「テレサさんの髪って、綺麗ですよね。」
「…お前の髪の方が綺麗だろうよ。そもそも私の髪は半人半妖としての体質故か、形が崩れにくいってだけさ。…癖は多少、着いてしまうがな。」
そう、私たちは単に身体に変化がほとんど無いってだけなのだ。この髪も自然に抜ける事こそほぼ無いが、短くなる様にバッサリ切ってしまえば基本的にもう生えては来ない……最も、完全覚醒でもしていれば話はまた別になるだろうがな。
「もう…褒めてるんだから素直に受け取ってください。」
……アーシアの不満そうな声が後ろから聞こえて来て、私はやらかした事に気付いた…
「…あー…すまんな、どうにも私は昔からひねくれていてね。」
「いえ、良いです…はい、終わりましたよ?」
「…ん?もう終わったのか?中々手際が良いじゃないか。」
「テレサさんの髪って、癖が着く割にごわついてる訳じゃないので結構櫛を通すの楽なんですよ。」
「そうか…ま、ありがとう。コレで下に降りれる…」
「そうですね、行きましょうか。」
「…お前らが二人していきなり来るから何事かと思えば…単に飯を食いに来ただけとはな…」
「何か不満?私は黒歌から誘われたから来ただけよ?…ついでに、帰っても暇だって言うからミリアを連れて来ただけ。」
「別に不満は無いがな…」
最も、特段私に用が無いなら…私は寝てれば良かったな、とか思ってもしまうのだ…ま、もう飯が出来てるのに寝たいから食わないとか言って、今日料理を担当した黒歌をキレさせるのは間違い無く悪手なので起きるしか無いのだが。
「…と言うか、読んでた本くらい片付けなさいよ。ソファに置いてあったの気付かなくて上に座っちゃったじゃない。」
「…ん?別に破れたりとかしてなければ私は構わないぞ。」
「構わないとかじゃなくて…てかこの場合、それで破れて読めなくなってもほぼあんたの責任だと思うけどね。」
「だから私も責めないと言ってる。」
興味深い題材ではあるが、特別思い入れの深い作品であったりはしない。本が駄目になったのならそれはそれで諦めは着くし、何ならまだ本屋に行けば追加で手に入る…その程度では今更別に懐も痛まん。
「……ちなみにそこでミリアが黙々と件の本読み耽ってるのは別に良いのかしら?」
「…ん?ああ、構わない。私はさっきまで眠気に負けて寝てたくらいだ…今読んでもどうせ頭に入らんし、何なら…ミリアがどうしても読みたいと言うならしばらく貸してやっても良い。」
「……あんたって結構ミリアに甘かったりしない?」
「何でそうなる…別にこれくらいは普通だろ…つか、一番お人好しなのはそこに居るミリア自身だしな。」
「…ん…?今私の事を話していたのか…?」
「……気にしなくて良い。それより、お前はそろそろ部屋に戻らなくて良いのか?ヘレンとデネブが帰って来るぞ?」
「…こんなに時間が経っていたのか…ああ、そろそろお暇する…テレサ、本を返そ「いや、良い。それくらい貸してやるから読み終わったら返しに来い」…良いのか?」
「…ハマったんだろう?私は飽きっぽいからそう言うジャンルはお前みたいに一気に読めないし、この後惜しくなったりは別にしない。」
「そうか…なら借りて行くとしよう。」