「さて…どうせならあいつらに向けて先に宣戦布告でもしたらどうだ?黒歌の携帯の番号は知ってるんだろ?」
「……」
確かに私たちは皆、テレサさん以外に…黒歌さんの番号を知ってます…加えて、ガラテアさんのその提案に正直少しぐらつきました……でも…
「…いえ、やめておきます…今の所は、水面下で進めて行きますよ。」
先に外堀埋めてからでないと…それなりにややこしい事になりそうですからね…さっきも言った通り、黒歌さんたちと争いたくは有りませんから…彼女たちもテレサさんと同じく恩人ですし…
「…あんまりのんびりしてるとあいつが逃げるぞ?…と言うか、後からバレても結局逃げるかもな…あいつ、今のメンツだけでも結構持て余してるみたいだしな…」
「そもそも、結局はテレサさんが優柔不断なだけでは?」
「…あいつに聞いてみた事が有るが…あくまであいつに執着してるのは連中の方で、あいつ自身はそもそも家族としての情は有っても恋愛感情は無いらしいからな…」
「…つまり、何処までも受け身…?」
「ああ…要するに、普通にやってもあいつはお前一人を選ぶ事は絶対に無いと言う事だ…黒歌たちを悲しませる事になるからな。」
「…でも、離れたがっているのでは…?」
「家族として大事にはしてるからな…とは言え、見た感じあいつ…もう一杯一杯と言う感じだったからな…いつタガが外れるか分かったもんじゃない…現に以前、行方を実際に眩ませてるしな…正直、何れまた何かやりそうにしか見えなかったな…」
「……」
改めて、結構手強いかも知れませんね…
「連中の手を借りなくても、極端な話あいつを拉致する事なら出来るかもな…ただ、あいつは身体は許しても…気持ちはそう簡単にお前の方に靡かないだろうな…あいつは自分を擦り減らしつつも、家族の為に生きるのをやめない…このままだとまた何か問題を起こす事になるのは分かってる筈だがな…」
「…先ず、テレサさんの凝り固まった考えを変えないと駄目ですかね…」
「そうなるな…尤も、この状況が色々問題なのは黒歌たちにも分かっているだろうさ…それでも誰も一石を投じようとしないのは、無理に距離を詰めると自分たちの前からあいつが居なくなるのが分かっているから…だから、今の爛れきった関係にひたすら溺れ、のめり込む…少なくとも普通、かどうかは何とも言えんが…一応家族としての想いならテレサは自分たちにある程度平等に向けてくれるから…ただ、黒歌たちは心の何処かで周りを出し抜きたいと思っているのも何となく察した…要は、独り占めしたいのは本当はお前だけでは無いと言う事だ…」
「…現状、部外者の私が下手な動きをしたらどちらにしても争いになる…そうなるとテレサさんが逃げる…と?」
「ま、自分が争いの元になるならそうするだろうな…ただ、それだけならまだ良いがな…あまり激化する様なら事態の鎮圧の為にあいつがお前を含めて全員を狩りに行こうとするのが目に見えてる…正直に言えば、余計な事をして欲しくないのが本音だな…最悪、私にも声が掛かるだろうしな…」
「……」
「家族の存在は、あいつにとって大切な居場所そのものでは有るが…言い方を変えればあいつを一箇所に留める楔だ…枷とも言えるな…家族の大半を殺してしまったらあいつが結果、何処かに消えるのは確実だろうな…」
「…ふぅ…大丈夫ですよ、何とか円満に終わる方向に持って行きますから…」
別に私はテレサさんの心を砕きたい訳じゃないですし。
「凄い自信だな…」
「結末を恐れて、何も行動しないのでは…黒歌さんたちと同じになってしまいますから…私の方は恋愛感情を向けてるのにテレサさんから送られるのは家族としての想いのみ…そんなの辛くなるだけじゃないですか…だってそれは結局、ただ一方通行になるだけなんですから…」
「…そもそも、あいつが同性に恋愛感情を向けるタイプじゃなかった場合を想定してるか?」
「…同性に身体を許し、受け入れてしまった時点で…色々今更な気がしますけど?」
「…ま、それは確かにそうかもな。」
身体を許してくれるならいくらでも付け入る隙は有るでしょうし…私にとっては都合が良くも有りますけどね…