旅館…と言う事も有り当然ここには温泉が有る。私の場合例の傷が有るから、普段なら入るのを遠慮する所だが…
「入らないとは申しませんわよね?」
「…笑顔で圧をかけるのは止めろ、朱乃…貸し切りなんだし入るさ…と言うかお前はもうあいつらと入ったんじゃないのか?」
「…皆さん、本当にスタイルが良いですわね…」
朱乃の声音が妖しい色を帯びる…
「……何もしてないだろうな?」
連絡は無かったし、良く考えたらあいつらの場合…そこまで初心じゃ無いだろうが、後で妙なクレームを入れられても困る…
「!…そ、それはその…オフィーリアさんがいましたし…」
「…ああ、成程な…」
同性…それも美女に目が無い朱乃だが、実は自分が主導権を握れない状況は苦手だったりする…それ以上にオフィーリアにはトラウマが有るだろうがな…
以前、いつもの様にオフィーリアが私たちの部屋に飲みに来た時の話だが…酔った勢いか知らんが、朱乃はよりにもよってオフィーリアに絡み出した…最初はあしらおうとしていたオフィーリアは自分に撓垂れ掛かる朱乃の姿に途中で意図に気付いたらしくニヤリ、と笑顔を浮かべ、自分の首に回された手を掴んで外し…朱乃の頬にもう片方の手を置きながら顔を見詰め出した…
『フフッ…そこまでするって事は覚悟が有るのかしら?』
『え…?』
『テレサ~…この娘、ちょっと借りても良いかしら?』
黒歌やセラフォルーもあの場には当然居たが、あの時は酔い潰れて寝ていた…だから私にだけ声を掛けたのだろう…二人が健在ならさすがに止めるだろうが、私の答えは決まっている……一応自分がやらかした事に漸く気付いたのか、私に必死な顔を向けて来たので一瞥はくれてやったが、私の心は変わらん。
『…多少痛い目は見せてやっても良いが、傷は着けるなよ?』
『大丈夫♪何か調子に乗ってるみたいだから、ちょっとお灸を据えてあげようと思っただけよ♪』
『……そいつ、処女じゃないからな。そっちは気にしなくても良いぞ?…テレーズがあの状態なら、お前も欲求不満だろ?』
『あら?意外と遊んでるの、この娘?』
『いや…どうせ自分で破ったんだろ、多分女としかヤった事は無い筈だ。』
少なくともレイプされた経験が有るとか、男の恋人がいたとか言う話は聞いた事が無い…ま、コイツの場合有ったら私たちには言うだろうし…本当に無いんだろうな…
『あら勿体無い…でも…それならこっちも多少本気でやっても良いのね?』
『…さっきも言ったが、残る様な傷を着けないなら構わん…そいつは人間よりは丈夫だが…傷はある程度残るからな…』
『もちろんそれぐらいはこっちも加減はするわ……じゃ、行きましょうか…?』
『あ、あの…無かった事には『ごめんね~…あんな事されたら私もちょっと抑えが利かないわ…しばらくは身体がまともに動かないかも知れないかもだけど…許してね♪』テ、テレサさん!?』
朱乃がこうまで狼狽えるとはな…珍しい物を見た…まぁ私の答えは先と変わらん。
『自業自得だ。言っておくが、そいつの経験は間違い無く私どころかお前より遥かに上だからな…お前が今まで感じた事の無いだろう、めくるめく絶頂と言う奴をゆっくり味わって来い。…何なら明日は学園を休んでも良いぞ。』
『明日はってまさか…朝まで!?』
『そいつは元々かなりの絶倫だ。まぁお前のテクで対抗したら早く終わるかもな…万に一つも有り得ないが。』
『そんなに褒めないでよ…照れるじゃない。』
『褒めてない。良いからさっさと行け…色魔。』
『失礼ね、今回誘って来たのはこの娘の方なのに…まぁ良いわ。部屋、借りるわね?』
『ベッド以外汚すんじゃないぞ?最悪お前に清掃費を請求するぞ。』
『それくらいならいくらでも払ってあげるわ♪』
満面の笑みを浮かべたオフィーリアと対照的に、絶望の色を顔に出している朱乃がオフィーリアに手を引かれながら寝室に入って行った。
『…止めなくて良いにゃ?』
『ん?起きてたのか?』
『途中から…ね。』
黒歌が身体を起こし、テーブルの上に有ったミネラルウォーターのキャップを取ると口を着け、一気に飲み干して行く。
『フゥ…で、良いの?』
『あいつにも言ったが自業自得だ。見境無く手を出そうとするから悪い…大体、起きてたならお前が止めれば良かっただろう?』
『だって…オフィーリア…スイッチ入っちゃったし、下手な事言うと私も連れてかれるじゃない…』
ここで例えばセラフォルーが襲われる、とか言う状況なら自分が代わるとか言うのだろうが…朱乃に対してはそう言う気にはならないらしい…まぁ当然とも言えるが。
『それに、あの子には良いクスリかなぁとも思って…』
同意見だが、一言言いたい。
『結局止める気が無いなら私に言うな。』
『だって…私だけ悪者って何か嫌なんだもん。』
『ならいっそ、そのまま寝てれば良かったんじゃないのか?』
『寝たフリしててもあんたどうせ気付くじゃない…ね…二人はするって言うし、せっかくだから私たちも『~~~!』うわ…』
早くも部屋の中から、朱乃の悲鳴とも嬌声とも取れる声が響いて来た…
『そうだな『ひぅっ!?』…アレを聞きながら出来るなら…付き合っても良いが?』
『…止めた、何か失せちゃった…』
『ねぇ、今何か凄い声したんだけど…』
おっと、セラフォルーも起きてしまったか…しかし本当に煩い…クレアたちが起きてしまう…私は座っていた床から立ち上がり、二人のいる部屋のドアの前に立って声を掛けた。
『おい、煩いぞ。朱乃の口でも塞いでおけ。』
『…あら?そんな事して良いの?』
いっそ情熱的なキスでもしとけって意味で言ったんだが、どうもオフィーリアは違う意味でとった様だ…
『…好きにしろ。そいつはMだから、多少ハードなプレイでも問題無い『テ、テレサさん助け…!ムグッ!?』『これで良し、じゃあ続きをしましょうか』……』
私はドアから離れ、また床に座り適当な缶をテーブルから取り、封を開けた…まだ声は響いているが多少はマシになったな…
『…良いにゃ?』
『ん?クレアたちが起きる前には止めさせるし、アレで朱乃が大人しくなるならそれで良いだろ。』
『それはまぁそうだけど…私はちょっと心配かな…』
『そう思うんならお前ら代わるか?』
『『絶対嫌(にゃ)!』』
結局オフィーリアが出て来たのは明け方だった…朱乃の様子を見に行ったのだが、身体中…まぁ下品な言い方をするなら汁塗れで、完全に気絶していた…しばらくして目が覚めた後はさすがにショックだったのか、しばらくは大人しかった……まぁ一週間程で元に戻ったが。
「何をお考えですか?」
風呂場に向かってる途中、いつの間にか横に居た朱乃に声を掛けられて我に返る…まぁ、言っても良いか。
「お前がオフィーリアに食われた日の事をな…」
「…それは…忘れてください…お願いですから…」
「…仮に私が忘れてもオフィーリアは忘れんだろうな…聞けばお前が気に入ったそうだしな…」
「そ、そんな…」
「苦痛より快楽の方が大きかったんだろう?なら、歓迎すべき事じゃないのか?」
「長く快楽ばかり続くと言うのは…案外地獄なんですよ…?」
「…それを黒歌やセラフォルーに向かって言えるのか?」
「それは、その…」
「前から言ってるが、誘うなら相手を確認しろ…大体、本当はされたい派の癖に相手を一方的に責めるから…変な奴に好かれたり敬遠されたりするんだろう?」
「お二人の優しさに甘えてる、と言うのは理解してます…でも私は…」
「程々にする分には、二人も受け入れるだろうけどな「テレサさんは違うんですか?」…受け入れるも何も…お前の手管で私を堕とせた事無いだろ?」
「やっぱり私じゃ無理ですか…?あそこまでやらないと駄目なんですか…?」
「勘違いしてる様だが、オフィーリアはアレでも手加減した方だぞ?」
「そうなんですか!?」
「仮にオフィーリアが本気だったら…最悪お前は死んでる…快楽よりも苦痛を感じてな…」
「……」
良い機会だ、言っておくとしよう…
「アレに限った話じゃないが…いい加減お前は割と恵まれている事を自覚した方が良いな……実の家族の事で色々有った様だが、それでもリアスに拾われたお前は…本当に運が良かったんだぞ?」
「それは…分かっているつもりです…」
「なら、先ずは手始めに他の…もっと健全な趣味を探す事だな。」
「…善処は、します。」
「今はそう言えるだけでも良い…あいつらも程々ならそこまで文句も言わん。…一応、私もな。」
「…そ、それじゃあ是非今夜「バカか。私と黒歌はクレアと小猫と同室だ」そう、でしたわね…」
「ま、そう落ち込むな…しばらくは付き合ってやるさ…」
朱乃の頭に手を置き、撫でる…普段ほとんど撫でる事は無いが、コイツも案外撫で心地が良いな… さて。
「いつの間にかあいつらに置いてかれてしまったな。そろそろ行くぞ?」
まぁ、どうせ雰囲気で色々察して気を遣ってくれたんだろうが。
「はい、行きましょうか。」