真・恋姫†無双~ほんとはただ寝たいだけ~   作:真暇 日間

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自己紹介、遅いよな

 

 

今日の夕飯にはドラゴン肉をふんだんに使ってみた。

ちょっと遊び心が湧いてマテリアルマーチで『冷凍竜肉』を作ってみようとしたら本当にできてしまった。

まあ、作ったからには使わないともったいないのでこうして料理をしているわけだけど……ドラゴンって、蜥蜴肉をジューシーにした感じの味なんだな。ちょっとばかし驚いた。普通に美味い。毒も無いようだし、採るのが多少難しい点を除けばかなりいい食用肉だと思う。

 

そんなわけでドラゴン肉をぶつ切りにしてタレに漬け込み、しばらくしてから取り出して長い串に刺して炭火で焼く。

タレが焦げるいい匂いが辺りに立ち込め、

 

「……………………(じーーーーー……と串焼きを見つめる)」

「お帰り。でもまだ焼けてないからもうちょっと待ってて?」

「…………わかった」

 

家主の娘さんが釣れた。

 

「……くんくん……くんくん…………」

 

ついでにあのちっちゃい軍師らしき娘さんも釣れた。どうやら大人気のようだ。

 

今のうちに炊きたてのご飯の量を確認して、それから様々な野菜を使ったサラダを用意する。

家族の犬猫達にはそれ用にネギやらにんにくやらを抜いた特別製を作ってあるから文句は出ない筈だ。

あと、今日はどうやらちっちゃい娘さんが客として来るようなので若干多目に作っておく。

元々の量がかなり多いから、まあ、誤差みたいなもんだ。

 

……ああ、でもこのちっちゃい娘さんも家主の娘さんみたいにかなりの大食いだったら困るし……一応家主の娘さん一人分追加しとくか。

 

串焼き以外にも用意しておいたドラゴンの生ハムとかを使ったサラダに、牛肉のように叩いておろし玉葱に漬け込んで柔らかさを更に増したステーキ等々、色々作ってみた。

勿論それだけではなく、肉そぼろやら表面にだけ火を通した刺身(マテリアルマーチに生物《せいぶつ》は作れないため、寄生虫とか細菌とかウイルスとかの心配は一切無し)やらハンバーグやら、とにかく思い付いた肉料理を片っ端から試してみた。

鶏肉に似ているのにジューシーだから挽き肉にしてもちゃんと纏まるし、かなり好評だったと言っておく。

 

なお、家主の娘さんは周りで見ていたこの町の住人達も招いて食事会を開いた。仕事量が増えたが、そのくらいは別に困らない。

ここで全員が家主の娘さんと同等かそれ以上に食べるんだったら苦労したかもしれないが、どうやら他の住人の食事量は俺の知る一般的な人間の範疇だったので、作っておいたちっちゃい娘さん用の分と合わせればそこまで時間もかからなかったし、何より作らなくても作れるという反則技があったし。

 

そんなわけで突如開かれた公開食事会が終わってすぐ、俺はマテリアルマーチで出した皿と机を消失させて片付けを終わらせた。

そして寝ようと思ったところで、ちょいちょいと背中の裾を何かに引っ張られたので振り向いてみると、そこには家主の娘さんの姿が。

 

「……名前……教えて」

 

………………ああ、そう言えば教えてなかった気がする。よく家主の娘さんは名前も知らないような男を自分の家に居候させる気になったな?

まあ、教えてない理由はただ単に聞かれなかったからと言うだけなので、聞かれたなら黙っている理由は無い。

……でも、わざわざ本名を名乗るってのもつまんないよなぁ…………。

 

と言うことで、適当な偽名を使うことに。だけどこの場所がどんな所かわからないので、とりあえず家主の娘さんの名前から聞いてみることに。

 

「そう言う家主の娘さんは?」

「……呂布。……だけど、恋でいい」

「恋殿っ!? このような者に真名を教えるなど、いけませぬ!」

 

ちっちゃい娘さんがギャーギャーと騒いでいるが、家主の娘さんはよくわからないと言うように首をかしげている。わかってはいたが、どうやら家主の娘さんは相当にマイペースらしい。

 

……ところで、名前はわかったが……真名ってなんぞ? どうもかなり重要なものらしいが……。

ついでに言うと、呂布って名前にも聞き覚えがある。確か、中国の武将の名前だった筈だ。天下無双だとか飛将軍だとか言われて恐れられてた筈なんだが……。

 

家主の娘さんを見てみると、ちっちゃい娘さんに『めっ』とやっていた。ちっちゃい娘さんはなんだかショックを受けたような表情だが、どう見ても姉が妹をたしなめている図にしか見えない。

 

…………確かに家主の娘さんはよく盗賊かなにかを相手に戦っていたが、呂布って……。しかも女だし…………。

 

……まあ、そう言う世界なんだろうと納得しておこう。有名どころの武将が女になっている世界だと考えれば、まあ間違いではない筈だ。

それに、確か前にもこんなことがあったような気がするし。具体的にはギルさんとか、腹ペコさんとか。

この広い世界にはありとあらゆる可能性があるんだから、そういった世界があるとしてもおかしいところは何もない。

俺個人としてはかなりおかしいが、それでも周りから見ればおかしくないし、確率論的にもおかしくないはずだ。性別はおよそ二分の一だろうし。

 

……どうでもいいな。とりあえず現実を受け入れよう。この世界の呂布は女だと。

 

さて、こうして家主の娘さん名前を聞いたわけだが、俺はどう名乗るべきか……。

日本人らしい名前はおかしいだろうし、洋風の名前は更におかしい。必然的に中国的な名前になるんだが…………どんな名前をつけるかねぇ……?

できるならあんまり目立たない名前がいいから……銀《イン》でいいか。面倒だし。

 

……どっかで聞いたことのある名前かもしれないが、気にしないでくれていい。どうせ偽名だし。

 

「……それで、お前の名前はなんなのですか?」

 

若干疲れた感じにちっちゃい娘さんが聞いて来たので、俺はちょうどできたばかりの名前を答えた。

 

「俺は銀だ。よろしく、家主の娘さん」

「……恋で……いい」

「じゃあ【恋ちゃん】で」

「……ん」

 

どうやらそれでいいらしい。俺の呼び方は基本的に渾名にちゃん付けだから、この呼び方が大丈夫でよかった。

 

……それじゃあ寝るか。

 

「お休み、恋ちゃん」

「……おやすみ」

 

……ぐぅ…………。

 

 

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