ハイスクールDxDの原作記憶はほぼ完全に消えてしまい、この世界に来てから改めて知った事しかもう私には分からないが…対照的にクレイモアの原作記憶はしっかりとある…その上で私からはっきり言えるのは…
デネブの剣に関して特別これと言って言及出来る物は何も無い、という事だ…
ただ…強いのは間違い無い…そうでなければあの北の戦乱で生き残る事は無かった…あの時点で組織からは切られていた為、死を偽装し、身を隠す事が出来無ければ結局生き残る事は出来無い…と言う状況を加味してもだ…それは間違い無い。
逆に言えば…こいつが振るう剣がどの様な物か分からない為、私が勝つ手は何も浮かばないと言える…
「…考え事か?随分余裕じゃないか。」
「…ふん、何処かの脳筋と違って…私は頭脳派なんだよ。」
何時の間にか、何か突破口は無いかと思考に耽っている内に完全にデネブに懐に入られ、首を狙って下から振り上げられた剣を身体を後ろに逸らし、剣を持ってない左手を地面に着けて逆立ちし、そこからバク転に移行し後ろに逃げる…デネブは二刀流だ…受けるのは不味い…咄嗟の判断とは言え、思わず自分のやった事を褒めてやりたくすらなる…
「…中々…器用なやり方で逃げる物だな。」
最も逆立ち状態で振り上げた足がデネブの顎にでもヒットしてくれれば百点満点と言う所だが、残念ながらそう上手くは行かないらしい…あ…とか考えてたら着地を少しミスった…右脛を地面に着ける…幸い、デネブは先の場所から動いていないのでしくじったのを誤魔化す為、さっさと立ち上がる…
「…何だ…追わないのか?一応挑発したつもりだが…」
「一々意味の無い事でキレるのは止めたのさ。」
冷静さも兼ね備えてる、と。こいつの二刀流は読みづらいし、間違い無くヘレン以上の強敵だ…寧ろ奴の技は一撃必殺で、本来の使い手ジーンより汎用性が高いとは言え、結局誰かの援護が無ければほぼ使えない上、躱そうとは思えば躱せない事も無いしな…
「お前…正直ヘレンのお守りをしない方が強いんじゃないか?」
「…あいつと組んで長い、やり易いのは確かだ。」
私の質問に答えていない…ま、ほとんど答えは確定してるし、正直実際に答えてもらったほうが私の絶望感が増すのだが…
「悪いが休ませる気は無い、畳み掛けさせて貰う…!」
「くっ…!」
「苦戦してるわね、あの子。」
「あいつの剣は我流で、教科書通りの基本を極めてる相手には元々相性が悪いからな…当然の結果だよ。」
今日はあまり体調が良くないが、正直デネブの戦いには興味があったのでこうしてオフィーリアに無理を言って私は試合を見に来た…
「…何それ…それって私が弱い「そうは言ってないさ」じゃあ何よ?」
そうやって横から私の方に口を尖らせるオフィーリアを見て、その程度の抗議で済むんだから本当に穏やかになった物だと感じる。
「お前の様な特徴のある剣技はな、初見で相対すると確かにキツいかも知れないが…第三者目線で見ると自ずと攻略法は見えて来るし、何より…お前結局一度目であいつを始末しなかっただろ?初見じゃなければ尚、対応策も出来て来る…最もあの時は単なる偶然だった様だがな。」
「…二度目だから破られたのは分かるけど…第三者目線?」
「あいつは観測世界から来てるだろ?」
「あー…そう言えばそうね…」
「もっと言えば…私がお前を破れたのもそれが理由だ、あいつの中にお前の剣についての記憶があったのと、私がやる前にあいつは勝ってるんだ…いくら戦い方が違うからと言って負ける道理は無い。」
「…」
「ん?どうした?」
黙りこくったオフィーリアを不思議に思い、声をかけたら逆隣から服の袖を引っ張られた。
「何だ、黒歌?」
「あのねテレーズ…あんたがオフィーリアに勝ったのって普通に初見の時でしょ?」
「そうだが…さっきも言った通り、あいつと共有した記憶があるし、あいつが勝てたんだから別に私が勝てても…」
「あんた…あいつと戦い方違うんでしょ?逆に聞くけどテレサと同じ様に戦ってはいないって事よね…?」
「そうなるが…それが?」
「普通それで勝てないわよ…あいつの中にいる間イメージトレーニングでもしてたならまだしも…あんたずっとテレサの中で眠ってたんでしょ?それならいきなりやって勝つ方が可笑しいと思う…」
「そう、なのか…?」
周りを見れば観客席に座るリアスたちや、サーゼクスにグレイフィアまでもがコクコクと一斉に頷きを返して来る…何だ?そんなに可笑しいか?
「…それぐらい条件が整ってて勝てないなら、クレイモアなどやれんさ…」
何となくいたたまれなくなって…苦し紛れにそんな事を口にしてみれば…
「絶対、そんな事無い…」
…と、オフィーリアから小声だが…強めの否定が返って来た…そんなに可笑しいか?……分からん…もしや、私の代より妖魔や覚醒者が弱かったのだろうか…?
私の中にそんな疑問が湧いて来ていた…