やがて黒歌の方も眠りに付いたが、私は何となく起きている…時計は既に深夜三時を回っている…正直今から寝ても仕方無い…今日はこのまま徹夜の流れになるか…
まぁ、ルナの世話をする事を考えれば明日はさすがに仕事には行けないだろう…今の所、クレアを除けば比較的信用を得られてるのは私だけだからな…
「ふぅ…」
飲んでいたビールの缶をテーブルの上に置く…元々、個人的な感想を言わせて貰うなら別に私はアルコールの味が好きではない…あまり酔いを感じる事も無いしな…
「……」
ただ、飲んでる間は余計な事を考えなくて済む…実際、素の私はどちらかと言えば相当ネガティブなタイプだろう…あいつらも、そこら辺分かってて付き合ってくれてる節は有る。大抵は先に酔い潰れるが…まぁ、それでも…あいつらが近くに居る間は私も陰鬱な考えに浸る事は無い…最も、時々は今の様に一人になりたい時も有る…複雑な思考の果てに決して答えが無いとしても、こうして埋没して行きたい時は有る…
そして、今私が考えているのは…
「結局…どうして私はここに居るのだろうな…」
……もちろんそれに関してはもう答えは出てる筈だ、私は…単にあの糞神の暇潰しでこの世界に送り込まれただけなのだから…だが、それ以上に…
「あれだけ一人で居る事に固執していた私が…今では大所帯の中で生活しているのか…何とも、滑稽な話だ…」
贅沢な話だ…日中は充実を感じる事も有る癖に、こうして夜に一人切りになると…今の状況に何とも言えない煩わしさすら感じてしまう…
「……ん?」
外に繋がるドアから物置が聞こえ、私は我に返る…かなり小さな音だが、これはノックをしてるのか……時間を考えれば、無視するのが正解だろうが…
「……ヘレン?」
テレーズ譲りと言うべきか…私の今の妖気感知能力は同じクレイモアで、知り合いで有れば分かるレベルに有る様だ…しかし…ヘレンか。ミリアとは同僚になった事も有り、それなりに会話はするが…正直ヘレンとデネブに関してはあまり親しいとは言えん…少なくとも夜中に訪ねて来られる言われは無い筈だ…
「ふむ…」
微かでは有るが、ノックの音は続いている…この部屋にクレイモアは私しか居らず…加えて向こうは私が起きているのは感じ取れている筈…このまま無視してても角が立つか…最も、特に用が無いならこんな時間に訪ねて来て欲しく無いのが本音だ…この部屋に住んでるのは私だけでは無いのだからな…
「ハァ…」
仕方無く私は立ち上がり、玄関まで向かう…先ずは声を掛けるか。
「おい、やめろ…私以外の奴はもう寝てるんだ…」
ノックが止まる…少しして…
「悪かったよ…でも、あんたは起きてただろ?」
「そう言う問題じゃない…他の奴の事も考えろ。」
考え事を邪魔されたせいか、私は少々イラついているらしく口調もキツくなってるが…それでも文句を言う権利は有ると思っている…この状況で一番最悪なケースがルナが起きて来る事だ…奴はさっきまでガラテアとして起きていたからな…このまま今度はルナとして起きて来たらどんな影響が有るか分からん…出来ればあいつには朝まで寝ていて貰いたい…
「だから悪かったって……なぁ?」
「何だ?」
「……入っても良いか?」
「何か用か?」
「……」
いや、そこで黙り込むなよ…何なんだ一体…?ハァ…最近の私は溜め息ばかり吐いてないか…?
「分かったよ…だが、静かにな?」
「おっしゃ!そう「やめろ…静かに出来無いならこの話は無しだ」悪かったって…」
早速デカい声を出すヘレンに釘を刺す…全く、言ってる側からこれだからな……最も、それでも私は案外…この状況を喜んでいたりするのかも知れんがな…