元を隠す様な仕草でテーブルの上で手を組んでいる。
カドマツは、白髪のかつらを被り、手を後ろに組みながら直立している...どっかの特務機関のお偉いさんかよっ...。
「お前ら、その格好は何っ?」
『いや~何となく...。』
『こっちの方が面白いかと...。』
「あのなぁ~っ...。」
この2人のおバカな茶番に一瞬頭を抱える間に、2本の銛は各々2体の黒い人型に命中し、確実に沈める...あれっ?こいつらもしかしてっ?
「2人共、その格好は確実だったからかっ?」
『『イエス・マムっ!』』
ドヤ顔で答える事から、2人はかなりの自信だったんだろう...それなら、むしろ"良いぞっ!もっとやれっ!"...そう意味合いを込めながら、2人に親指を突き立てる。
戦闘が終了した後、あたしは漁船が停泊する海域へ向かうが、ここからが問題だ。
さっきの戦闘を見るからに、この世界でのあたしの戦闘力はかなり高いレベルなのでは?と云う疑問が生まれていた。
何故なら、戦闘終了後に漁船乗組員のリーダーらしい人物が、通信機越しに"凄いなっ!あんな化け物を簡単に倒すとはっ!普通じゃあり得ないぞっ!"と、興奮しながら言っていたからだ...これ、まずいのではっ?
今のあたしの状態から、漁船と合流すれば、この世界の情報は手に入れやすいが、その後で、お約束のパターンで、善からぬ奴らがあたしの力を欲して面倒な事が起こって、それに巻き込まれる可能性がある...いや、確実になるだろうから、第二の人生を自由に生きたいあたしからすれば、それは避けたい。
かといって、ここから去ったとして、今度は別の問題が発生する。
それは、この世界の情報や食料や飲料等の補給、戦闘中にあたし自身が負傷したり、艤装が壊れた場合の治療や修理等だ。
弾薬や艤装が稼働する為の燃料媒体は、魔法の源である"MP"と云われるものを消費するんだけど、これに関しては、あたしの特殊スキルの一つ"MP高速回復"で直ぐに回復するから特に問題無いけど、それ以外は回復はしないらしい...。
そんな事から、全く当ての無い旅を続けるのは、今の食料等の備蓄量から逆算すると、精々30日が限界だろう。
んっ?待てよ?30日なら、どっかの漁港とかで上陸して、情報収集してからでも、上手くすれば何とかなるんじゃっ?
「カドマツ、やっぱっ、連絡妖精さんを回収してズラかるぞっ!」
『えっ?』
「いや、合流したら後々面倒な事になりそうだから。」
『いや~今からでは無理です。』
「えっ?何でっ?」
『もう、目と鼻の先です。』
カドマツに言われ、前方を見ると例の漁船が見える距離まで来ていた事に気付く。
当初、漁船と合流する予定でいたから、合流海域までは楽しようと思い、補助魔法の一つである"自動航行"を使ってた。
目的地を定めれば、寝ながらでも勝手に目的地まで向かえると云う素晴らしい魔法で、索敵魔法とリンク出来るから、寝てる間に敵が現れても直ぐに分かる優れものだ。
途中から合流するか迷った時に、それを解除するのをすっかり忘れてた...。