「……」
既に夜も明けた、ヘレンは帰ったし…今日これからの事を考えるべきなのだが…
「むぅ…」
いや、とにかく眠いのだ…クレイモアには本来睡眠は必要無い筈なのだが、あの半覚醒以来…私の身体は時折まるで人間の様な反応を見せる…食欲も普通の成人女性並には有るし…何ならトイレにも行かないとならん…
「こう言う時、こうなる前の頃が羨ましくなるな…」
私の場合、確かに半覚醒前より身体のキレが良くなったとは感じるし…使いこなせさえすれば強いと言えなくも無い能力も手に入れたが…まぁ、中途半端としか言えないのが本音では有る…
「上位互換が既にこの世界に居るから、尚の事そう思うな…」
実際、一度はあいつを出し抜けた…だが、仮に次が有れば攻略されるだろう…二度目は本当に勝てる気がせんな…
「しかし…聞かれないならそれでも良いんだが、あいつは気にならないのだろうか…」
まぁ、見たのはあいつだけじゃないがな…全員、特に確認はして来ない…何せ、あの三大種族の会合の際の戦いの時だって使わなかったんだがな……出し惜しんだと言うより、乱戦では使いにくかったせいだが。
「ふぁ……いかんな…」
頭を働かせていると余計眠い…私は思考を打ち切る事にする…
「飯でも作るか…」
結局朝まで起きてたんだから、たまにはそれくらいやるべきだな…さて、今日の当番は…
「……アーシアか。」
あいつは割と朝は早い、聞けば祈りの時間を取ってるからだそうだ(私やクレアは良いが、他の面子は悪魔だからな…第三者が唱える祈りの言葉でも耳に入った時点でそれなりにダメージが有るらしく、あいつはそこら辺気を使って朝に多目に祈る時間を取る様にしているとか…)
「さっさと準備するか…」
取り敢えず私は台所に入り、冷蔵庫のドアを開けた。
夜は既に明けているとは言え、私が作業を始めてから数十分程でやって来たアーシアに驚きつつ…手を進めて行く…
「テレサさん、大丈夫ですか…?」
「ん?…ああ、大丈夫だ…」
「……代わりましょうか?」
「いや、自分の作業に集中しろよ。」
「だって…何か手付きが危なっかしいので…」
まぁ、半分寝ながらやってるしな…
「私の場合包丁で切った程度なら治るし、何ならお前が治してくれるだろう?」
「あのですね…もし指切り落としたら、私だって治せませんよ?」
「その時は私の方で治せるから問題無い。」
「もう…そうならない様に気を付けるのが普通でしょう?切り落とす前提で返事しないでください…と言うか、そうなったらテレサさんの血の着いた物を食べる事になるんですけど……まぁ、かえって喜びそうな人たちが居ますけどね…」
……こいつも最近遠慮が無くなって来たな…
「そうだな、気を付ける…」
「……いや、やっぱり代わってください…同じ怪我でも火傷の方がまだ私も治せますし。」
「ふぅ……分かったよ。」
遠慮が無くなったのは良いが、最近私はアーシアに色々小言を言われる事が多い気がする…正直、昔のグレイフィアを思い出すから微妙な気分になるんだよな…