「テレサ!!」
「おっと。」
漸く見知った気配を感じた所で小柄な影が横から飛び込んで来る…聞き慣れた声が揺れており、不安を感じとったので少々慌てたが…特に勢いは無く、ポスッと…軽い音がしただけだった。……別に全力で来られても全く問題は無いのだが、向こうが気を使ったらしい…
「もう…心配したんだよ…?」
「…ああ、悪かったな…」
いつの間にか離されていた右手を背中に置く…やれやれ…初めて来る場所で有ったせいも有ってか、思いの外不安にさせてしまった様だな…
「もう大丈夫だ…私は…ここにいるからな。」
少し離れた所からジト目を向けられているのが分かったが向こうは特に何も言って来ない…全く…空気を読めるなら普段からそうしてくれるとありがたいのだがな…
「ねぇクレア?」
…と、思っていたら発言して来た…家族が増えて以来こうして甘えられる事も少なくなったからもう少し余韻に浸りたいんだが(ま、今回の場合…はぐれたのは私の方で歳不相応にしっかりしているクレアに甘えているのは私の方なんだがな…)
「何?オフィーリアお姉ちゃん?」
「…そのおばかさんも見つかった事だし、そろそろ旅館に戻らない?」
「…うん、そうだね。」
クレアが私から離れようとしたので右手を下ろす……一瞬、手に力を込めようとしたのは多分気の所為じゃないな…私自身…そんなに温もりに飢えているとは自分でも思いたくないが…(普段しつこいくらい私を構う奴らがいる訳だしな…)
「おい。」
「何?」
旅館への道中…クレアの少し後ろを歩きながら横に着くオフィーリアに声をかける。
「…どういうつもりだ?」
「何の事かしら?」
「今日のお前はやけに面倒見が良いからな…何か有るんじゃないかと思ったんだ。」
「何それ?だって…クレアよ…?」
「……なるほど。」
聞くまでも無かったか…こいつにとってもそれが全てなのだ…今日旅館に来てないテレーズも含めて全員がクレアに堕ちているのだ…何れ産まれて来るテレーズの子供もそうなって行くのだろうか…
こうして私たちと一緒にいると言うのはクレアの意志の様で…結局縛っているのは私たちの方なのか…いや…私たちの方から関係性を切ろうと思えば切れる筈だ…ただ…そうしていないだけ…それだけの筈だ…
「あんたは…どうせもう誰も捨てられないわよ。」
「……何か言ったか…?」
「…別に?空耳じゃない?」
「そうか…」
嘘付け、言っただろう…最も、改めて"ソレ"を口に出せば…後戻り出来無くなるのは私の方だ…
「…何考えてるか知らないけど…今はこれ以上の問題が起きない様に神経傾けるべきなんじゃない…?」
「……そうだな。」
何も言わないこいつに…感謝すべきなんだろうな、私は…