「それにしても…本当に油断したものよね…?」
「……何がだ?」
何の事を言っているのかはさすがに分かるが、ただ認めるのも癪なのでそう惚けて見る…と言うかいい加減手を離して欲しいんだが…
「さっきも言ったけど、私は向こうでクレアに会って声をかけてるの…あんたがクレアの気配が離れた事に気付いてないのもそうだけど、私の妖気すら感じ取れてないって言うのがね…」
「何か引っかかると「そう思いたいのはあんたでしょ?はっきり言うわ、何も無いわよ。少なくとも私が分かる限りではね」……」
「そもそも仮にこの場所が"そう言う場所"なら同じ妖怪の…未熟な塔城小猫はともかく黒歌は絶対に気付くでしょ?」
そうだ…黒歌なら気付く…そしてあいつはその時点で私とクレアだけの外出は認めない…
「…そう、だな…」
「つまりあんたは本当にただボーッとしてただけ。ちょっと弛んでるんじゃない?」
「返す言葉も無いな…」
「大体、本当に何かあったらさすがに分かるし…そうなったらあんたなんて放っておくわよ。敵は間違いなく一番弱そうなクレアを狙うだろうしね…」
「…そうだな、お前がその辺抜かりある訳無いよな…」
普段から色々問題行動の多いこいつだが…事、クレアの身の安全については初めて顔を合わせた時から既にそうなんだろうが…ある意味私や黒歌…それこそテレーズ以上に注視している節が有る…ま、こいつがこの世界にいる少女とは違う"クレア"と言う名の戦士に抱く執着が(無意識だろうが)そういう面で現れてしまっているのだろう…
「しっかりしてよね?あんた…あの子の姉なんでしょう?全く…たまたま私が外にいたから良かったものを…」
「分かった…分かったからそう何度も責め立てるのは止めてくれ。」
こいつに色々言われると正直…深く受け止めたり、落ち込んだりするより先にイラつきが来る…こればっかりははっきり言ってどうにもならない…あの最悪のファーストコンタクトや、時折自分が起こす騒動の事を棚に上げて、私に説教するこいつに…さっきから文句を言いたくて仕方無いのだ…
未だに、私の手をしっかり掴んで離そうとしない事もこちらの不満に繋がっている…
全く…何時まで私を子供扱いするつもりだ…最近はさすがに減ったとは言え、普段ガキレベルの問題を起こすのはお前だろうに…
「…で?クレアは何処にいるんだ?」
「ハイハイ…慌てないの。クレアならこの先にいるわ…あの子はあんたと違って、馬鹿じゃないんだから動かないで待ってる様に言った以上はちゃんといるでしょ。」
「…ああ…そうだろうよ…」
こいつにこうやって諭されるのは本当に一々癪に障るが、今言ったクレアの事については確かに同意出来る…
「…私に色々言われて気に入らないのは分かるけど、いい加減その仏頂面止めなさい。そろそろ着くわよ?」
「ふん…そうだな、分かったよ。」