「…ま、予定外の出来事はあったが…大丈夫か?」
「ああ、特に問題は無い。」
「…なら、続きと行こう…特に何も無ければ昼までには切り上げて、用務員室に戻ってくれていいからな。」
「分かった。」
十二時を少し回った頃に顔に若干疲れの滲み出たミリアが部屋に入って来る…
「…遅かったな、何かあったか?」
「…いや、女子生徒をあしらうのに少々苦労してな…」
「…そうか…早目に慣れろよ?」
「分かっている…」
そう言って自分のバックから弁当の包みを出して来て広げる(何気にデネブと交代でしっかり家事をこなしているらしい…)ミリアに私は告げる。
「…お前、忘れてるだろ?」
「何がだ?」
「…通常の休み時間に来る頻度こそ減ったが、昼は無条件で女子が来るんだぞ?」
「あ…」
「昨日もお前、それで苦労してただろ。」
「……」
「ま、とにかく慣れろ。これから先ずっとこうだからな…この仕事を続ける以上は。」
「……ああ。」
ミリアは別にコミュニケーション能力に問題がある訳じゃない。寧ろ私よりずっと社交的な方だ…ただ、律儀に誰の相手でもするから…毎回、無駄な疲労をする羽目になる…
「…大丈夫か?」
「ああ…」
女子と話が弾むのは良い、私と違って初めから純粋な女性だった事もあり、話はしやすいだろう。オフィーリア以上に面倒見が良いから慕われるのも分かる…ただな…
「次からは時計を持ち歩け、それから時折確認する癖を着けろ…私が言わなかったらあいつら午後の授業に遅刻してたぞ?」
ま、私が声をかけた時点でギリギリだったがな…
「…すまなかった。」
「…深刻な相談でも無い限りはキリの良いところで多少強引にでも切り上げるべきだ…ま、本気の内容ならあまり褒められた方法じゃないが、休みの日にでもお前の裁量で自分たちの部屋に招くのも手だ。」
「…お前はやった事があるのか?」
「…今の所無い。…と言うか、私がそんなに面倒見の良い奴に見えるか?」
「いや…」
「ちなみにオフィーリアは面倒見は良いが、招いた事は無い筈だ…多分な。」
「…呼んだら分かるのか?いくら隣とは言え…」
「…あいつの場合、女子生徒なら食うからな。」
「……テレーズがいるのにか?」
「そういう奴だよ、あいつは…ま、問題にならないレベルなら好きにしろと私は思っているが。あのマンションは防音もしっかりしてる様だしな。」
「……」
「さて、書類の進み具合はどうだ?」
「ここまで終わった…」
「見せてみろ…ま、ここまでなら良いだろ。今日はもう切り上げよう。」
「良いのか?まだ午後の授業すら済んでないが…」
「問題無い、元々ある程度はこっちの好きにして良い事になっている…もちろん、最低限仕事をしているのが条件だが。」
クレイモアの中でも半覚醒者は人間とそれほど変わらないレベルで飯を食う。そして昼飯を食った今ぐらいの時間は眠くなりこそしないが、効率は落ちる…進まない時は進まないからさっさと止めて明日に回した方がマシだ……断じて私がサボりたい訳では無い…
「…明日からは私は着かないが、仕事の流れは頭に入ったか?」
「大体はな…」
「…気が進まないだろうが今日の様にイレギュラーがあれば必ずオフィーリアに言え。ま、自分でどうにかなるなら構わないがな…」
「分かっている…仕事だからな、私情は挟まない…」
「そうか…なら、帰るとしよう。」