真・恋姫†無双~ほんとはただ寝たいだけ~   作:真暇 日間

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その呼ばれ方は、久し振り

やっほー、Summer&Bellの、祭には一応参加しておく方、サマーこと一夏だ。この名乗りには色々とバリエーションがあったりするが、その時の気分によって色々変えている。

ちなみに今まで聞いた中で一番面白かった名乗りはかんちゃんと弾のコンビで、その名乗りはBarrette&Bulletだったりする。最初に聞いた時はどっちかわからなかった。

 

まあ、そんなことは置いといて……祭りのようなことになっているので、一応参加してみることにした。

やっていることはどうやら戦闘のようだが、正直に言ってあれくらいなら全身青タイツのお兄さんでもなんとかなりそうだ。

ちなみに俺の知っている全身青タイツのお兄さんの戦闘力を八タイツとすると、ののちゃんの戦闘力は万単位になってしまったりするんだが……だって全身青タイツのお兄さんって物理法則の一つや二つも越えられないし、仕方無いよな?

 

「さあさあ相手はそこのおじいちゃんなのか? 手加減はしないのだ!」

 

初見で爺扱いされたのは初めてだが、まあ間違っていないので何も言わないでおく。

ただ、使う武器を相手と同じ丈八蛇矛にして、そして相手と同じ構えを取る。

 

……ついでに、意味は特に無いがライアーズマスクを使って目の前のちみっこに化ける。別にお爺ちゃん扱いされたのがムカついたとかそんなことは無い。あくまでなんとなくだ。

 

「……へ?」

「ふん……ん~……ん」

 

ぐるぐると首を回したり肩を回したりして、かなり小さいこの大きさの体の動かし方を思い出す。流石にこのサイズまで縮むのは久し振りなので若干不安だったが、一応問題はないようだ。

 

地面に突き刺しておいた丈八蛇矛を抜いて、肩に担ぐようにして構えを取る。普通ならふざけていると取られてもおかしくないこの構えだが、そう言う相手ならまともに突っ込んできたところで後出しで首を撥ね飛ばせる程度の速度は出る。

本来なら刀でやるのが本式なんだが、別に刀でなくとも鉞だろうが斧だろうが槍だろうが大刀だろうが丈八蛇矛だろうが真似事くらいなら十分できる。

 

「……それでは、第一戦……開始だ」

 

賛嬢ちゃんによって沈黙が続いていたこの場に一石が投じられ、見た目は子供同士の戦いは静かに幕を開けた。

 

 

 

 

 

side 公孫賛

 

正直に言って、私は少し驚いている。いや、一夏の変身も少しは驚いたが、やっているのが一夏だと考えるだけでそれが普通のことだと思ってしまうので、それについては本当に少しくらいしか驚いてはいない。

私が本当に驚いているのは張飛の行動の方だ。

一夏のあの構えは間合いが分かりにくいことこの上ない。しかも自分の気配をごまかして攻撃の届く範囲内と範囲外を分ける境界線をずらすことにより、殺気の濃さで相手の攻撃可能範囲内に入ってしまったことを感じ取れるようなある一定以上の腕を持つ武将の感覚の目をごまかすことまでしている。

つまり、一夏の間合いに入ったかどうかを感知するのは結構難しいはずなんだが……張飛は見事に誤魔化されていてわからないはずの間合いの一歩外に居た。

張飛に化けている一夏はしばらく動かなかったが、張飛らしく明るい笑顔を浮かべたままに一歩目を踏み出した。

 

一夏と張飛の武器は全く同じ丈八蛇矛。長さも重さも全く同じで、使っている本人の姿まで同じならば間合いに差が出ることは無い。

つまり、一夏が一歩目を踏み出した直後、張飛が一夏の間合いに入ると同時に、一夏も張飛の間合いに入っていたと、そう言うわけだ。

 

瞬間。張飛は動き始める。この瞬間に動くだろうと集中していた者は見えていただだろうが、張飛の丈八蛇矛が残像を残すほどの速度で動き……甲高い金属音を響かせて一夏の振るった丈八蛇矛の刃を防いで見せた。

 

「……へぇ……やるなぁ張飛。一夏の攻撃防ぐってかなり難しいのに」

 

まあ、実際には一夏はかなり手加減はしていただろうけど、それでも凄い。特にあの構えからの初見の技を防ぐ……びっくりだ。

なんと言うか、張飛は関羽とは違う感じに天才なんだと言うことがよくわかる。関羽は少し考えて数手先までの最善のために動くが、張飛は今この場での最善を考えずに選び取る。この辺りは個人の戦法だから別になんでもいいけど、多分局地的な突破力なら張飛に、継戦能力なら関羽に軍配が上がるだろうな。

 

私がそんな考え事をしている間にも、張飛に化けた一夏は右腕一本で丈八蛇矛(張飛が刃を受け止められた事を考えると、多分柄に鉄芯が通ってる)を振り回して張飛を追いたてる。

理外の怪力を扱う一夏の攻撃は、一撃ごとに張飛の体に馬鹿にならない負荷をかけ続けている。その証拠に、必死に一夏の攻撃を受け止め続けている張飛は歯を食いしばって若干辛そうな表情を浮かべている。

 

「うっ、ぐ、うぅぅぅっ!!」

 

何度も響く金属音。刃を潰してあるとはいえ、あんな速度で首に当たったら首くらい簡単にへし折れてしまうだろう。

実際には一夏がちゃんと手加減をして酷くても痣くらいで終わらせるだろうが……まあ、緊張感を持つことは良いことだよな。

 

「ぱ、白蓮ちゃん? あの人はいったいなんなの?」

 

一夏が化けてから今までずっと固まっていた桃香がようやく再起動して、私に問いかけてきた。

だが、正直に言って私も一夏が何かと聞かれても答えられないし、ちゃんとした解答を持っていない。

私に言えるのは……

 

「あいつの名は……自分で聞きな。誰かと言えば、私の盟友だよ」

 

……と、これくらいなんだよな。

こんな答えで納得するとは思えないが、私はこれ以上一夏を語る言葉を持っていない。

多く語ればそれだけ本人から離れていく気がするし、私自身も一夏の事を完璧にわかっている訳じゃないしな。

 

……まあ、一言で表すんなら……眠たがりの賢者か破壊神、ってところかね。知らんけど。

 

 

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