ハイスクールDxDにクレイモアがいたら   作:三和

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#62

「あー…もう喋って良いのか?」

 

「録画出来る時間はあまり長くない、お前もそろそろ限界なんだろ?早く話せ。」

 

「分かった…んんっ…あー…初めまして、と言っておこうか。私はガラテア、言ってしまえばお前の同居人だ。」

 

「その説明じゃ分からん…もっと具体的に言え。」

 

「そもそも私からしたら、今になってこんな説明するのかと言う感じなんだが…」

 

「仕方無いだろ、ルナの認識は一般人と変わらないんだからな…」

 

「もう…一々茶々入れてたら話が全然進まないにゃ、先ずは好きに喋らせたらどうにゃ?」

 

「それもそうか…」

 

時間が無いのが分かってても、ついついツッコミを入れてしまう私に黒歌からストップが入る…仕方無いだろ、あまりに見ててもどかしいんだから。取り敢えず一旦撮影を止めて、再びカメラを起動する…

 

「ん…良いぞ。」

 

「ああ……私はガラテア、お前と同じ身体の中に居る…いわばもう一人のお前だ。こんなチャンスは当分無いだろうし、親睦でも深めたい所だが生憎時間が無い…それは何れ対面出来た時に取っておくとして、これからするのはお前にはあまりにもショックな話になる…だが、お前のこれからにも関わる大事な話だ…しっかりと聞いていて欲しい。」

 

そこで、ガラテアが一度言葉を切る…一息吐いてから、再び口を開いた。

 

「良いか…?お前と私は…」

 

 

 

 

 

「こんな物で本当に良かったのか?」

 

「ああ。伝わらなかったら補足はこっちでしてやる、結局重要なのはお前から話したと言う事実だ…別に全てがこの映像で伝わらなくても良いのさ。」

 

自分と寸分変わらず同じ顔の人間が、自分の知らない事を話している…先ずはその状況さえ、ルナが認識出来れば良いんだからな。

 

「何と言うかすまんな…来て早々、本当に迷惑を掛ける…」

 

「ルナにも言ったがな…気にするな、色々巻き込まれる事には慣れている…」

 

「……もし、無事あいつと分離出来たら…その時は「その先は言わなくて良い」ん?」

 

「お前はこれ以上こっちに関わらなくて良いと言ったんだ。生きろ、人間としてな…」

 

事が済んだら、サーゼクスとアザゼルにはこいつから手を引いた方が良いと伝えるつもりだ…こいつが今後こちら側に来る事は無い。

 

「しかし、それでは「ガラテア」何だ?」

 

「どうだった?人の営みの中で生きるのは?」

 

「……」

 

「良いか?それはな、お前にしか出来無かった事なんだ…組織から逃れる事が出来ても、大抵の奴は人とは関わらずに生きるんだ…そして、一生一人で自分の身体に向き合って行く…間違っても人間を食う事が無い様に…皆臆病なんだよ、粛清対象として自分を探す組織の追っ手に怯え、自分自信にも怯えて…そんな生き方をずっと続ける…それがほとんどの離反者の行く末だ…だが、お前は違った…お前は、確かに人間として生きていた…」

 

「……少なくとも、お前だって出来ているじゃないか。」

 

「そりゃそうだ、私とお前では事情が違う…さっきチラッとだが、話しただろう?始まりからして異なるんだよ。」

 

「こことはまた違う観測世界からの転生者で、しかも妖魔すら存在しない世界からやって来たんだったな…且つ、いきなりその身体にされて…ずっと手探りで今日まで生きて来たと…」

 

「妖力解放のやり方こそ何となく分かってはいても、習った訳じゃないからな…覚醒してしまう可能性を考えたら危なくて出来る訳も無い。もっと言えば大剣なんて一度も振った事も無い…最も、そもそもこの身体になる前の事なんてろくに覚えてないからそれも怪しいものだが…」

 

「ただ言えるのは、お前らの居た世界やこの世界の裏を知る奴からしたら呆れる程…平和ボケした世界からやって来たのは間違い無いだろう…しかも今でこそこの世界の治安もそこまで悪くないが、当時は戦時下。私も否応無しに戦闘に巻き込まれた…」

 

「戦時下だと?」

 

「悪魔、天使、そして堕天使の三大勢力による戦乱…よりによって私はその真っ只中、この世界にやって来た…当然、得体の知れない私は当時三勢力全てに狙われた…今、こうして生きているのが不思議なくらいだな。」

 

と言うか、今じゃ敵だった悪魔の庇護を受けて生活しているのだから本当に奇跡的と言えるだろう…

 

「四方八方…何処を見渡しても敵しか居ない、そんな状況で出来る生き方など決まっている…」

 

「……」

 

「だからな、今こうして人の様に私が生きてるのは結果論なんだよ…元はと言えば自分で選択した覚えも無い。」

 

気が付いたらそうなっていた、今でも私はそう思っている…最も、確かに切っ掛けとも言えるクレアを引き取ったのは私の意思では有る…だが、仮にクレアに出会わなければ…情勢の安定している今ですら、私は世捨て人のままだった筈だ…何なら、普通に指名手配されているはぐれ悪魔たちと同じ扱いだっただろう…ここに居る黒歌とだって、一緒に生活するどころか戦闘になっていたかもな……と、もう良いか。

 

「ま、とにかくだ…これでも私はお前を尊敬しているんだぞ?仮に私がお前らの世界で生きていたとしても、お前と同じ生き方は出来無かったとハッキリ言い切れるからな。」

 

「そこまで大層な事をしたつもりは無かったんだがな…」

 

「素直に賛辞として受け取れ、嫌味でも皮肉でも無い私からの率直な感想だからな。」

 

「……お前の言い分は分かった。だが、それで済ませろと?恩を感じてる私の感情はどうすれば良いんだ?」

 

「そう言うな。大体、成功するとは限らないぞ?」

 

私とテレーズの場合ですら、いくつもの奇跡が重なって漕ぎ着けた例と言って良い。下手したら、あいつの存在は消えていた可能性の方が高かった…そして、こいつの状況はある意味あの時より酷い。

 

「今現在身体から追い出されてかけているのはお前だが、そもそもその身体はお前の物の筈だ…何故お前の方が消え掛けているのか、その原因が分からなければどうしようも無い。」

 

「私を身体から出せば良いんじゃないのか?と言うか今更だが、そもそもそんな事が出来るのか?」

 

「出すだけならな…そこは気にするな、嘗て私も通った道だ…成功例がここに居る以上、少しは気楽に考えてくれて良い。」

 

「それ、やるのは私にゃんだけど?」

 

「協力する気が無いと?」

 

「そんにゃ事言ってにゃいじゃない…」

 

「まぁ、そこら辺…任せても良いんだな?」

 

「まぁね…ただ、一つ訂正。」

 

「ん?」

 

「出すのはあんたじゃ駄目にゃ。身体を用意して、ルナの方を移す必要が有るにゃ。」

 

「残るのがルナでは、その身体を制御出来無いだろうからな…」

 

「成程、確かに…そうか、その場合…やはり消え掛けてる私の事が問題になるのか…」

 

「お前は消えても良いとか思ってそうだがな、ここでお前が消えたらこっちの後味が悪いんでな…お前が消える原因を突き止めないとならん…ま、移したらその兆候が完全に消えた、とかなら話は早いがな。」

 

「……本当に、恩を返し切れなくなりそうだな。」

 

「だから言ってるだろ?要らない。強いて言うなら、見せてくれ…その身体でも人間として生きる姿を、お前のその生き様をだ…」

 

存在を忘れていたから説得力は無いが、こうして改めてこいつと出会って思う…誤解を恐れずに言うなら私はこいつのファンだ、私はこいつに惹かれている…『テレサ』とは別のベクトルで確かな憧れを抱いている…

 

「分かった…改めて、『私達』の事を頼む。」

 

「ああ。」

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