「…とまぁ、先ずは一日体験して貰ったが…どうだ?」
「…そうだな、少なくとも書類仕事そのものは問題無さそうだ。」
「…見回りについては結局全部回れなかったからな。」
「…悪かった…」
「ま、良いさ、重点的に回らないといけない場所なんかは明日改めて説明する…今週は私がいるのは明日が最後だからな、ちゃんと覚えてくれよ、なんて…お前に言わなくても何とかなるか…」
「…随分信頼してくれてるんだな…」
「…それもあるが…」
「ん?」
「…失礼を承知で言うが…正直、お前とオフィーリアが普通にコミュニケーション取れる気がしなくてな…」
「……」
「別に無理に譲歩しろとは言わんし、アレは間違い無くオフィーリアが悪い…ただ、これも仕事だからな…」
「…分かっているさ…」
「…どうしても嫌なら必要以上に話しかけなくても良い…最も、オフィーリアの方が話しかけて来るかもしれんがな…あいつはお喋りだからな…」
「…割り切るさ…昔の話…と、簡単に言える話じゃないがな。」
「…駒王町の地理は把握出来てるか?」
「ん…?何だいきなり…いや、まだそんなに詳しくは無いな…最近は色々忙しかったしな…」
「…この後時間あるか?」
「ん?特に予定は無いな…ヘレンとデネブとも特に約束はしていない。」
「…ま、二人の仕事はどう考えてもこっちよりハードだし、帰りも遅いだろうしな。」
「それで?私の予定を聞いてどうするんだ?」
「この後付き合えよ。」
「…まぁ構わないが…」
「ここは?」
「ショッピングモール…ま、要はいくつかの店が入ってる施設だよ。」
「…いや、それは分かるが…何でここに?」
「…お前、今日書類の字が読めなくて私に聞いて来たろう?」
「そうだな…」
「ひらがな、カタカナは問題無く読めるんだろう?なら辞書が使える。」
「…ああ、辞書か。」
「その知識はあるのか?」
向こうにも似た様な物は有りそうだけどな…
「まぁ…持ってはいないがな…」
「…意外だな、アザゼルはその辺しっかりしてそうだが…」
「さっきもチラッと言ったが、私もアザゼルも忙しくてな…」
「…ま、これから本屋に案内してやるよ…買っておくとこれから色々便利だぞ?…オフィーリアに聞く、なんて事もしなくて良いしな。」
「…気を使わせてしまったか。」
「気にするな、これからは同僚だ。…貸しだと思うなら、これから返すチャンスなんていくらでもあるさ…ああ、もちろん戦う事以外でな。」
「…私にも戦うなと?」
「何かあった時力を貸して欲しい、なんて事を言っておいてアレだがな…私たちの力なんてこの世界では普段は過剰過ぎるんだ…最もいざって時に必要とも言える…この世界には人間以外の種族が多い…今でこそ三大勢力が休戦協定なんてものを結んでるが、あくまで上が決めただけだ…若手が守るかは怪しいんだよ。」
この世界は本当に危ういバランスで成り立っている…何時何が起きても不思議は無い。
「…少なくとも、私はお前らに味方するさ。」
「……私はまだ何か起きるなんて言ってないぞ?」
「…お前が考えてるのは戦争の可能性だろう?」
「…悪魔も若手は…血の気の多い奴が結構いるらしくてな…」
「…アザゼルも頭を抱えているよ…堕天使も下が相当纏まりが無いらしくてな…」
「…上に立つ奴と懇意にしていると…お互い、余計な事まで聞いてしまうな…」
…と、こんな話をする為に来たんじゃなかったな…
「悪い、脱線したな…さっさと本屋に寄って帰ろう。」
「ああ、案内を頼む。」