「…行事…じゃ、ないよな…何の騒ぎだ?」
「……」
今、私たちの目の前を見覚えのある二人の男子が走り抜け、その後ろを複数の女子が手に得物を持ち、二人を追いかけて行く、と言う…
「…ああ、すまん。うっかり説明を忘れていたよ…」
「いや…だから何なんだ?…いや、良い…移動しながら説明してくれ…この廊下は狭い…あいつらをあのままにしておいたら危ないだろ?早く止めた方が良いんじゃないか?」
「そうだな…順を追って説明するよ。」
私はミリアと共に、今連中が駆け上がって行った階段を登り始めた…
「……覗きに盗撮?」
「ああ…この学園では最早風物詩になっていてな…あの男子二人が常習犯で、女子たちが武器を持って追いかける…そういう事がほぼ毎日の様に起こっているんだ…」
「…私はこの世界に来たばかりだが「言いたい事は分かるさ、もちろん普通に犯罪で、本来なら罰せられる案件だ」…この学園はどうなっているんだ…?少なくとも退学にはなる筈だろう?」
「その辺は何処ぞのバカに言ってくれ…」
「…で、連中を捕まえるのが一番良いんだろうが…どうするんだ?」
「…一応、実力行使の方が楽では有るんだがな…」
「は?…いや、私たちの力は「あの二人、素の私たちの力では中々止められ無くてな」…だからと言って妖力解放する訳にも行かないだろう…」
「…やはりお前が同僚で助かったよ…」
「何だ、突然…?」
「…オフィーリアが正式にここで働く前…臨時で用務員をやった時にな…よりによってあの二人の内、片方の頭を殴ったらしくてな…」
「……どうなった?」
「……気絶した…しかも中々起きて来なかったそうでな…」
「……つまり正面からは止めにくい上、仮に決定打を与えられたとしても…奴らの実態は運動能力が飛躍的に高いだけの…普通に生身の人間だから何が起こるか分からない、か…」
本当にこいつ相手だと、一々話が早くて助かる…
「そういう事だ…面倒だろ?」
「…さすがにそのままにしてはいないだろう?お前は普段どうやって止めてるんだ?」
「廊下にトラップを仕掛ける…片付けの手間はかかるが、一番効果的だ…あいつらはな、こっちが物理的に攻撃を仕掛けても片っ端から躱して行く癖に、そう言うのは面白いくらい引っかかるからな。」
「……あいつらの行動パターンは分かってるんだろう?手伝おう、何処に仕掛けるんだ?」
本当にこいつが同僚になってくれて良かった…!
「「助けて~!」」
「「……」」
十五分後…私たちの目の前には天井からぶら下がるバカ二人がいた……そう言えば何気に新記録じゃないか?今まではこいつらとっ捕まえるのに三十分はかかってたからな…
「……天井に仕掛けろ…なんて言われた時は何の冗談かと思ったが…」
「言ったろ…?こいつら身体能力は異常な程高いんだ…テレーズやオフィーリアなんてこういうの面倒くさがるから苦労するらしいぞ?行動パターンは頭に入ってるから良く挟み撃ちにするらしいんだが…大体、壁や天井を走られて逃げられるそうだからな…」
私たちは同じ事をしようと思えば出来るが…何処から人間じゃない疑惑が出るか分からんからな…最も、そんな事言ったらここに人間離れした事を平気でやる純粋な人間が二人もいる訳だが…
「…さてと…そろそろ来るかな?」
「ん?何がだ?」
「こいつらのお迎えだよ。」
「どういう意味…成程な。」
しばらくしてこっちに走って来た女子たちを見てミリアも察したらしい…
「ついでだから自己紹介でもしておけ…大体何時もメンバーは一緒だから、良く顔を合わせる事になるしな。」
「…分かった…いや、名前をそのまま言っても良いのか?」
「フルネームじゃなくても別にあいつらは気にせんよ。」