真・恋姫†無双~ほんとはただ寝たいだけ~   作:真暇 日間

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初戦闘まで、もう少し

 

「……銀?」

「なんだね恋ちゃん、お代わりかい?」

「……それもだけど……もきゅもきゅ…………」

 

ごっきゅん、と口の中のものを飲み込んだ恋ちゃんは、いつもよりやや真剣そうな表情を浮かべて俺に向き直る。

 

「……恋と、戦って」

「え、やだ」

 

沈黙が周囲を包んだ。

 

「…………………………」

 

じーーーーーーー……と、恋ちゃんが俺を見つめる。

 

「…………………………」

 

じーーーーーーー……と、俺も恋ちゃんを見つめ返す。

 

「……………………だめ?」

「だめ」

 

俺がそう言ったら、恋ちゃんは少ししゅんとした。何というか、元気がなくなっていつもはぴんと耳を立てている犬が耳と尻尾を萎れさせている姿を幻視した。

そこで恋ちゃんの頭を撫でてみると、若干元気になったような気がする。表情はそんなに変わらないが、雰囲気は嬉しそうと言うか柔らかいものに変わっていった。

 

「……で、恋ちゃんは何で突然そんなことを言ってきたんだ?」

「……なんとなく、銀は恋より強い……そんな気がしたから」

 

……なんだ、恋ちゃんは意外にもバトルマニアだったか。

確かに、何度か見た戦闘が恋ちゃんの本気なんだったら俺は恋ちゃんより強いだろうけど、特に意味もなく戦うのはなぁ……。

 

「だって殺し合いだろ? 恋ちゃんのことは気に入ってるし、殺したくないし殺されたくないんだよ」

「……? 違う……やるのは、試合……」

 

…………ああ、試合ね。てっきり死合いだと思ってたよ。恋ちゃん武将だし、武人だし、殺人経験あるし。

どっちにしろ面倒だからやりたく無いんだけど、ここで断ったらまたしゅんってするんだろうな。

 

……手加減ってあんまり得意じゃないんだけど、再起不能にしない程度なら……まあ、なんとかなるか。

とりあえずそこそこ手加減しなくちゃいけないし、致命傷も避けなくちゃいけないから88ミリガトリングカノンは使えない。ジェノサイドサーカスも使えないし…………ってか、俺の得意武器ってオーバーキルする系統の物が多すぎる。

 

…………ああ、そうか。普通の何でもない武器を普通に使えばいいのか。

丁度サラシさんの飛龍偃月刀とか猪武者の金剛爆斧、それに恋ちゃんの方天画戟も見てるし、作ってやってみるかね。

 

……俺としてはどこぞの狼の名を持つ竜の子の話に出てきた鎧を髪で動かしている武人の使ってた崩天戟が好きなんだが、なんでか作れないんだよなぁ……。

……名前変えれば作れるか? 形はそのまま方天戟にすれば……。

 

……やめとくか。そういう名前をつけるくらいなら名無しの戟で十分だ。

 

ひょい、と戟を取り出す。突きに特化した形状をしているそれを見て、恋ちゃんは首をかしげた。

 

「やるんだったら一回だけだよ」

「……!」

 

恋ちゃんはぱぁっと笑顔になった。まあ、勝っても負けても一回きりだから、大事にしてもらいたいね。どうでもいいけど。

 

……そうだ。一応回復力にブーストかけるために核金いくつか用意しとこうか。

一般人でも腹をぶち抜かれていても三つあれば助かるんだから、こっちなら頭かち割られたり首はねられたりしなければ大体大丈夫なんじゃないか? この世界の武将は素で雑兵を吹き飛ばすようだし。

 

「……準備……できた」

「そう。それじゃあ戦えるところに行こうか。ここでやるわけにもいかないだろうし」

「……ん」

 

恋ちゃんは頷くと、大きな屋敷……と言うか城に向かって歩き始めた。どうやら目的地はその城らしいが、正直あんまりあそこには行きたくないんだよな。いちゃもんつけてくるちっちゃい娘さんとか腹黒陰険眼鏡とかがいるから。

 

……まあ、そんなのは適当に放置しとけばいいんだけどさ。

適当に放置して、恋ちゃんと勝負つけたらさっさと恋ちゃんの家に戻って寝よう。ご飯は終わってるし、腹ごなしくらいで終わるだろう。

 

「お? 銀やないか。何でこんなとこにおるん? ……まさか、やっとここの料理人として雇わ」

「無い」

「……最後まで言わせてくれたってええやん。つれへんなぁ……」

 

……なんで古代中国(多分)で大阪弁なんだろうな? 方言にしてもおかしいと思うんだが。

もし方言だとしたら、どこかに東北弁や九州弁で話す奴が居てもおかしくないよな。わざわざ会いに行きたいとは思わないけど、多少興味はある。

 

「……で、料理人になりに来たと違うんやったら、いったい何でここにおるんや?」

「……恋と、戦う」

「へー、そうなんか。………………はい?」

 

恋ちゃんの言葉を聞いたサラシさんは、一度納得したような表情から二度見という特殊技を使ってきた。やっぱり言語だけでも関西人はノリがいい傾向にあるようだ。

 

「……ウチの聞き間違いか? 銀が恋と戦うて聞こえたんやけど……?」

「…………」(ふるふる)

「間違いじゃないよ。頼まれたから戦いに来たの」

 

そう言ったらサラシさんはため息をついて俺の肩に手を乗せてきた。

 

「あんな? 恋は外見はあれやけど、ものごっつい強いで?」

「知ってる。何度か戦ってるところも見たし、人が千切れながら空を舞うところも見た」

 

……ただ、それならISなしでも鈴やののちゃんの方が強いしな。

 

「……霞。……銀、強い。……ひょっとしたら、恋よりも」

「………………ほんまか?」

「ん……」

 

恋ちゃんがこくりと頷いて、てくてくとどこかに歩いていく。どうやら戦える場所……多分練兵場あたりだろうが……に向かっているようだ。

 

「……まあ、頑張りや」

「とりあえず、お互い死なない程度には」

 

ぽんぽん、と、俺の頭を叩くように撫でたサラシさんの言葉にそう返し、俺は恋ちゃんの後をついていった。

 

……今のうちに色々作戦考えておくかな。長物はかんちゃんに夢現借りた時と、たっちゃんにガトリングランス借りた時くらいしか扱ってないからなぁ……。

 

正確には使った事はあるけど、マテリアルマーチで作ったのをぶん投げて炸裂させるくらいしかやってないし。

 

……それやるとこの城くらいなら消し飛ぶからできないんだよね。

 

……やっぱり震雷か。相手が呂布だって言うなら大丈夫だよな?

ちゃんと防御してくれるだろうし、それどころか反撃してくる可能性だって無いとは言えない。

 

……まあ、頑張ろう。本当は素手のが強いけど。

 

 

 

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