話をしたまま何となく流れで私はミリアたちの住んでいる部屋に(ま、こいつらと私たちの住んでいる部屋は同じマンションの同じフロアなんだが)
「そう言えば…お前は和平条約と言わないんだな?」
私はミリアの出した茶を少し啜ってから答えた。
「…確かに三勢力のトップが結んだのは和平条約だ…だが、どうせ若手は守らん。すぐに破られる様な物を条約とは言わん。」
「この均衡は長く続かない、という事か…」
「今のトップが健在の間は持つ…ならまだ良いんだがな…」
「そんなに短いか…」
既に意図を理解しているのだろうミリアがそう零す。
「三種族とも長命種、と言うか何も無ければ実質不老不死だがどうせ世代交代はあるからな…そうでなくても遠くないうちに何か起きるだろう…と、私は思っている。」
「…それはお前の言うところの"原作知識"とやらか?」
「……私はもう忘れているよ、これは単純に私の勘だ。」
また茶を啜る…
「…ちなみに真っ先に問題起こしそうなのは…堕天使だな。」
「…そうなのか?」
「堕天使の若手は自分の事を何て言うか知ってるか?「至高の堕天使」だぞ?」
「それはまた滑稽だな…」
「ん?何がだ?」
「所詮、堕(落)ちたから堕天使なのだろう?」
その言葉に私は自然と笑いが込み上げていた。
「ククク…確かにな…堕ちたから堕天使、なんだよな……ま、とにかくだ…あいつらプライドだけなら三種族一なんだよ…とは言え悪魔もプライドばかり高くて身の程知らずの若手が多いからそこばかり言えんがな…」
最も大言壮語を吐くだけあり、戦士としては恐らくクレイモアの基準で二流クラス程度の実力を持つ奴ならそれなりにいる…堕天使も然りだが。
「天使はどうなんだ?」
「知らん。私は天使と交流は無いよ、そもそも嫌いだしな。」
「…揉めたんだな、その様子だと。」
「あいつら口調は丁寧でも、自分たちに都合の良い嘘を平気で吐く上、正当化する癖に他者からの言葉は正論すら許さない連中だよ…そもそも人間はまだしも、他種族を排斥したがっているしな。」
「…それなら戦端を開くのは天界勢力なんじゃないのか?」
「それは無い、あいつらは向こうから攻めてきたって言う大義名分が無ければやらん。」
「面倒な話だな…」
「だから堕天する連中は多い。敬虔な信徒の人間を集めて、天使に転生させたりさせてるが焼け石に水だ…そもそも崇めるべき神もどうせもういないんだ…今はリアスの眷属になっているゼノヴィアもそれを知って天使から転生して来たクチだからな…」
「このままだと天使は自然消滅が関の山か?」
「さて、そうとも言えんな…現トップのミカエルは詐欺師の様だからな…集める為の謳い文句を考えるのは得意の様だ…残念だが集めた連中を纏めあげるだけの器は無い様だが。」
「そんなに酷いのか?」
「堕天使を抑える奴がいなければすぐにでも揉め事起こして、悪魔そっちのけで攻め入ろうとする動きが生まれるだろう…と、言うくらいには…はっきり言って人望が無い。」
「仮に堕天使とやり合ったとして…勝てるのか?」
「…私の意見で良いのか?アザゼルに聞く方が正確だぞ?」
「一応聞かせてくれ。」
「…なら私の意見だが…ま、勝てないだろうな…天使が。」
「そうなのか?」
「確か…絶対数も堕天使の方が多い筈だからな…そうでなくても天使の若手なんて所詮は元人間…どっちが強いかなど明白だ…そもそも信仰を力にしてる奴なんて結局メンタルが弱い。捧げるべき対象がいない事を知ればすぐにでも堕天するぞ…やらないのが吉だ。」
そこで私は時計を見る… ん?
「…つい話し込んでしまったな、そろそろ帰る。」
「ん?ああ…もうこんな時間か…じゃあな、黒歌たちに宜しく伝えてくれ。」
「ああ。」