真・恋姫†無双~ほんとはただ寝たいだけ~   作:真暇 日間

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マジで殺す、五秒前

 

 

脳筋猪武者こと華雄に自重を強制したため、しばらくの間は華雄は内部に侵入した間者狩りに勤しんでくれた。お陰で多種多様の罠を作れる場所の下見をすることができた。

作っていない理由は簡単。千の顔を持つ英雄を使えば一秒足らずで設置完了するからだ。

 

いくつかは味方ごと殲滅する形の罠だからちゃんと撤退を終わらせてからじゃないと危ないが……もしも脳筋猪武者が暴走したら実行するしかないよな?

……という話を、実際にやってみせながら懇切丁寧に話してやったら『難しい話はわからん』と言われたので、『お前が出撃したらお前に付き従う兵は勝っても負けても俺の張った罠で全滅することになるから出るな』と言っておいた。

それくらいなら脳筋猪武者でも理解できたようなので、さらに色々と話をしておいた。ついでに洗脳もした。

 

「いいか? 相手に自分の武を馬鹿にされた、そこで出ていってしまえばまるで本当の事を言われてかっとなった馬鹿にしか見えないだろう? だからそんな時こそ冷静になって受け流せ。何も知らない塵屑が、訳のわからないことをまるで鬼の首を取ったかのように騒ぎ立てている。実に滑稽な姿じゃないか。馬鹿に何を言っても通じない馬鹿には道理等と言う高尚なものはない。ただ自分のやりたい通りに動くだけなら、そんなことは畜生でもできる。しかしお前は畜生ではなく人であり、武を振るうことに誇りを持つ将なんだろう? だったらそんなやつの言うことなど流してしまえ。例え相手が孫堅の娘である孫策で、一度敗けて生き恥を曝した相手の娘の前に出てくるのが怖いか臆病者めとか言われたところで、その本人も親である孫堅の威を見せているだけ。わざわざ相手から無能をひけらかしてくれてるんだから、鼻で嘲笑ってしまえばいいだろう? それに、お前の武は何のための物だ? 自分が誇るための物? 称賛の嵐を受けるための物? ……違うだろうが!お前の武は主に捧げ、主の膝元の民を護るための物だろう!そのための力に称賛は必要ない。ただ民のために武を振るい、主を護るために戦う。それこそが将であるお前の役目だ。外見ばかりの冠など他人にくれてやれ。そしてお前は冠などなく、誰も知らないままに最強に君臨すればいいじゃないか。……そうだろう? 華雄?」

 

……こんな感じで暴論をぶちまけながらアリス・イン・ワンダーランドでその言葉を染み付かせて感情に蓋を作ってみたら…………凄まじい名将が一人できてしまった。どうやらあの戦い方は本人の精神的な余裕が足りていなかったが故の力尽くであり、本来はもっと技術を使って戦う戦法を使うのが合っていたようなのだが、近くに恋ちゃんやサラシさんと言った自分より強いものが多く居たことが余裕の無さに繋がっていたらしい。

今では自分の弱さを受け入れ、自分の力の限界を知り、そしてそれでも足掻こうと忘れかけていた技術をもう一度学び始めようとしている。

 

「……変われば変わるもんやなぁ……ビックリや」

「正直ここまで変わるとは俺も思ってなかったよサラシさん」

「……霞でええよ。あんだけ華雄が世話になったわけやし、恋も世話してくれとるわけやし」

「あ、そう? じゃあしーちゃんでいい?」

「ブフォッ!? ゲハゲホ……し、しーちゃんやて!? うちはもうちゃん付けされるような年やないで!?」

「……じゃあ霞ちゃんで」

「結局ちゃん付けなん!?」

 

……いやだってこっちは一応億とか兆とか京とかそういう単位を鼻で笑える程度の年数存在してるわけだし……行ってて精々100かそこらの人間はほとんど子供みたいなもんなんだよなぁ……。

 

そんなわけで、サラシさんが霞ちゃんに進化した辺りで、俺は今日も適当に眠りながら戦の終わりを待っていよう。

 

 

 

……………………と、思ってたのに。

 

銅鑼の音が夜通し響き、俺の安眠を妨害する。同時に名乗りをあげ、脳筋猪武者……改め華雄を挑発する声がこんなところまで響いてくる。

調教済み……と言うか冷静な判断力を持つようになった華雄には何の効果も無いだろうが……俺には効果抜群だ。殺意が湧いて仕方がない。

 

……よし、ちょっと殺しに行こうか。華雄とあのちっちゃい娘さんには悪いが、俺が表舞台に出るのは不味いから姿を借りようかね。

 

……にっこり笑顔で『お願い』したら快諾してくれたし、姿を借りることには何の問題も無いはずだ。

ただ、その時その場に居た全員が顔面蒼白になっていたような気がするんだが……気のせいだということにする。

 

…………さて、それじゃあこの世界に来て初めてのかなり本気の戦闘だ。華雄とちっちゃい娘さんの姿を借りているから戦い方に多少の縛りはあるが、そんな有って無いような縛りなら問題ない。

俺は二手に別れ、片方はちっちゃい娘さんこと陳宮になって城壁の上に。もう片方は華雄になって城門に出た。

何人か付いて来ようとしたがそれを押さえて、ついでに出てきた本人にこの場のことを頼んでおく。

心配されはしたが、前に華雄の全力を普通に受けて傷ひとつなかったのを知っているからそこまで強く引き留められはしなかった。

 

「じゃ、ちょっと殺ってくる」

「死ぬなよ。呂布に申し訳が立たん」

「死なないから安心していいと思うぞ」

 

実は死んでも平気だし。上に陳宮な俺がいるし。

 

それじゃ、行ってきまーす。

 

 

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