こうして私が付き添いに付いている上、こいつは目が悪くても別に足に異常は無い…普通に外を歩かせてやろうと思ったのだが…
「……」
「あの?何か?」
「ん?いや、何でもない…店まで多少距離が有るし、タクシーを呼ぼうか。」
「え?でも…」
「気にするな。」
見えなくても他人の視線には気付くか…そんな事を考えながら、私は携帯でタクシー会社に電話を掛ける…
……ふぅ…出来る事なら、普通に行動させてやりたいのだがな…
表面上、治安は日本で一般的なレベルとも言える駒王町…はぐれ悪魔の姿もほとんど見なくなった今となっては危険度は更に低くなったと言えなくも無い…ただ、ここの人間は単純にマナーの良くない印象が強いんだよな…
特に酷いのがナンパだ。黒歌やセラフォルー、朱乃はまだしも…見た目中学生に見えるか怪しい小猫ですら一人で行動しているとたまにしつこく声を掛けて来るのが居るらしい…
改めてルナ(ガラテア)の方を見る…
……顔の傷は非常に痛々しいし、目が見えないと言う判断も恐らく付くだろうが…それでも間違い無くろくでもない連中が寄って来るよなぁ…寧ろ、"見えない"のを良い事に邪な事を考える奴は多そうだ…
ガラテアなら多分…何の問題も無くあしらえるだろうが、ルナだと対応に苦慮するだろう…今の所、こいつを外で一人にする気は無いが…私が横に居ても強引な手に出て来る奴は確実に居る筈…まさか殴り飛ばす訳にも行かんし、トラブルの芽は初めに潰すべきだろう…
「(ま、店の中でも声を掛けて来るのは居そうだが…外での面倒事は避けれる…)分かりました……ルナ、すぐに来てくれるそうだ。」
「はい。」
いつまでこっちに居る事になるのかは別にして、目が見えないので無ければ色々護身の手段は教えてやれるんだがな…
やって来たタクシーにルナの手を引いて乗り込み、運転手に行き先を告げる…ん?
「どうした?」
「……」
どうにもルナの様子が可笑しい…ふむ。
「緊張してるか?」
「!…はい、その…向こうではあまりタクシーを使わないので…」
「……」
タクシーは割と高く付くしな…住み込みで教会勤めなら、生活も私の思っているよりずっと質素なんだろうな…
「目的地まではすぐだ…そう緊張するな、と言っても無理か。」
「はい…正直慣れる気がしなくて…」
「……取り敢えず私が離れる事は無い、それでは駄目か?」
「っ…はい、大丈夫です。」
握られた私の手に力が加わる…クレアはともかく、私は出会いもアレだし、会ってそう間も無いのだが…本当に妙に信頼されたものだ…と言うか、先程から微かにルナの身体が震えてる気がしないでもないのだが…
「狭い所は苦手か?」
「!…そうですね、見えなくても何となく圧迫感を感じて…あまり好きでは無いです…」
……何となく思った事を聞いてみれば正解だった様だ…やれやれ…本当にやりにくい…せめて昼間がガラテア、夜がルナなら良かったのだがな……最もその場合、昼間は私の付き添いなど全く必要無いだろうがな…