杖を探して、やって来たのは介護専門のコーナー…値段はさっきドラッグストアで見たものより遥かに張っている…まぁまぁ期待出来るかと思いつつ、試しに手に取ってみたが…
……正直、こいつも駄目な気がするな…
きちんとしたデータは取れないが、同じクレイモアでさえ…素の時にしろ、あるいは妖力解放時にしろ…確実に腕力や握力に個人差は存在するだろう…(そもそも、攻撃型と防御型の時点で既に違うのが普通だろうしな…)
だから一概には言えないが、それでも…私はガラテアと同じ攻撃型では有る…当然ながら、私が持っていて不安ならガラテアの身体を使っているルナでもこいつの強度は足りないと見て良い……一応、確認はさせるが。
とは言え、コレで駄目と言われても今この場ではどうしようも無いのが本音だ…安物じゃないのですら駄目なら、通常市販されている品は全て使えないだろうからな…そうなると特注品しか無い…もちろん、私も別にそこで予算をケチる気は無いのだが、ルナは向こうに自分の本来持ってる杖が有る筈だ…つまり特注するのは、ハッキリ言って無駄でしか無い。
むぅ…最悪向こうに帰る時予備として持って行かせるか?そもそも予定通り行けば、こいつは最終的にクレイモアの身体では無くなるんだしな…そうなったらそもそも強度云々も…
「あの…どうかしましたか?」
「ん?…ああ、すまん…ちょっと考え事をな…」
どうもずっと黙っていたからルナを不安がらせてしまった様だ…そうだったな、結局決めるのはこいつだ…私が一人で気を揉んでいても仕方無い…ま、私は金は正直腐る程有るし、何なら元々今悩む話じゃないか…こいつの事はまだどうなるか、分からないんだしな…
「取り敢えずこいつだ、持ってみろ。」
私は持っていた杖を渡す…さて、どうなるか…
「…そうですね、結構良い感じです。」
……これまた間が有るが、それでも好感触と言った所か…まぁ、元々こいつを一人歩きさせる予定は無いし、壊れたらまた買えば良いか。
「良さげならそれにするが、どうする?」
「えっと…本当に良いんですか…?」
「ああ、気にするな…そいつはさっきのより値は張るが、それでもまだ私には安物の範囲だ。」
まぁ、値段自体は一気に倍以上に跳ね上がってはいるがな……ふぅ…そもそも私たちの様な者が問題無く使える強度の杖なんて、市販されてる訳が無いと言えばそれまでなんだがな…
「その…じゃあこれを…」
「ん…じゃあ行くか。」
ルナから返された杖を手に持ってレジに向かう。…と、一応聞いておくか。
「先ずお前…多分だが、腕力や握力は人より有る方じゃないか?」
「え?…えっと、そうかも知れません…最初の内は良く、グラスを握り潰してしまったりはしました…」
まぁ、やるだろうな…私もこの世界に来たばかりの頃はかなり苦労したのを覚えている…
「じゃあその辺に売ってる杖なんて、ほとんど使えないだろう?特注品を使ってたのか?」
……と言うかこれ聞くなら、ここで買った意味を考えねばならないか…まぁ、元々間に合わせの品だし良いか…
「それなんですけど…私、初めから杖を持ってまして…」
……初めから?
「要するに、お前が覚えている範囲…三年前に夫妻に引き取られた時点で杖を既に所持していたと?」
「はい。聞けば相当良い作りだそうで…一度うっかり転びそうになった時に握り締めてしまった事が有るんですけど…確認して貰ったら、凹みも無ければ…亀裂も一切入って無かったそうで…」
……クレイモアが握り締めてダメージの無い杖だと?非常に気になる話では有るが…
「そうか…ソレはさすがにそいつには劣るだろうな…まぁ、あくまで間に合わせの品だからな…万が一壊したり不満が有るなら言ってくれれば良い。」
ま、正直深入りしない方が良いだろう…その辺下手に探りを入れたら面倒事になる気がしてならない…こいつもガラテアも…何の憂いも無く普通の生活に戻るべきだ、余計な事をする必要も有るまい…
「そんな…何から何まで本当に「気にするな」」
また申し訳無さそうにするルナの言葉を強引に遮る…良く考えれば、平和に暮らしていた筈のこいつらに不自由させてるのはこっちだ…今の所国に帰してやる事も出来無いしな…寧ろ、謝罪はこっちがするべきなんだろうな…