その後、オフィーリアも私や黒歌たちと少し話すと、普段家に来るとなし崩し的に遅くまでいたり、泊まって行ったりするあいつには珍しく早々に帰って行った…(テレーズが体調を崩している事を考えれば当然の判断では有るが)
翌日は意外にもミリアから連絡は無く、二人が仕事が終わった後家に来るなんて事も無かった(テレーズは相変わらず寝込んでいたが)
……で、更に次の日…
「何て言うか…ホント変な構造よねぇ…このマンション…」
「いや今更か?」
部屋の階段を箒で履いているオフィーリアがそう零すのに対し、クローゼットを開けて中の服を確認していた私がそう返した。
事の発端は今朝セラフォルーに頼まれ事をされた事だ…
『最近…忙しくて部屋の掃除が全然出来て無いの…朱乃ちゃんが時間を見つけて時々してくれてるみたいなんだけど…手を付けれてない部分も多いらしくて…』
もう二人が私とクレア、黒歌にアーシアと小猫で住んでいる部屋に入り浸る事が多いので忘れていたが、そもそも二人は隣の部屋の住人なのだ…
『…で?私に掃除をして欲しいのか?…今日明日は暇だから別に良いが…一人でやれと?』
どうせ物置になってるのは容易に想像が付く…
『お願い…私、今日も仕事だし…別に明日もやれって訳じゃないし、出来る範囲で良いから…オフィーリアちゃんにももう声かけてあるし…』
あいつも私と二人なら良いと言ったらしい…ふむ…
『ま、良いだろ…その代わり今度時間ある時に飯でも奢ってくれ。』
『うん!それくらいなら全然良いよ!』
クローゼットの中の服を洗濯する為に出し、ついでに補修が必要な物に分けて行く…手を動かしながら改めてこのマンションの事について考えて行く…
……実はこのマンション…部屋の中に階段が有り、二階に上がれるのだ…それも一部屋部分に無理矢理上層スペースをつけたのでは無く、本当に二階部分まで行けるのだ…普通のマンションの部屋の天井をぶち抜いてる印象だな…最も、ここは設計時点で元々そう言う構造なのだが…
「ま、確かにあんまり聞かないが…無い訳でも無いんだぞ?部屋を広く取れるから便利とも言われてな…」
「その割に本当に全然聞かないんだけど…何でかしらね…?」
私に聞くより調べた方が早いんだがな…ま、多少は知ってるが。
「実際はデメリットの方が大きいからだ。」
「それは?」
「…先ず、部屋に階段が有る場合結局一角を占有してしまう…それと、夏場はまだ良いが、冬場は場合によっては地獄だ…」
「地獄?」
「エアコンや電気ストーブなどの暖房器具を付けた場合、暖気は全て上に行くだろ?部屋が縦に広い場合どうなる?」
「…あー…成程ね、これだけ縦に広いと二階部分は暖まるだろうけど、一階は寒いままになるわね…」
一階部分しか無い一部屋に上層スペースを付けたのではなく、本来の二階層部分まで上が有るのだ…当然一階部分にほとんど暖気は来ない事になる…
「ま、そんな話は良いが、そっちは終わったか?」
「…二階部分の掃除と服の確認、大体済んだわよ…後は洗濯ね…そっちは?」
「こっちもそろそろ終わる…」
「…と言うか…コレ人の住んでる部屋じゃないわよね…」
「そこは…私も同感だな…」
この部屋…置いてある物がほぼセラフォルーの衣装の入っているクローゼットのみなのだ…当然朱乃の私服なども置いてあるが、セラフォルーの服の量に比べれば微々たるもの…それ以外の僅かな私物でさえ、セラフォルーの物の方が断然多い…
「ほとんどセラフォルーの衣装部屋と化してるが、朱乃は定期的に掃除をしていたと言うからな…」
「不憫ね…」
「…別にあいつだって全くやってない訳じゃないと言うし、そうでなくてもあいつは忙しい…出来無いのも仕方無いと言える…」
「それにしたってこの量は「いや…コレ全部あいつの買った物じゃないのは確かだぞ」え?」
「行った先で衣装を貰うんだそうだ。貰う=今度着て来て欲しい、と言う要求だからな…特別好みじゃない物もかなり有るそうだが、捨てるに捨てれないと言うのが正直なところらしい…」
「それにしたってどうにかしないと増えて行く一方じゃない。」
「ちょうど手入れもろくに出来て無いし、あまりにもボロボロなのは処分して良いとの事だ…直すのは黒歌だからな、私も本格的にヤバいのは持っていくつもりも無い。」
とは言え…それでも量は多い…ただでさえ普通に洗濯機で洗えない服も多いしな…
「…コレ、洗濯に関しては今日中に終わらなくない?」
「…仕方無いな…ま、明日も天気が良いから日干し出来るのが救いか…最も、日向に出せない服も有るが。」
やれやれ…明日までに終われば良いがな…