真・恋姫†無双~ほんとはただ寝たいだけ~   作:真暇 日間

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一宿一飯、無限ループ

 

 

一宿の礼に一食作ったら、どうやら俺の料理がお気に召したらしく、暫くこの家に住まないかと言われた。

俺としては断る理由が無かったのでそれに頷いたんだが、その時の笑顔はそれはそれは純粋に嬉しいという感情が出ていた綺麗な笑顔だった。

 

…………あ、わかった。かんちゃんに似てるんだ。雰囲気だけ。

姿形は似ても似つかないけど、素直に自分の感情を表に出すところとかワンコっぽいところとかはかんちゃんそっくりだ。

なるほどなるほど、謎が解けた。

 

「……?」

「あー、いやいやなんでもない。ただ知り合いに雰囲気が似てたなと思い出して懐かしい気持ちになってただけだから」

 

……まあ、懐かしいって言ってもそこまで昔のことじゃないんだけど。座にはかんちゃんだって居たし。

……俺や束姉さん達と同じように反英霊としてだったけど。

 

あのミサイル弾幕は、公式戦に出入り禁止されてた俺とののちゃんとちー姉さんと……ギリギリ鈴以外にはただの詰み弾幕だったからなぁ……。

まあ、シャルは大口径ガトリング砲の掃射で暫く耐えられるし、ラルちゃんやセシリーだってワイヤーやらレーザーやらでかなり善戦できるし、たっちゃんやマゾカも……まあ、もう少しって所だし。

流石は三年連続で戦女神《ブリュンヒルデ》の座に輝いただけはあるよね。流石かんちゃん。

 

……ちなみに、男爵様の鎧を着た弾も勝てる。あの防御力はISから見ても反則クラスだったからな。

 

……とまあ、そんな感じで俺は当面の宿を得た。代金は日々の食事を作ることらしいが、俺にとってはそれは苦痛ではないので全く問題は無い事だ。

 

そう言うわけで、俺は毎日数時間だけ起きては家主の娘さんとその家族であるらしい動物達に食事を作り、後の時間のほぼ全てを寝ることに費やし続けた。

たまに誰かが覗き見していたような気がしたり、家主の娘さんに背負われて色々なところに行ったりもしたが……まあ、概ね寝ていたと思ってくれればいい。

 

適当に過ごしているが、毎日よく眠れるいい生活だ。日に二十時間の睡眠……とまでは行かないが、確実に十八時間は寝ていられるので、生前の目標を期せずして果たしてしまった。

つまり、俺はこの娘さんにそれなりに感謝している。

アンダーグラウンドサーチライトの中は静かだが、全く変化がないと言うのはつまらないからな。

目が覚めて、寝る前と起きた後で周囲の違いを楽しむって言うのも中々楽しいもんだ。

 

まあ、俺は個人的にこの家主の娘さんの家に居候しているだけだからそこそこのお願いは聞くつもりだし、そのお願いによって時々遠征についていったりもしているわけなんだが……それが原因でなんか色々と妙な噂を流されたりとかそういうこともあった。

……それでも俺の周りは概ね平和だから構いやしないが、あまり周りで騒がれると鬱陶しくて仕方無い。

前に見た家主の娘さんとよく一緒にいる小さいのに『勝負ですぞ!』とか言われても困るし、家主の娘さんも若干困ってるし……どうすればいいんだろうなあのお子様は?

 

……餌付けすればいいのか? 家主の娘さんのように簡単にいくとは思わないが、餌付けすればいいのか?

 

「……ごはん……つくって」

 

ゆさゆさと身体が揺すられる。同時に聞こえた声からすると、家主の娘さんが腹を空かせたらしい。

それにしても、本当によく食べる娘さんだ。作り甲斐があると言うべきか、暴食っぷりに呆れるべきか迷うところではあるが……まあ、そのお陰で俺はこうしてこの家に厄介になれるわけだし、喜ぶべきなのかね?

 

むくりと起き上がり、仮設厨房専用となった窓際に行く。その時に家主の娘さんに挨拶をするのも忘れない。

ついでに身体の上に乗っていた猫とか仮設厨房にいた犬とかを家主の娘さんに渡しておいてから、いつものように料理の準備に入る。

この家に居候を始めてからまだ一月程度だが、一月前に比べて食事量が若干増えたような気がする家主の娘さんのために、俺は中華鍋を振るうのだった。

 

「……おかわり」

「はいはい、少し待っててくださいな」

 

……ほんと、よく食うなぁ……。

 

 

 

 

 

side 呂布

 

「恋殿。ねねは恋殿に聞かなければならないことがあるのです」

「……なに?」

 

……突然、ねねがそんなことを言った。

恋にはなにが聞きたいのかはわからないけど……ねねが真剣だったから、口を挟むことなくその先を促した。

……ねねは真剣な顔のまま、ずいっと顔を近づけてきた。

 

「市勢の噂話なのですが……恋殿の家に、新しく人が住み始めたとか……」

 

本当のことなので頷いたけれど、途端にねねの表情が険しくなった。

……なにが駄目なんだろう?

 

考えてみたけれど、答えはわからない。……ただ、ねねは恋と一緒にあの子が暮らすのをよく思ってないことだけはわかる。

……だけど、あの子のごはんはおいしいし……一緒にいるとなんだかぽかぽかするから、一緒にいたい。

 

「むむむ……恋殿!その者名はなんと言うのですか?」

 

…………そう言えば、名前を聞くのを忘れてた。

聞こうとしてもいつも寝てるし……ごはんの時はごはんが美味しくて、そっちに集中していると……いつの間にか忘れてしまう。

……それで、いつの間にか名前を聞こうということも忘れてた。

 

……とりあえず、名前がわからないので首を横に振っておく。ねねはその意味をしっかり理解したらしく、明らかにびっくりしてた。

 

「名も知らぬ者を家に入れているのですか!?」

「ん……」

「いけませんぞ恋殿!もしもそやつが不埒なことを考えていたらどうするのですか!?」

「……大丈夫」

 

ねねは心配しているけれど、恋はあの子のことが少しだけわかるから。

あの子は、ちょっとだけ恋と似ている。……自分の大切なものが幸せで、一緒にいれればそれでいい。そう言う匂いがする。

 

だから恋はあの子を家につれてきたし、今も一緒に暮らしてる。

 

……でも、名前は知りたいから、今度は忘れないように聞こうと思う。

 

 

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