真・恋姫†無双~ほんとはただ寝たいだけ~   作:真暇 日間

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試験、開始

 

side りゅーび☆げんとく

 

白蓮ちゃんが言った決まりは、大きく分けて三つ。

まず、武器は刃を潰したものを使うか、あるいは斬れないように布を巻いたりすること。

それから、相手を殺さないこと。これはどちらにも言えることだけど、もしも殺してしまった場合には…………とここで言葉を切られてしまった。ちょっと怖い。

基本的に試験は一人ずつで、危なくなっても助太刀禁止。参ったと言うか気絶するか、あるいは明らかに死んだと思われる攻撃を受けたと言う判定をされたらそこでおしまい。追撃禁止。

初めは一人が相手で、次は二人。三人四人五人と増えていって、最大数は十人同時。受ける人……この場合は愛紗ちゃんか鈴々ちゃんが参ったするまでずっと続く。

あと、無いとは思うけど武器を壊されたりしても試験は続くらしい。武器無しでも戦えないことは無いからだって。

 

「……さて、簡単な規則は説明したが、質問はあるか?」

「……では、いくつか。一度そちらの兵を全滅させてから次の組と戦うまでの時間はいかほど?」

「長くても三十秒だ。その間に息と体勢を整えておくことを勧めるぞ」

「そちらの兵はどのように並ぶのですか?」

「始まりは常に正面に横一線だ。望むなら周囲の人壁から不意に飛び出す方式にしてやるが?」

「横一線でお願いいたします。……武器は?」

「さっきの要項を満たしていれば何でもありだ。大剣だろうが大刀だろうが大槌だろうが狼牙棒だろうが剣だろうが槍だろうが刀だろうが暗器だろうが手甲脚甲だろうが素手だろうがそこらに落ちていた石だろうが事前に作っておいた罠だろうが、なんでもな」

 

まあ、暗器はともかくこんなところで罠を使う奴は多分居ないと思うけどな、と言って笑う白蓮ちゃん。なんだか私はついていけないけれど……愛紗ちゃんはなんだか少し楽しそう。

 

「……さて、着いたぞ。ここが私達の演習場だ」

 

突然立ち止まった白蓮ちゃんの視線の先を見てみると、そこにはなんだか妙に気配の薄い…………え? なんで妙だなんて思ったんだろ……?

……とにかく、白蓮ちゃんの率いる兵士さん達がずらりと並んでいた。

 

「伯珪様。万端整ってございます」

「ご苦労」

 

白蓮ちゃんはさっきの全身真っ黒い人にそれだけ返して、そのまま兵士さん達の前に歩いて進む。

 

「……さて、お前達。角から話は聞いてるだろうが、例の無限組手を行う」

 

ざわざわとしていた空気が一度に引き締まり、兵士さん達が白蓮ちゃんの言葉に耳を傾ける。

 

「お前達は武人ではない。しかしお前達は、私と共に数多の戦場を駆け抜け、そして今まで生き延びてきた自慢の精鋭だ。……私にとって、お前達が誇りであると胸を張って言うことができる。そんな戦いを見せてくれ」

『委細承知致しました!』

 

一斉に広がる声に、白蓮ちゃんがどれだけこの町の人達に慕われているかがよくわかった。

愛紗ちゃんも感動しているし、鈴々ちゃんもきらきらと目を輝かせている。

 

「よろしい!それではこれより、公孫領名物『情け無用無限組手』を行う!」

 

白蓮ちゃんの号令に、この一帯が熱気を帯びる。

いつの間にか机が用意され、白蓮ちゃんと私達がじっくりと試合を眺められる用意が整っていった。

 

「……では、関羽。準備はいいか?」

「はい!」

 

白蓮ちゃんに言われて、愛紗ちゃんが舞台に出る。いつの間にか用意されていた舞台だけれど、いつ用意されていたのかはわからない。

だけど、舞台を用意したのが白蓮ちゃんだから、きっと普通のことなんだよね?

 

「一人目、出てこい!」

 

白蓮ちゃんの言葉に合わせて、一人の男の人が槍を片手に現れた。

 

「それでは試験を開始する。もう一度言うが、殺すなよ」

「はい!」

「了解!」

 

すっ、と白蓮ちゃんが右手を上に挙げる。同時に愛紗ちゃんと男の人が刃のところに布を巻いて斬れないようにした武器を構えて向き合った。

 

「劉備玄徳が家臣。関雲長だ」

「……程駿」

 

愛紗ちゃんと程駿さんが名乗りあった直後、白蓮ちゃんの右手が振り下ろされ……模擬戦闘の幕が開いた。

 

ギャギギギギガギンッ!

 

……ぜ、全然見えないよぉ……。

 

 

 

 

 

side 公孫賛

 

程駿と戦っている関羽を見て、およそ趙雲とおよそ同じくらいの実力があるとあたりをつけた。

ただ、どちらかと言えば趙雲よりは力に頼る傾向があるように見えるが……身体能力的には趙雲より少し上か?

経験と技術についてはまだ何も言えないが、一対一の小規模な戦闘に関してならばそれなりに使えるだろう。

 

程駿はどっしりと腰を落ち着けて構え、関羽の間合いの外から喉や眉間、心臓など、実際ならば確実に致命傷になる位置とその周辺に向けて突きを繰り出している。

対する関羽はと言うと、程駿の連突を大刀を使っていなしながら、反撃の隙を伺っている。

 

……やっぱり桃香の所にはいい人材が集まるなぁ……ちょっと羨ましいような気もするよ。

まあ、だからって私も桃香みたいになりたいとはこれっぽっちも思わないけどさ。

でも、本当にいい腕だ。あの速さの槍を重い大刀で容易くいなしてるんだからな。一人相手なら余裕綽々って訳だ。

 

だが、決めるんだったら早めに決めといた方がいいぞ? 体力的に後が辛くなるし、手の内が知られるからな。

その辺りの機微がわからないあたり、やっぱり誇り高すぎる武人って事か。

 

……そろそろ程駿じゃあ抑えきれなくなるな。次の組の準備をさせておくか。

 

 

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