ガラテアさんがペットボトル入りのお茶を持って来てしばらくして…
「大丈夫ですか…?」
「はい、もう落ち着きました…」
「…ルナ、取り敢えず先に顔を洗って来たらどうだ?」
「え…でも…」
「大丈夫です、それくらいは待ちますよ…寧ろ、ルナさんは本当に大丈夫ですか…何なら、後日でも私は構いませんけど…」
「いえ、話します…すみません、少し待っていてください…」
そして今度はルナさんが一人で奥に…
「…かえって、気を使わせてしまいましたかね…」
「まぁ、後日と言われても私たちもそう頻繁に…日本にだけ来れる訳じゃないからな…」
「…ましてや、日本はそもそもそこまで狭くは無い。」
「ま、実を言うと…本当は、駒王町に来る予定も強引に入れてるんだよな…」
「…やっぱり、そうなんですね…」
薄々、そうじゃないかと思ってました…
「駒王町は場所が場所のせいか、一般人にも解放されてる教会はとにかく少ない…と言うか、今回行った教会も…元は海外の教会関係者と交流なんて本来してないからな…」
「…じゃあ、もしかして…」
「…あの教会の連中は、この世界の裏について知ってる…」
…やはり、そうですか…
「その事を…ルナさんは…」
「私の口から言ってはいないが…まぁ、恐らくだが気が付いてるんじゃないか?あいつは未だ世間知らずな所は有るが、決して馬鹿では無いからな…」
「…一応聞きますけど…」
「あいつらは敵じゃない…それは確かだな…ただ、味方とも言い難いがな…ハッキリ言ってしまえば、あいつらはただ事情を知ってるだけの人間…立場的には、中立になるか…」
「それはあの場所そのものがですか、それとも…」
「…扱い上は自称、中立…だな。だから、戦場になる可能性は十分に有る…」
「何故、そこまでして…?」
「この町で何も知らない宗教関係者など、ほぼ居ない…そうでなくても私たちは立場上、教会にしか行けない…実際テレーズの奴にも言われたが、私たちはあまりこの町に来ない方が良いのかも知れない……それでもな、どうしても…私もルナも気になってしまうのさ、あいつの事がな…」
「……」
「あいつなら、最終的に自分でどうにかするんじゃないか…二人でそうも考えたさ…だが考えれば考える程…結局は選択を間違えるあいつの姿しか浮かばない…まぁ、あいつのあの難儀な性格を思えば…仕方の無い話では有るが…尤も、さっきも言ったが…私たちが来た所で何が出来る訳でも無いし…何なら向こうの生活を捨てる訳でも無い…私たちの家族は、お互いと…あの老夫婦だからな…ハッ…笑えて来るだろう?結局私たちも、あいつを最優先には出来無いんだよ。」
……そんなに、深く考える様な事でしょうか…
「…ふぅ…別に良いじゃないですか、それでも…」
「何?」
「貴女たちはテレサさんにとって…遠方で生活していて、時々仕事のついでに顔を見せに来る友人…そんなポジションで良いのでは?テレサさんも…きっと、そう思ってくれてますよ…」
「それだけで良いのか…?」
「ま、あの人対等な友人って実は少なそうですし…多少増えても良いんじゃないですかね…」
「微妙に毒吐いてるな…」
「…まぁ、本音を言うと…少しあの人にイラついてる所も有りまして「お前、行動的にはあいつに近い物が有るな…同族嫌悪でも向けられてるのか?」恐らくそうでしょうが…何故?」
「種族は同じでも、別に何の面識も無い私たちを助けようとしたあいつ…今の話から察するに、テレサからは恐らく今言った理由で嫌われているのに…そのテレサの支えになろうとするお前…似てる、と…そう思っただけさ。」
「……」
「悩み事相談ならルナが嬉々としてやりそうだし、私も多少なら聞くが…今はこっちの話の方を優先しよう…」
「はい、お願いします…」
「…もうそろそろルナの奴も戻って来るだろうしな…ま、もう少し待て。」
「はい…」
待つのは別に問題有りません。私は時間も十分に有りますからね…聞いた所で結果、彼女に対して何が出来るのかと言われれば…それはその通りなのかも知れません…結局、何も出来無いのかも知れません…それでも私は、テレサさんのために何か…出来るだけの事をしてあげたい…恩人であり、加えて友人(実質、そう思ってるのは私だけなんでしょうけど)でもあり、今現在も苦しんでる彼女を少しでも支えたい…でも、それは本当に正しい事なのか…彼女がひた隠しにしているものを暴いてまでやる事なのか…正直、自信は無いです…彼女は私に本音を明かしてくれないので…それでも、あるいは…意外な所から答えが見えて来るかも知れない…だからこれは、きっと必要な事なんです…