真・恋姫†無双~ほんとはただ寝たいだけ~   作:真暇 日間

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公孫賛編
地味に、会合


 

「お……お前……何者だ?」

 

そんな風に若干震えた声で話しかけられつつ剣を向けられた経験はあるか?

まあ、大半の人は無いと思うが、俺は現在進行形でそんな稀有なシチュエーションを体験している。

 

俺に剣を向けているのは、赤と言うかピンクと言うか、そういった人間としてはあり得ない色の髪を持った少女。年齢は……わからん。多分見た目相応だろうが、行ってて15ってとこか?

たまーに居る若く見られるタイプの人間だったとしたら20くらいまで行ってるかもしれないが、そんな真耶先生やラルちゃんや鈴みたいな人間がそうたくさん居るとは思いたく無いので見た目相応だと思い込むことにする。

 

……で、そんな娘さんに剣を向けられている理由は……正直言ってよくわからん。とりあえず友好的では無さそうだが、怯えたハリネズミが必死に針をたてて威嚇しているようにも見えるんだよな。

ここでしっかり話をして誤解を解けば、それなりに情報が手に入るような気がする(【直感:A+】発動中)し、まずは警戒を解くことから始めるか。

 

とりあえず俺はその場で座り込む。俺が動いた瞬間に向こうの体がびくりと跳ねたような気もしたが、あまり気にしないで行動する。止められて無いし。

それから相手の顔を見て、それから自己紹介のために口をひら……こうとして止める。できれば相手の名前を聞いてから……と言うか、この近くの名前の傾向を知ってから偽名を名乗った方が良いだろうしな。

そんなわけでアリス・イン・ワンダーランドを展開。薄く広く広げて、周囲の話し声を聞く。

 

……………………大体中華系かね?

 

アリス・イン・ワンダーランドを消して、それから目を開くと、あの暖色の髪をした娘さんがまたびくりと肩を震わせるのが目に入った。

あんまり怯えさせるのも悪いような気がしなくもないし、自己紹介くらいさっさと済ませようか。

 

「俺は白(バイ)金(ジン)。東の生まれで、今は適当に旅をしている。お前さんは?」

「あ……公孫賛……だ」

 

おや素直。それともびっくりしてつい言ってしまったのか、あるいは向こうも偽名か……。

……崑崙賛……ああ、多分本名だな。俺が呼べなかったってことは、多分。

賛の方だけは呼べたってことは、そこが名前なんだろう。二音だからなんとか呼べたってとこか。

 

「……で、何で俺はお前に剣をむけられてるんだ?」

「あ……す、すまん。てっきり賊か何かだと……」

 

そう言いながらどこにでも溶け込めそうな雰囲気を持った赤い髪の娘さんは剣をしまった。素直と言うか単純と言うか、あまり人を疑うことをしない娘さんだな。なんと言うか、将来が心配。

まあ、この娘さんが誰に騙されて破滅しても俺は知ったこっちゃないけどな。少なくとも現状この娘さんはどうでもいい部類のかなり下層に居るし。

理由は簡単。あちらさんが始めに剣を向けてきたから。簡単な理由だな。

 

さて、それじゃあ適当に情報収集と行こうか。

 

 

 

そんなわけで地味な雰囲気を持つ娘さん(かなり綺麗な顔をしていて、赤毛なんていう目立つ髪の色をしていて、しっかり話を順序だてて話すことができるくらいに頭が回るにも関わらず地味っていうのは最早特技の一種にしていいと思う)と話をして、現在の状況を確認した。

 

……まあ、簡単に言うと古代中国の戦乱一歩手前の時代だな。今の王朝は漢だという話で、黄巾の乱はまだ起きていない。

三国志には詳しくないが、一応中学で大雑把な漢詩と中国の歴史くらいは習ったからな。一般常識程度の知識ならなんとか。

 

……まあ、大して役には立たないが、無いよりはあった方がいいだろう。

 

それで、驚愕の事実が発覚した。なんと、この世界の有名な武将の半数以上……と言うか、ほぼ十割が女だという。これには割と本気で驚いた。そしてそれと同時に、とあるバビロニアの英雄王とブリテン国の腹ペコ騎士王のことを思い出した。

……まあ、そんなこともあるだろうと納得して、それからこれからのことを考える。

 

本当は食事が必要ない事を利用してどこかに適当に隠れ住もうと思っていたんだが、この時代は確かどこもかしこも戦争戦争また戦争で徴兵されそうな気がしてヤバイ。

だったらアンダーグラウンドサーチライトに隠れ住めばいいじゃないかと思うかもしれないが、あれはあくまで避難壕であって防御能力は高くない。つまり、周りで騒がれると五月蝿い。

そこでふと思い出したのが、目の前に座っている地味目の娘さん。あまり覚えてはいないが、確か一角の武将になるはずだ。

…………なんと言うか、とても普通だ。どこに行っても普通に溶け込んでいけそうな雰囲気がある。

 

……例えそれが、ちー姉さんと束姉さんの大喧嘩の中だったとしても。

 

鍛えればかなり化けそうだと思ったので、ちょっと利用することを考えてみる。

本人に自覚は無さそうだが……と言うかさっきからちょいちょい引き出している愚痴からすると完全に気付いてないが、頑張れば異常人になれるくらいの才はある。

……それも超一流にはなれないだろうが、それでもそこらの一流を鼻で笑える程度にはなれるはずだ。

具体的には……戦闘においてはちー姉さん(生身)や弾(生身)には届かないが鈴といい勝負をして結局負けるくらい。頭脳労働においては束姉さんやかんちゃん、セシリーと言った本職には負けるがたっちゃんやシャルくらいなら肩を並べられるくらいだな。

 

……結構凄いことだぞ? ちー姉さんは言うまでもないが、ののちゃんは離れた所を斬ることができるし。

斬撃を飛ばすんだったら結構できる……と言うか、一番戦闘能力に乏しいのほほんちゃんだって(中々やることは無いが)できる。ののちゃんのどこが凄いのかと言えば、斬撃を飛ばす訳じゃなく遠距離を斬ることができる。

本人曰く、自分の斬りたいところに集中してびゃっと斬ってるだけらしいが、やっぱりののちゃんにそう言う説明を頼んじゃいけないと言うことはわかった。

束姉さん曰く、手元の斬撃で自分の望む可能性世界までの道を開いて、そこから『自分の望む場所に自分が行った斬撃』を招いてこちらの世界に張り付けている……らしいけど、マジで超人だな。

 

……なお、ちー姉さんはそれに合わせて『斬れない物を斬る』と『斬りたいものだけ狙って斬る』と言う複合技ができる。流石ちー姉さん。

 

……とまあ、身内の自慢話は置いといて……この娘さんにはカワイソウだが、利用させてもらおう。

お互いにとって悪い話では無いだろうし、いいよな?

 

 




 
……と、言う訳で今回は公孫賛です。
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