「ま~た派手にやられたもんだな…」
「ホント、ボロボロね…」
私は今、観客席の狭い通路の床の上にて正座させられている…全く…そろそろ発言させて貰おうか…
「私は一応勝ったんだが…何でこんな目に遭わされてるんだ…?」
「アレが勝ったとお前は胸を張って言えるのか?」
私はテレーズから顔ごと目を逸らす…テレーズの隣にいたオフィーリアが立ち上がり、私の頭を掴…って痛!?こんな事の為だけに妖力解放するな!?分かった!ちゃんと向くから止めろ!?
「で?どうなんだ?」
「そうだな、アレを勝利だとは言えないだろうな…」
「そもそも何でそんなにボロボロになってるかは自分で分かってるのか?」
「私がデネブの剣を見切れなかった「違う」何?」
「あんたももう分かってるでしょうけど…デネブの剣は私たちが最初に習う剣を実戦用に昇華させた物…二刀流でもそれは変わらないわ。だから必ず何処から振って来ても最後は必ず急所を狙って来る…あんたもそれが分かったから最後の連撃を止められたんでしょう?」
「そうだな「そこだ」ん?」
「何が来るかわかってるのに何であんな無茶な体勢で止めなきゃならん?」
「アレしか思い浮かばなかったが…他に何かあったか?」
そう言うと二人揃って溜め息を吐いた…何だ、一体?
「左は胴を狙いに来るのは分かっていただろう?ならば切り落とせば良かった筈だ…如何に再生の早いデネブと言えど、既に必殺の体勢に入っているなら左を落とせばお前は手が空いた筈だ。」
「そうなれば首に来る右は剣で止められた筈ね。そしてあんたはしなくても良い無茶な体勢で剣を止めた。」
「…止められたんだから良いだろう…それにその後の膝があったからデネブが降参した訳で「あんな体勢から膝入れて大した威力が出る筈無いだろうが。デネブがお前の狂ったやり方に引いて試合を止めたのがまだ分からないか?」……」
私はこちらを遠巻きに見るヘレンとデネブの方を見た…
「いやさ…あたしもデネブは模擬戦にしてはやり過ぎかなって思わなくはなかったけど…さすがにアレは無いと思うぜ?」
「…お前もそう思うか…?」
「…そうだな…私としては…いや、この場は何も言わないでおこう…一応誤解の無い様に言っておくが、私は負けたと思ったから止めたんだ、それだけは言っておく。」
「ま、何にしても少しは反省する事だな…取り敢えず家族には謝った方が良いぞ?」
「私たちは言いたい事は大体言ったから良いわ…後は黒歌たちね…ホント、この場にクレアやアーシア…それから小猫を呼んでないのがまだ救いかしら?」
「分かったよ…」
「ま、それなりに見苦しい所は見せたが、試合そのものは満足したって事で良いのか?」
「あたしはもう当分良いよ…あんたと1体1じゃ勝てる気はしないし。」
「デネブはどうだ?」
「私も当分良い…あんな手で止められる辺り、まだ自分が甘いと痛感したしな…しばらくは大人しくしているさ。」
「…そうか。ま、あの程度が所詮、現状の私の底だ…ただお前たちに一つ朗報だ。」
「「何だ?」」
「ここにいるオフィーリアとテレーズ…二人は私より強いぞ。」
「は?」
「また勝手な事を…」
悪いが私は根に持つ方でな…戦った直後の私を正座させて説教したんだ…それだけの実力はあると証明して貰おうか…
「まず、オフィーリア…こいつは嘗てのNo.4…しかもぽっと出の私と違って正式なクレイモア…向こうでクレアに負けてこそいるが、こちらに着いて経験を積んだ…その後やり合った私に一度負けてこそいるが、そこから更に研鑽を積んでいる…間違い無く今の私よりも強い…」
「だから勝手な事をペラペラ宣うの止めてくれない?」
「そうは言うが、二人の戦いを見て火が着いただろう?内容はまぁ…お粗末だったかも知れないが…」
「…あんたと組まなかったのは後悔してないし、内容も確かに酷い物だったけど…ま、そうね…少しはやる気が出て来たかもね…」
そう言ってオフィーリアが狂気的な笑みを浮かべて舌舐めずりをする…怖いな…今回は私に向けられてないから安心だが…
「オフィーリアもこの通り…その気だ…私はすぐにこの状態から脱却出来無いだろうからまた我慢出来無くなったら先ずはオフィーリアに挑め…ただ、一つ注意がある…」
「何だよ?」
「…オフィーリアが凶人であったのは知ってるだろう?日常生活では本当にあの頃の陰が見えない程丸くはなったが…いざ戦いになったらそうは行かない…もしやるなら…命を懸けて挑め。」
「そうね…私を満足させられないなら…殺しちゃうかも♡」
「マジかよ…」
「そんな意味の無い戦いをしたくない…と、言うなら大人しくしている事だ…見ての通りオフィーリアより強くてお優しいテレーズは妊娠中だ…それでも挑むなら…私はもちろん、オフィーリアを含めてこの場の全員がお前らを獲りに行く。」
「過保護だな…私は別にやっても良いぞ?正直、今のお前らなら無傷で潰せるからな。」
「それは…私たちを嘗めてるのか…?」
「デネブ…残念ながら事実だ…やるならミリアを連れて、全力で挑め…殺されなくても間違い無く心は折られるだろう…最も、さっきも言った通り今のテレーズを戦わせる気は更々無いが。」
「分かった…」
「ふぅ…さて、そろそろ帰って貰うぞ…さすがにもう、何で今日ミリアやアザゼルが来なかったか見当が着いているだろう?」
「そりゃ…さすがに分かるよ…」
今日ミリアが来なかったのは自分のツレが本格的に迷惑をかけている事実故、だ。アザゼルはその付き添い…ま、ミリアはさすがにやらないだろうから、実際に来たとして…観客席にアザゼルと共に座るだけだから今更そんなに変わらんのだが…
「お前らも魔力持ちだろう?そこの魔法陣に入れ、グレイフィアが送ってくれる。 」
「…では、お二人ともこちらに。」
グレイフィアの言う事に二人は大人しく従い、二人が入ると同時に魔法陣が光り出し、三人は私たちの前から消えた。