脱衣場に来て、服を脱いで籠に入れて行く……畳むのなんて面倒臭いし適当で良いな…と、そこでこちらに注がれる視線に気付く…
「……何だ?」
「テレサさん…やっぱりスタイル良いですわね…」
「……それは皮肉か?」
それを口にした女は…少なくとも私以上の凶器を持っていた…
「もう…私は素直な気持ちを口に出しただけですわ…」
「…普段鏡見てるか?そんなバカデカい物二つぶら下げて何を言ってるんだ…と言うかだな、せっかく温泉に来たんだから同性の裸ガン見してないでそっちを純粋に楽しめ…大体、私の身体なんて見慣れてるだろ?」
「それは…でしたらせめてもう少し隠してくれたら…」
「家族の上、同性しかいないんだから気を遣う必要有るまい…と言うか、普通この傷に先に目が行くと思うんだがな…」
私は身体を洗う手を止めて、胸のそれを指でなぞる…
「その…見るのも初めてじゃないですし…」
「……私は今更あんまり気にしないが…まさかあいつらにまでそれをやってないよな?」
クレイモアなんて連中は……顔面偏差値はかなり高い上、スタイルも抜群だ…出る所はちゃんと出て引っ込む所は引っ込んでいる…さすがに偏見だろうが…組織が意図的にそういう少女を拾ってるんじゃないかと思う程だ…まぁ妖魔の血肉が自動的にそう言う…所謂戦いに向いた肉体を創った結果…そうなってる可能性も有るが(それでも顔はさすがにそう変わるまい……ま、これ以上追求しても仕方無いが。)
「…さすがに無遠慮に見てはいません…オフィーリアさんはともかく御三方とは…あまり話した事も有りませんし…」
仮に慎ましやかにしてたんならヘレン辺りが悪ノリして絡んで来そうだけどな…とは言えアレで一応最低限の線引きはするし、その癖こっちが嘗めて掛かってうっかり地雷を踏むと普通にキレるのがヘレンと言う女だったりもする…まぁキレた時一番怖いのは、あの中ではデネブだろうがな…ミリアも相当だろうが、あいつは沸点は高い方だ…余程の事が無ければ怒らん…オフィーリアは……考えるだけ、時間の無駄だな…
「なら、そもそも私の方も見ないのが普通じゃないのか?」
「だったらせめて隠して欲しいんですけど…」
「さっきも言ったが…ここに居るのは私の事情を知る家族だけで、しかも全員同性だ…今更隠す理由が何処に有る?」
大体、隠してないからってジロジロ見ても良いって事にはならんだろ。
「…何と言うか…私が居ても、皆さんあんまり気にしなかったんですよね…」
「前にもチラッと言ったかも知れんが…元々クレイモアは女として大事な物を色々捨ててるからな…今回は貸し切りで共に来てるお前は同性で訳を知っており、他は同類しかいない…特に隠そうとは思わんだろうな。」
半人半妖としての自分を誇ってはいなくても、結局それが今の自分なのだから今更その辺を深く気にはしないだろうな…元々そうなったら人には戻れんのだから気にするだけ無駄と言える…
「ま、経緯は違うし…私がクレイモアについて偉そうに語ったなんてのはあいつらには内緒だぞ?」
「はい、分かりました…」
「…重めの話をしたとは思うが、こんな所まで来てそんな顔する事無いだろ?…良し、せっかくの機会だ…たまにはお前の背中でも流してやろう。」
「……良いんですか?」
「……変な期待をするな。あくまで洗うだけの話だ…」
ま、あいつらは既に全員風呂に向かった様だし、たまにはこんなサービスも良いだろう…そんな事を考えながら朱乃の後ろに座り、石鹸の付いたタオルで朱乃の背中を擦る…
「それだけでも、正直嬉しいです…」
「…お前が自重するなら、私も黒歌もセラフォルーも…普段お前と一緒に風呂にぐらい入るんだがな…」
一人一人分かれて風呂に入れば当然色々無駄が出る…だからウチでは二人くらい纏めて入るのが普通だ…ま、私は面倒臭がって入らない事も多いのだが。
「何でお前だけ一人だけで入らされるパターンが多いのか…理由は分かるよな?」
「はい…」
「入浴時間も無駄に長くなるしな…一々手を出して来ないならいつでも一緒に入ってやる。」
「本当ですか…?」
「お前が我慢出来るならな。」
就寝時間の行為の後でシャワーを浴びるだけで良いならまだ納得もするが、普通に入浴する時にまで行為に及ばれたら溜まったものじゃない。だから私たちは基本こいつと風呂に入らないし、クレアたちと一緒に行かせる事も出来無いのだ…
「……」
「いや本気で悩むなよ…それくらいも我慢出来無いのか?」
「…クレアちゃんや小猫ちゃんはギリギリ我慢出来ますが、アーシアちゃんはちょっと…後、テレサさんたち相手だったらその…どうやっても私の理性が…」
「……」
クレアたちですらギリギリとは…これは当分無理だな…私はもう何も言う気力も無くなり、無言で朱乃の背中に汲んだ湯をかけた。