粗方朝食の用意が済んだ辺りで、アーシアにわざわざ朝飯の準備の為に早目に出て来たのかと問えば呆れ顔をされた…
「何だ?」
「……テレサさん、ルナさんのお仕事…何か分かりますか?」
「シスターだろ?」
「そこまで分かってるなら分かるじゃないですか…多分、今日は皆さん早目に起きて来ますよ…」
「……あ、そう言う事か。」
そこまで言われて漸く思い当たる…如何に色々忙しくなりそうなシスターと言えど、冬場ならまだしも…夜明けの比較的早い夏季期間の明け方から起きてるのは普通に考えると少々早過ぎる様に思う…要はウチの面子がいつも通り朝食を食べようとすると当然ルナと鉢合わせして祈言を聞く羽目になるのだ…改めて考えるとシスターで有ってもウチの連中に気を使って食事時に祈らないアーシアが特殊なんだよな…その分、朝に早起きして祈ってるみたいだが…
「すっかり忘れていたな…」
「私の所と教義自体は違うかも知れませんけど…神様に祈る言葉で有る事には変わりありませんしね…」
「何と言うか…済まないな…」
「……別にテレサさんが悪い訳じゃないでしょう?それに、私は好きで皆さんと一緒に暮らしてますし…」
「ま、それなら良いんだがな…」
アーシアはあいつらに気を使うのはもちろんだが、特に祈言を聞いても影響の無い私とクレアに布教をしたりはして来ない。以前理由を聞いてみた所…
『お二人が望むならまだしも…無理強いしたい訳じゃ有りませんし…それに、私…まだ学生で正式なシスターとも言い難いですから…』
そもそも…この国に来る前こいつの居た教会はこいつの存在自体無かった事にもしているだろうから、こいつが普通にシスターを名乗る事自体無理が有るかも知れんがな…
「アーシア。」
「何ですか?」
「ルナにしろガラテアにしろ、あの二人はシスターを務めていた女だ…相談事が有るなら、あいつらに言ってみろ。」
「……でも、今お二人は色々大変なんですよね…?」
「ガラテアは現状夜しか出て来れないし、ルナだってあの身の上で特に回せる仕事とかも無いからな…どうせどっちも当分は暇だ…」
切羽詰まってるのは確かだが、アザゼルだってアレで色々忙しいし…呼び出したってすぐには来れない上、身体だってそんなに早くは出来上がらん…結局どうしたってあの二人は暇なのだ…
「ルナなんてまともにシスターやってたなら、さすがに何もしないって言うのは耐えられないだろう…大いに頼って良い筈だ……」
ま、あいつからも何処と無くお人好しの雰囲気が出ていたしな…
「なら…あ、でも…言葉が「私が分かるから通訳してやる…と言っても、ルナはイングランドから来てるからな…普通に母国語は英語だ。お前なら落ち着いて聞けば自分で理解出来ると思うぞ?」それなら…どうしても通じなかったらテレサさんを頼ります。」
「私も現状は割と暇だからな…いつでも呼べ「と言うか、テレサさんに相談したら駄目なんですか?」私は無神論者だ、悪いがお前のそう言う悩みに答えは出せん。」
「……」
いや…何もそんなに凹まなくても良いだろ…私はアーシアの頭に手を置いた。
「そんな顔するな…別にどうしても私が良いと言うなら構わないぞ?」
「はい…」
……そう言えば、アーシアの頭なんて普段そんなに撫でないな…こいつは結構しっかりしてるからなぁ…もっと言えば普段朱乃が甘えん坊なだけで、高校生と言う歳頃を考えたら無闇にそう言う事をすべきでは無いかと思っていた…ただ、今のアーシアの反応を見ていると…偶にはやってやるべきなのかとも思う…