『以前も何度か食事に誘ってくれた方ですし「そうだったか?」…色んな人と会ってますし、仕方無いのは分かりますけど…いい加減、何度もお世話になった方の事くらい覚えてください。』
「……顔見ればさすがに分かるが、悪いが名前だけだと分からん。」
『…まぁ、姉さんの場合…昔の職業柄仕方無いのも分かりますけどね…』
「人に会う仕事では有るが、一々名前を覚える必要が無かったからな。」
『ま、とにかくですけど…予定外の事が有るなら先に言ってください…もう現地に来てから言われても私も困りますよ……まぁ、この場合…何も確認せずいつも通りの感覚でメールだけ送った私も悪いかも知れませんけど…』
「…で、フローラを連れて行ったら駄目なのか?」
『…もう姉さんと一緒に教会近くまで来てるのに今更フローラさんに一人で帰れなんて言えませんよ…まぁ、幸い…一人くらい増えても大丈夫だと言ってくださいましたけど。』
「フローラは食べれる量が少な『姉さん…それはあちらには関係の無い話ですよ。と言うか、ある程度事情を知ってしまった私と違って、一口食べるだけでそれからはほぼ飲まず食わずでも二、三日行動出来て且つ…トイレにも一切行く必要が無いなんて…説明するのも大変なんですけど…実際、何も聞かず…病院でも特に調べもせず私たちの特殊な体質、事情を受け入れてくれた両親が可笑しいんだと改めて実感しますね…』…まぁな。」
『……ハァ…ま、とにかく…フローラさんの体質に関しては話せる範囲でこっちで色々説明はしました…多分、余計な事は聞かれないと思います…それで、取り敢えず…フローラさんに代わってくれますか?』
「ああ…フローラ、ルナが代わって欲しいそうだ。」
「あ、はい…もしもし、ルナさんですか?」
『お久しぶりです、フローラさん……そう言えば、こうして貴女とちゃんと話すのは初めてでしたっけ…?』
「ええ、そうですね…それでその、何か急にすみません…私は『あ、いえ…フローラさんを責めるつもりは私も無いので。と言うか寧ろ、姉が勝手にすみません…えっとそれで…テレサさんと私、それに姉さん…以前、私たちの間に有った事について詳しく聞きたいそうで…』…はい…それで、聞いても大丈夫でしょうか…?」
『そうですね…当時…と言ってもまだせいぜい半年ぐらいでは有りますし、私も本当に色々大変でしたけど…それでももうだいぶ吹っ切れました…大丈夫です、話すの自体は特に構いませんよ。ただ…ホテルに戻れるのは当然食事が終わってからになってしまいますし、食事の後も向こうとのお話は有るので帰りは遅くなってしまうと思います…大丈夫ですか?』
「あ、はい…明日はお休みなので大丈夫です…寧ろ、ルナさんは大丈夫ですか?」
『え?』
「いえ…お仕事の後なのでお疲れだと『話すだけなら大丈夫ですよ、ただ…詳しく話すとそれなりに長くなりますよ?』…私は大丈夫です、ルナさんが良いなら…聞かせて、欲しいです。」
『そうですか…なら、分かりました…あ、姉さんに代わってくれますか?』
「あ、はい…ガラテアさん。」
「ああ…ルナ。」
『…姉さん、取り敢えず次からは…何か有ったら先に報告してくださいね?』
「分かった分かった…取り敢えず、このままそっちに行っても大丈夫なんだな?」
『もう…真面目に聞いてください…ハァ……ええ、あちらはもう了承されてますから。』
「…とにかく、これからフローラとそっちに向かう。」
『ええ、分かりました……えっと、別に何も無いとは思いますが一応気を付けてくださいね?』
「…お前がそう言う事言うと、何かフラグになるんだよなぁ…」
『…一応気にしてるんでやめてください。』
「…悪かった……じゃあ、後でな?」
『ええ。』
「ふぅ…やれやれ…どうにも最近のあいつは小言が多くてなぁ…」
「…正直、ガラテアさんのせいでは?凄く振り回されてるのを感じましたし…ところで…何かフラグ、とか言ってましたけど…」
「…こうして二人に分かれてからの事なんだがな…あいつが不穏な事言うと結構な頻度で何か起きるんだ…と言っても、大抵はそう大袈裟な事じゃないんだがな…私はあいつが変に気にしなくて良い様に敢えて口に出してるんだが…」
「…本人が深刻に考えてるなら、無闇に茶化すのは逆効果では?」
「やはりそう思うか?…本当にちょっとした事しか起きてないんだがな…それに、何も…変におどけて揶揄う事だけが目的じゃないさ…」
「…と言うと?」
「駄目だって分かってても、案外そう言うのって図らずも口に出るものだろ?今回、あいつだって私たちの身を案じて口に出ただけで…それこそテレサみたいに特別ネガティブとかでは無いからな…自己評価は、少し低い方かも知れんが。」
「…ま、とにかく…だから、無意識に言わない様に普段から遠回しに指摘してると?」
「…幸い、主に巻き込まれるのは不測の事態でも対応可能な私ばかりだし、今の所起きてるのは本当に他愛の無い事ばかりな上…いつも起きるとも限らないんだが…あれで、結構気にしてるからな…」
「…逆効果になってるならと思いましたけど…それじゃあちょっと、私も何も言えないですかね…」
「不器用なのは分かってるさ…ただ、仮に私が人間だったとしても程度の軽いと言える怪我を負ったりするくらいなのに、あいつ本当に落ち込むからな…かと言って、何か起きても私が何も言わなきゃ言わないで…ふとした時にバレたらあいつ怒るしな…ハァ…ホントにどうしたら良いか分からん…」
「あの…怪我してるって…それで大した事無い、ですか?」
「そうだな、例えば…包丁使ってる時に本当にかする程度の傷なら、別に私の様な体質じゃなくても普通一々大騒ぎしたりなんてしないだろ?」
「まぁ、それは確かに…」
「…とは言え、そんなのが何度も有れば気にするのは分からなくもないさ…ま、そうは言っても…本当に大した事は無いんだがな…別にだんだん被害が大きくなったりとかもしとらんし…」
「成程…」
「ま、失礼を承知で言えば…テレサほど悩んでるわけじゃないからな…それだけは救いだ。」
「?…普段から気にしてるなら、それはやっぱり…結構深刻に悩んでるのでは?」
「ふぅ…テレサはどうせ答えを出せない。と言うより、あの様子だと本気で答えを出す気が有るのかも疑問だ…そもそもあれだけ悩んでるなら、そろそろ誰かに相談すべきなのにそれも一々しないからな…ルナの場合はテレサの様にどうするべきなのかをただただ悩むのでは無く、何でも良いから解決手段を探すと言う建設的な話になるからな…親やお世話になってる人に相談もしてるし…同じ悩む、でもまだ健全だろうさ…」
「…ホント、テレサさんには見習って欲しいですね…」
「まぁ、性格以外に悩みの内容についても違うだろうしな…人に話せない、話したくないとかの類なんだろうよ。」
「それでも、普段あんなに苦しそうな顔するくらいなら…誰かに言えば少しは楽になるでしょうに。」
「筋金入りだな…本当にどうしたらああもネガティブになるのやら…」
「…私一人で頑張るしかないと思ってたんですけど…その、案外ルナさんが協力してくれたら何とかなるかも知れませんね…」
「ま、あの二人は確かに同類だしな…お互い話し合えば、何か…見えて来るものも有るのかもな…ただ、あいつあれで忙しい上…生真面目だからな…日本にはこうして良く来るが、基本…私たちは仕事で来ているからな…その為だけに時間取るかって言ったら当然渋るだろうな…」
「理由は微妙に違ってますけど、自分の事を二の次にするってところも似てますね…」
「…それはお前もじゃないか?」
「さすがにお二人程じゃないですよ。」