ここで読むのを止めても暇なのは変わらんし、何となく悔しい。なので携帯で歴史を調べつつ…読み進めて行く事にする…と言うか、こうやって改めて調べてみると分かるが…私の予想以上に日本の歴史を忘れている…今まで気付かなかったのも問題だが、それ以前にこんな状態でミリアに色々言っていたのかと思うと…腹が立つのを通り越して非常に恥ずかしい…
「熱心だな…まぁ、肝心のページは全く捲られないが…」
「思っていた以上に忘れている事が多くてな…」
「……後から調べるのでは駄目なのか?別にその本はこのまま借りてても良いが…」
「ありがたいが、多分早くても一ヶ月は読み終わらないぞ…」
と言うか、ここから帰った後は多分私はこいつを読まん…
「……お前、そこまで歴史忘れてて今まで気付かなかったのか…?」
「そうは言うがな…」
良く考えたら…
「日常生活では特に意識はしないからな…」
学生なら嫌でもやるだろうがな…
「お前、この世界に来る前は似た様な世界に居たんじゃなかったのか?大体…この世界に来てからもリアルタイムで色々体験してる筈だろう?」
「百年をとうに越して、ずっと世棄て人だったからな…細かい所は一々覚えとらんよ。」
「……もしかして自分の正確な年齢も分からないんじゃないか?」
「分かる訳無いだろ…そもそも私はこの世界に来た時からこの姿で、仮にその日を誕生日にするにしてもそれすらさっぱりだ…」
「……では、誕生日を祝った事も無いと?」
「クレアは祝いたがっていたから好きにさせた事も有るが、特に日付けを決めてはいない…まぁ、戸籍には仮の誕生日を載っけて有るがな…」
そんな事を言ったら、この世界に居たクレアの正式な誕生日だって私は知らん…クレアも私に会う前までの事に関しては未だに口を噤むからな…あいつの誕生日だって私と出会った日を誕生日として戸籍に登録した。
「別に戸籍上の日付に拘らず、年に一回…気が向いた時にやってくれたら良いと言ったら…何だかんだ毎年何処かで祝われる様にはなったな…」
「しかし…戸籍を作ったなら仮の年齢は有るだろ?」
「さて、いくつだったかな…」
それも一々覚えてないな…そもそも見た目も変わらんから、そこで増えても全く実感が無い。
「まぁ、どうせ見た目は変わらないんだ…何とでも好きに言えるじゃないか?」
「どうせろくに活用もした事が無い癖に良く言う…」
「良いだろ、別に。」
見た目変わらず、過去の事も大して覚えてない…そんな私に年齢など元々意味を成さん。と言うか…
「お前だってそこら辺は大して変わらないだろ?向こうでその身体になってからは、一々数えてもいないだろうに。」
「まぁ、そうだがな…ちなみに本名は?」
「本名?」
「こっちに来る前、まだお前が人間だった頃…その時の名前だよ。」
「知らん。」
そう言えば…こいつは元よりクレアたちにも私が元は男だったとは言ってないんだよな…まぁ、当時の事は本当にまるで覚えてないからそこら辺気にするだけ無駄と言えば無駄なんだが…
「今では、当時自分がどんな顔だったかも覚えてない…いや、そんなに深刻な顔されてもな…私自身、元の自分がどんなだったかなど今は気にもしてないからな。」
まぁ、あの糞神への恨み自体は今も消えないが。
「そうか…」
「お前はアレか?半人半妖になる前の自分…ルーツを大事にしてるクチか?」
「当然だ、それも有っての私なんだからな。」
聞いてから思ったが、その辺はクレイモアの中でも意見の分かれる所だろう…オフィーリアなんて、どうせ過去そのものが地雷になるだろうから恐ろしくて同じ質問をしたくも無い。
……その後はヘレンがミリアを向こうに引っ張って行った為、会話が途切れた…何となく溜め息を吐いた所で、空いた向かいの席に座る奴が居る……送られる視線が気になり、続けて溜め息を吐きながら声を掛けた。
「何だデネブ?人の顔をじっと見て…何か用か?」
「別に。特に用は無いな。」
私の知る限り、デネブは基本的に自分からは必要な時に必要な事しか喋らん…こいつが用は無いと言った以上、こちらから突っ込んで話し掛けない限り本当にそれ以上何も言わんだろう。
「そうか…」
とは言え、わざわざそんな面倒な事をする気は無いので私は携帯の画面に視線を戻す……相変わらず視線を感じるが、別に害は無い…しまいに向こうも飽きて、勝手に居なくなるだろう。