私は今、ミリアとオフィーリアに遅れる形で現地に向かっている…
「…で、結局直接の面識は無いのか?」
『そもそもお前も知ってると思うが、私の役目は主に"組織の目"だったからな…基本的に普通の戦士の前に顔を出す事は無い…まぁ、クレアには結局顔を晒してしまったし…その後組織を抜けてからは、もっと多くの奴に姿を見られているがな…』
現在、テレーズから携帯を借りたガラテアに一応話を聞いているが…正直あまり意味は無さそうだな…
「分かった…こっちももうすぐ着くから、一旦切るぞ?何か分かったら改めて連絡して『いや、ちょっと待ってくれ』…何だ?まだ何か有るのか?」
『…場所が遠いから、さっきはハッキリとは言えなかったが…連中の内、一人とは…あるいは直接顔を合わせてるかも知れん…良く良く考えれば、覚えの有る妖気だと感じる…』
「……そいつは誰だ?」
『恐らく…』
ガラテアが示した場所…駒王町郊外に有り、嘗て私とオフィーリアが戦った山…そこの入り口に立つミリアとオフィーリアの姿が有った。
「…あら、思ったより早かったわね?」
「何だ…まだ入ってなかったのか?」
「偵察するにしても情報は少ないからな…お前も来るとの事だから一応待つ事にしたんだ…」
「成程な…ただ、警戒の必要はあまり無いかも知れん…」
「誰か分かったのか?」
「…少なくとも、一人はガラテアが知っている奴だった…そしてミリア、お前も良く知ってる奴だよ。」
「!…そうか、確かに懐かしい妖気だ…この距離なら、私にも分かる…」
「…向こうから近付いて来てるな、探す手間が省けて良い…」
「何、アンタの知り合い?」
「ああ…最も、そう長い期間共に居た訳じゃないがな…」
そうだろうな。ミリアにとっては、所詮あの北の戦乱の時だけの付き合いだ…それでもこいつの中で、奴の姿は強烈に印象に残っている事だろう…
やがてその姿が見えて来る…あまり柄では無いが、迎え入れるのは私がやるべきか…何せ私は、この世界に最初に足を踏み入れた半人半妖だからな…
「異世界にようこそ…ジーン。」
私達三人の目の前に現れたのは嘗てのNo.9…ジーン…クレアに救われ、そして最期は…恩人で有るクレアを救う為に死んだ戦士…
「……そこに居るのはミリアなのか?すまないが、状況を説明してくれないか?何が起きてるのか、さっぱりなんだ…」
「私もそうしてやりたいんだが、どうやら客はお前だけじゃないらしくてな「いや、良い…先にジーンを連れて行け」…良いのか?」
「他の連中に関しては友好的かどうか分からん…最悪戦闘になる可能性も有る…さすがに来たばかりのジーンを巻き込む訳には行かないだろ「私の他にこの山に居た奴の事か?なら、一人は味方だ」ん?そうなのか?」
「ああ、直接会えてはいないが…間違い無く知っている妖気を感じた…」
ガラテアによれば、この山に現れた未知のクレイモアは三人…一人はこいつ、ジーン…こいつの言う通りなら、残り二人の内、片方はもしや…
「まさかと思うが、そいつはNo.8…風斬りのフローラとか言わないよな?」
「…知っているのか?」
……まさか、あの時ヘレンに言った私の予想が本当に当たるとはな…正直、全く嬉しくない…
「ふむ、そう言う事なら悪いがお前も来て貰えないか?私も一方的に奴を知ってるだけで、別に知己の間柄とかじゃないんだ…」
「…分かった、ミリアも一緒に居る事だし…お前の事を信じよう。」
「助かる…」
……ま、正直このまま会えずに元の世界に戻って貰いたいのが本音…いや、駄目か…ジーンもフローラも向こうでは既に死んでいるんだったな…となれば、戻れば二人には死が待っている訳か…さすがにそれは寝覚めが悪いな…全く、どんどん面倒事が積み重なって行くな……うっ…頭痛と腹痛が…今ハッキリ分かった、コレはストレスによる痛みだ…これ以上こんなのが続くと、私もいよいよ倒れるかも知れん…