『まーた面倒事持って来るな、お前さんは…』
「いや、今回は私のせいじゃないだろ…」
アザゼルは先の時点では本当に忙しかったらしく…私も触りの部分だけ話して電話を切った…しばらくして、一段落したのか…向こうから掛けて来て、こうして改めて話をしている…
『透視能力な…で、お前は何を懸念してんだ…?』
「鈍いな、アザゼル…お前らしくも無い…確かにあいつはどう見ても普通の人間じゃないし…あの能力自体も強い妖気感知能力の副産物の可能性は有る……だが、そうじゃない場合はどうだ?」
『そうじゃない場合だと…?』
「マリアの透視能力が仮に、人間も持ち得る異能力だったとしよう…そして、この世界で異能持ちと言えば?」
『っ!…まさか、神器持ちだってのか!?』
「その可能性は有る筈だ…どうだ、アザゼル?興味は出たか?」
『…元々、あいつの事は調べたいとは思ってたけどよ…どうにも、ガキにしては妙な点が多いからな…』
「神器に関してなら、お前程の専門家は居ない…先ず…あいつの透視能力が常時発動型なのか、あるいは…何らかの理由で視界が塞がった時のみ発動するものなのか、それすら分からん……早急に、調べる必要は有るだろ?」
『…ほぼ害は無い様な物だと思うんだが、本当に必要なのか?』
確かに、ただ視界を遮る物を透過出来るだけの力ならほぼ問題は無いと言える…まぁ、男ならともかく…あいつは女だからな…これから先、覗きに使うとも思えん…ただ、問題はそこじゃない…
「…あいつは…ハッキリ私よりデネブの方が強いと言い切った…そこも既に可笑しいと思わないか?…ただ、壁の向こう側が見えるだけの能力とは…とても思えん…」
『…相手の実力もある程度丸裸に出来る力だってのか?』
「恐らくな…」
『…それがマジなら、確かに知られたら狙われる可能性は有んな…』
「隠さないといけない、とすら思ってないからな…あいつは心を開いた相手には…多分、誰にでも話すぞ?」
『そこはガキなんだな…厄介な話だぜ…』
「アザゼル…頼む、マリアを調べてくれないか?」
『俺は構わねぇけどよ…いくつか、良いか?』
「何だ『それは先ず、マリアが俺を信用しねぇと無理だって事と…後は、少なくとも親で有るテレーズとオフィーリアには許可取んねぇと駄目だろ…あいつらには言ってあんのか?』…いや、まだだ…」
『まだだ、じゃねぇよ…普通そっちが先じゃねぇのか?あの二人には懐いてないんだから、当然能力についても知らねぇんじゃねぇのか?』
「…今知ってるのは恐らく、直接本人から聞いた私と…私の世話をする為、今日ここに居るフローラだけだ…ミリア辺りは、薄々感づいてそうだがな…」
『…俺の方は良い…時間は作ってやる…ただ、親には許可取れよ?後、本人が嫌がったら…さすがに無理だぜ?』
「そんな事言ってる『いや、場合だよ。急がば回れって言うだろ?そもそもしばらくはお前らからあいつが離れる事はほぼねぇだろうし、懸念事項にするには早過ぎる…第一、まだ神器だと決まった訳でもねぇんだぜ?』しかし…」
『焦んなよ。それでお前…今まで尽く、失敗して来てるじゃねぇか。』
「っ…確かに、そうだな…」
『先ずは親の方に言いな。例え娘の方があんまし懐いてなくたって…あいつらが親だって事実には変わりねぇんだぜ?』
「そう、だな…確かに、少し急ぎ過ぎたかも知れん…」
『まぁ、あの二人のどっちかの許可でも取れたらもう一回連絡しな。こっちも出来るだけ、時間は作る様にするからよ…』
「ああ、すまん…」
『俺に謝る必要はねぇぜ?…ま、じゃあな。』
「ああ…」
電話を切る…
「私が聞いて良い話じゃないのもそうですけど…私も、先ずお二人に相談すべきだったと思いますよ?」
フローラからも釘を刺される…まぁ、そりゃそうだよな…ちなみに電話を持ってられなくなったのでさっきの内容はスピーカーにしていた…つまり、フローラは全部聞いている…
「っ…まぁ、こうやって…一人で、つい突っ走るのも私の悪い癖でな…」
「その様ですね……今からお二人に連絡します?」
「…いや、私が元気になった時…それも、二人と共にマリアが部屋に居る時が良いだろう…焦る必要は無い。」
「なら、携帯はもう戻しましょう?身体痛いんですよね?さっきから、無理し過ぎですよ?」
「…ああ、分かったよ…」
携帯をフローラに渡す…やれやれ…いくら時間が経っても、私のこの癖は治らんな…
「そろそろお昼ですね…何か貰って来ましょうか?」
「っ…すまんな、苦労を掛ける…」
半覚醒していないフローラには、出来るだけ人並みに食べないといけないと言うのは…本来分からない話だよな…
「良いんですよ、今日は頼ってください…マリアちゃんは……まだ寝てますね…この子はどれくらい食べるんですか?」
「…悪い、もう一回携帯取ってくれ…二人に聞かないと分からん…」
「フフッ…ハイハイ。」
……全く、こいつは何が楽しいんだかな…頼られる事で、こいつにとって満たされる物が有るのは何となく分かるが…それでも私には、やはり理解出来無い感覚だよ…