「持ち得る者は持たざる者の為…大層なお題目だよな…どうだ?気持ち良かっただろう?思考停止させて、ただ従うのは。」
「私は…別にそんなつもりは…!」
「その割に、あの言葉に過敏に反応したよな?…戦いを取り上げられて、目的を失った…つまり、何かそれに代わる物がお前には必要だった…で、今お前はソレを体現してる気になってる訳だ…良いか?ハッキリ言うが、お前には他人の闇を受け止める覚悟が無い…違う、とは言わせんぞ?」
「っ…!」
「誰かの悩みを聞くって事は…それだけ悪意をぶつけられるって意味だ…例え対象が自分じゃなくてもそれなりにキツい物を見聞きするのが普通だ…だが、今のお前はどうだ?私にこうして圧をぶつけられ、そして…言葉の刃だけで心を壊されかかっている……とてもじゃないが、こんな奴に…自分の悩みなど話せんよ。」
「私は…」
「……もう良い、今日は帰れ…私の世話なら、グレイフィアがしてくれるからな。」
まだまだ言い足りないが…今言っても無駄だな…もう私の言葉なんてろくに届いてないだろう…と言うか、さっきも言った通り私はこいつが嫌いだ…今は正直視界にも入れたくない…吐き気がして来るからな…
「っ…分かりました、帰ります「フローラ」…何ですか?」
「お前のその中途半端な感情…ジーン辺りにぶつけてみろ…あいつなら、受け止められる…」
「え…?」
「言った筈だ…例え嫌いな奴だろうと、問題点をそのまま放置する気は無いとな。」
「…はい、分かりました。」
「分かったなら良い…行け。 」
「はい。」
フローラが部屋を出て行く…やれやれ…やっと気を抜け…あ。
「あいつ明日休みとか言ってたな…まさか、明日も来るんじゃないよな…?」
正直私の周囲に居るのはこう、私に依存してる奴が多い(私自身も執着はしてるから、人の事は言えんがな…)
「……」
最後、フローラがしていたのは…こっちに縋ろうとする目だった…ジーンに話せと、言ったんだがな…
「ハァ…」
私は枕元に有る机に置いてあった携帯を手に取る…仕方無い、お膳立てはしてやるか……自分でやらないだけで手を貸してやってる事には変わりない…やはり私はお人好しなんだろうな……時間は、まだ大丈夫か…
「…もしもし?」
『…で、フォローを私がやれと?』
「ああ。」
『……』
「不満か?」
『…いや、あいつは仲間だし…頼って来ると言うなら、相談に乗るのは別に吝かでは無い…ただ、一つ聞かせてくれないか?』
「何だ?」
『……何故、私が適任だと思った?』
……そう言えば、何故だろうな…?
「…具体的な理由は無い…何となくだ…」
『…お前の見立てだ、疑う余地は無いが「いや、随分信用してくれてるんだな?」…信用を得てるのはお前にそれだけの実績が有ると言う意味でも有る…少なくとも私は…信用どころか、お前を信頼している。』
「……良く素で言えるな、そんな事…」
『私たちにアルコールはほとんど効かん…今、私は素面だ。』
普段一緒に酒飲むと何故か、ベロベロに酔っ払う同類の事が頭を過ぎった…
「…ヘレンは、どう思う?」
『私の見た所…アレはほとんど、場酔いに近いと思うがな…』
場酔いでアレか…いや、今は良いか…
「一応夜も更けている…無駄話はこれくらいにするか…で、明日お前からフローラに声を掛けて貰えないか?」
『…そんなに急ぐ話か?』
「…いや、あれだけ言ったのに…普通に明日ここに来そうなんでな…」
『あー…まぁ、分かったよ…あいつの部屋は隣だしな…朝にでも部屋に行ってみるさ。』
「ああ、頼む。」
電話を切る……イレーネ、フローラ…そしてジーンの三人は私たちの住むマンション…それも私たちが居るフロアから一つ下のフロアに住んでいる…まぁ、イレーネ以外の二人は時折私たちの部屋に来る事も有るから…その辺の距離に付いて深く考えた事は無いがな…