ずっと視線を向けて来るデネブに若干の不快感は有ったものの…結局私は無視をし続けた。まぁ、そもそも…デネブの向けて来る視線自体に別に悪意は無いからな…とは言え、本人は単に観察しているだけのつもりかもしれないが(理由は分からんがな…)
……デネブが私以上の仏頂面のせいも有って、睨んでいるようにも思えて来て精神的に来るものが有る…なのでさすがに見兼ねたのか、最終的にヘレンがデネブを部屋の方に引っ張って行った時は本当にホッとした…最もヘレンが一瞬だけこちらにウインクして来た時は思わず溜め息を吐きたくなった…まぁ、ヘレンは自分が認めた相手以外にはこう言う事はしないとの事だからな…悪く思われていないと言うのは喜ぶべきなのかも知れんが。
全く…正直せっかくの旅行なのに、何回溜め息を吐いたり吐きそうになったか分からん…これじゃあ普段と何も変わらないぞ…
ところで、話は全く変わるが…私はミリア、ヘレン、デネブの三人が現れてからずっと気になっている人物がいる…オフィーリアに会った事を何処ぞの神(笑)が知らんと言うのだから(真偽の程は知らん、あいつは胡散臭いからな…)これから先出会うのかは判断しづらいが。
ただ…ハッキリ言える事として、オフィーリアを含めたこの四人には明確な共通点が有る…それは、クレイモア原作の主人公クレアに深い影響を残している人物だと言う事…今では私では無い原作のテレサ本人とも言えるテレーズまでこの世界に現れてしまっている…なら、少なくとも後一人か、あるいは二人…私はこの世界で出会うのかも知れない。
「タバサ、ユマ、シンシアはまぁ…除外しても良いか、北の戦乱以降関わった連中も今の所は除外して良いだろう…ならば…」
今は既に夜…食事も終わり、温泉に向かう誘いを断り…私は部屋で寛いでいる…普段とは違う環境で一人切りなせいか、こうして普段はあまりしない取り留めの無い思考に耽っている…
「何を一人でブツブツ言ってんだよ?」
……いや、訂正だ…こいつも誘いを断っていたな…と言うか、ミリアはまだしもデネブまで付いて行ったのにこいつが残ったのは心底意外だったりするが…
「いや何…大した事じゃない…」
つい、考えていた事の一部が口から漏れる程気を抜いていた自分に呆れつつ…私は答えた。
「仲間の名前が出て来てそれで納得しろって?…あんたなら会った事無い筈の奴の名前が口から出て来ても…そんなに驚かないけどさ…」
まぁ、仲間の事は大事にしていたヘレンならそう言う反応になるか…
「ふぅ…いや、お前らに会ってから時折考えていたのさ…次は誰がこの世界に現れるのか、とな。」
「あたしらみたいにまだ誰か来るってのか?」
「恐らく、な…」
「……何でそう思うんだよ?」
「お前らの共通点、何か分かるか?」
「あたしらの共通点?」
「正確にはお前らとオフィーリアの共通点だ…」
「いや、姉さんはまだしも…あたしとデネブはあいつとろくに面識無い様なもんなんだけど…」
まぁ、確かに…普通はそう思うよな。ただ、今回それはあまり関係が無い。
「お前ら自身が知り合いで有るかは別に問題じゃない。」
「は?」
「間接的にお前らを繋ぐ者が居るだろ?」
ヘレンは少し考えていた様だが、やがて得心が行ったらしくポンと、手を打つ。
「クレアか!」
「そうだ、向こうで戦士クレアと特に深い付き合いが有った者がこの世界に来ているんだ。」
「!…じゃあ次にこの世界に来るのは…」
「No.8…風斬りのフローラか、お前も影響を受けたNo.9のジーン…あるいはその両方…仮に二人共来るとして、一人ずつ来るのか…一遍に来るのかも分からんがな…」
「あたしとしては二人には会いたいけど、あんたはそうでもなさそうだな…」
「個人的には二人に会って話の一つもしてみたいとも思うが…いや、色々フォローが大変そうでな…まぁ、お前とデネブと違って気性も穏やかだし…どうにかなりそうでは有るがな…」
正直ヘレンとデネブの二人が今この世界で大人しくしてるのは奇跡だとすら思うからな…いや、仮に本気で暴れられたらどれ程の被害が出てるか…考えるだけで胃が痛い(やっぱりこの痛みは気の所為じゃ無いよな…?)
「ハッキリ言うなぁ…まぁ、確かにあんたには色々迷惑掛けたとは思うけどさ…」
「全くだ…まぁ、仮にお前らがやらかしても被害の後始末は私がする訳じゃないからまだ楽だがな…」
私の役目はこいつらの首を刎ねるだけだ…正直こいつらと戦う方が遥かに楽だ…最も確実に私も無傷では済まんし、何なら本気で殺り合ったら覚醒しても普通に私が負けるかも知れんが。
「だから悪かったって…で、二人はいつ来るんだ?」
「知らん。」
「は?」
「オフィーリア、それからお前らが来た時期…そこには特に共通点が無いからな…数日中に来るのか、数ヶ月後か…何なら数年、数十年後になるかもな…」
と言うか、期待してる所悪いが…結局現れない可能性も有る…
「何だよそれ…」
「まぁ、どうせ私たちは不老不死だ…時間はたっぷり有る…いつかは会えるんだから別に良いだろ。」
かなり無責任な事を言ってる自覚は有るが…まぁ、良いか。現れなかったらその時はその時だ…
「そうだけどさ…」
その内風呂に行った連中が戻って来たので、自然と話は打ち切りになった…まぁ、今考える事じゃないのは確かだな…気になって仕方の無い話では有るが。