異世界艦娘~猫耳摩耶の、チートな冒険~ 作:摩耶様の下僕TNG
開始から5分後、索敵ギリギリの場所に武蔵の反応を捉えた。
「み~つけた~っ!」
あたしより索敵魔法の範囲が狭い武蔵は、あたしを見付けれずにいるから、ニヤニヤせずにはいられない。
「さ~て、どう料理してやろうかっ?」
そう喜びながら、補助魔法の一つ"隠密"を発動させる。これは、自分が相手の索敵魔法に引っかからない魔法。後から知ったんだけど、この魔法を使えるのあまり居ないらしく、艦娘だと"川内"っていう軽巡の娘だけらしい。
『気付かれずに背後まで近付いたとして、主砲で不意討ち攻撃して倒せるかどうか?あの装甲ですから多分...。』
左肩に立つカドマツは、主砲では流石に無理だと言う。
「あ~確かになぁ~っ...。」
彼の言う通り、戦艦...それも超弩級の装甲を貫くにはあたしでも難儀するだろう。
ちょっと落胆する。
「そうなると、残るのは...。」
右肩に立つキクチの意見を聞こうと彼を見ると、彼は眼鏡拭きで眼鏡のレンズを拭いてる最中だったが、あたしに気付くと拭くのを止める。
『艦長っ...。』
そう言って眼鏡をかけ直し、あたしの方に身体を向き直す。因みに"艦長"とはあたしに対する呼び名で、他の艦娘の妖精さんもそう呼ぶ者が多いらしい。
何時もよりも真面目な顔をするキクチは、『"石斧"による、汚物共の焼却を具申します。』と、真面目な顔つきで言い出す..."汚物共"と言ったが、これ、何か有ったなっ?
確かに"石斧"を使えば大抵の相手は消滅するが、流石に超弩級戦艦と呼ばれる相手、果たして上手く行くかどうかっ...。
「駄目だった場合は?」
『2発目を喰らわせましょう。幾ら超弩級戦艦とは云え、2発も喰らえば沈む筈です。』
「2発か...。」
流石に初っぱなから、あたしの必殺技と言っても過言じゃない大技を2回も使うのは躊躇するけど、勝たなきゃあたしの自由は無いから、出し惜しみしてる場合じゃないな...。
「よしっ、直ぐに準備っ!」
意を決っして指示を出すと、2人は顔をニタ~としながら"イエス、マムっ!"と答える。
指示を出した後、着弾後の観測の為に使い魔を召喚、武蔵の方へ向かわせる。向かわせると言っても、武蔵の姿自体は濃い霧で確認出来ない上に、石斧が炸裂した時の余波対策の為に安全空域で監視させる。そして、着弾後に確認した時の状況次第で2発目を使う段取り。あたしとしては、やっぱり一発で決めたいのが本音だ。
『前部"垂直発射坑"解放。』
艤装内部に有る"CIC(戦闘指揮所)"と云う場所から、キクチがCIC内の妖精さんに指示を出す。"垂直発射坑"とは、あたしの艤装に装備されている水中用と長距離用魔法に使う媒体が入っている箱の事。箱とは言っても実際は、発射坑の蓋が付いている上部しか見ることが出来ない。
因みに、あたしの艤装なんだけど、普段はあたしの名前の元となってる"まや型"って云う軍艦自体の左舷側を、背中に付ける様に背負ってるんだけど、戦闘時には艦首に装備されている主砲と垂直発射坑との間が分離、主砲部分はあたしの右脇腹側に沿うように折れ曲がり、主砲が取り出せるようになる等、他にも所々変形して使いやすいようにアレンジされている。
箱自体は2つ有るんだけど、艦首側に納められてるのが"前部"。格納庫の様な四角い箱の上に納められてるのが"後部"と呼んでる。
『前部垂直発射坑、解放。』
指示を受けた妖精さんが復唱、その後直ぐに坑を覆う四角い蓋が垂直に上がる。それ自体は背中に背負ってるから、その光景を実際に見ることは出来ないけど、垂直発射坑の蓋が開くのは感じ取れていた。
あたしが"○○"と唱えれば直ぐに発動するんだけど、今回は、初弾は自分達に行わせて欲しいとキクチ達が懇願する。理由を聞くと、彼等も武蔵の艤装妖精達と揉めたらしい。さっき"汚物共"と言ったのはそれが理由なのね...それならばと、初弾は彼等に任せたのだ。
『60、所定の空域に到着っ!』
カドマツの報告を聞き、キクチに"石斧"発射(魔法だから発動だけど)の合図を送る。
『石斧、発射っ!』
その合図の後、発射坑から"鯨の銛"よりも少し長い、光を纏った槍が打ち上げられ、武蔵が居る方角へと飛翔を始める...。