「ふわぁ……眠い……」
朝日が窓から漏れて僕の顔を照らし、意識を覚醒させる。
「眠いけど……今日から学校だし……着替えないと……」
僕───吉井明久はこれからまた一年間通う高校『文月学園』の制服を着る。
「今、何時……って、8時!?ヤバいヤバいヤバい、呑気に朝食とか食べてる場合じゃない!」
というか、昨日ちゃんと時計のアラームセットした筈じゃ……
「……時計の電池、切れた……」
だったら、仕方ない……じゃなくて、急がないと!
僕は急いで着替えて、朝食を食べずに家を出た。
僕は桜が散りゆく道を走る。
この桜を見るのも2回目になるな……後見るとしたら2回か……。
「そう言えば、クラスはどうなるのかな……結構出来てたからBクラス……よくてAクラスかな……」
そう言いながら走っていると、校門の前にやたらガタイのいい黒スーツに身を包んだ男性が立っていた。
「おはようございます、西村先生」
僕は立ち止まって、先生である西村先生に挨拶をする。
「うむ、おはようだ吉井。これがお前のクラスの書かれている封筒だ」
そう言って西村先生は僕に封筒を渡してくる。
「ありがとうございます」
因みに、なぜこういった組み分け発表方法なのかと言うと、ここは世間では珍しく召喚獣システムを採用しているのだ。
この召喚獣システムは、テストの点数がそのまま自分の召喚獣の強さになるのだ。
そして、さらに2年生から試験召喚戦争が始まるのだ。
この2年生からは、成績によってクラス分けがなされて、最高がA組から最低ではF組まで存在し、そのクラスによって設備のランクが違うのだ。
「それにしても吉井、去年からお前の成績を見てきたが教えていた俺としても鼻が高い位に成績を上げたな」
「あはは……先生に教えてもらったからですよ」
西村先生の言う通り、僕は去年からずっと西村先生の手伝いをしながら勉強を教えてもらっていた。
まあ、その際に学園長に頼んで僕の召喚獣を『観察処分者』仕様にしてもらったんだけど……。
あ、観察処分者に関して知らない人がいるかもしれないから説明するね。
観察処分者ってのは名前の通り観察しなければいけない程の事をした人物に与えられる称号のような物。
まあ、先生に頼まれた雑用なんかを代わりにやる人の事だね。
その代わり、生徒には重い物なんかは難しいので召喚獣を先生仕様にされており、物を掴む事が出来る。
その代わり、フィードバックが何割かあるんだけどね。
「吉井、お前は立派だ。胸を張ってそこに書いてあるクラスに向かえ」
僕はそう言われて封筒を開けてそこに書かれている字に目を向ける。
そこには大きく……『A』と書かれていた。
「Aクラスか…「違うぞ吉井。もっと目をこらせ」はい?」
言われた通りよく見てみると……Aの下に小さく「学年主席」と書かれていた。
「が、学年主席!?僕がですか!?」
「ああ、間違いない。しかも今まで出た事のない点数だった……見事だったぞ吉井」
「あ、ありがとうございます……」
僕は半ば放心状態のまま、校舎へと向かった……僕が、学年主席?
「ここは……本当に教室なの?というか、ここは日本なの?」
僕はAクラスの前に来てから入るのを躊躇った。
「リクライニングシートに、個人用パソコンに冷蔵庫……ホテルかなここは?」
そうなのだ、まるでホテルの様な内装に設備なのだ、しかも黒板にあたるのは液晶テレビみたいだし。
「夢かな……」
僕は、念のために頬をつねった。
「痛い……現実か……」
すると
「ちょっと。そこで立ち止まんないでくれる?」
僕は横に飛んで女子に道を譲ったが…
「なに? 私の顔になにかついてる?」
その子は僕の友人に瓜二つなのだ……あれ?
「えーっと、秀吉……じゃないよね?」
僕は、確認のために聞くことにした。
「秀吉は私の弟よ、私の名前は
僕は名前を聞いて思い出した。
そうだった……秀吉には双子のお姉さんがいるって話を聞いた事がある。
僕の目の前に居るのはその木下優子さん、僕の1年生の時のクラスメイトで親友の双子のお姉さんだ。
しかし、本当に似てるな、パッと見じゃ分かりにくいなこれは……。
「で、吉井君はどうせF組でしょ、早く行ったら?」
優子さんは僕が観察処分者だから、最低クラスのF組だと思ったらしい。
ところが!
「残念、僕はAクラスだよ。ほら」
僕は態々これが自分の封筒だという事を見せてから中を開いて見せる。
「嘘、本当だ……しかも、学年主席!?」
「そう、それに関しては僕も驚いてるんだ……」
今だって信じられないって……。
「まあ、僕が観察処分者ってのも間違いなんだけどね……僕は望んでやってるだけなんだから」
「そうだったのね……ごめんね、噂だけ信じちゃって……」
優子さんはやっぱりすごい。こういう時に素直にちゃんと謝れるんだからね。
「いいよ、気にしてないしね。それより早く教室に入ろう」
そう言って僕は横開きのドアを開けた。
指定された席に座り、先生がやってきた。
「皆さん進級おめでとうございます、私はこの2年A組の担任の
そう教壇に立って自己紹介したのは、学年主任の高橋洋子先生だ。
西村先生と同じく、僕が本当は観察処分者ではない事を知っている数少ない先生だ。
(なんてデカさのプラズマディスプレイなんだ、贅沢だなー)
僕は高橋先生の後ろの画面を見て驚いていた。
あれって、最近発売された百万くらいする代物じゃなかった?
「まずは設備の確認をします。ノートパソコン、個人エアコン、冷蔵庫、リクライニングシート、その他の施設に不備のある人はいますか?」
(ある方が不思議だよ……)
僕は、言われた設備があるのを確認しながら思った。恐らく、全員思ったはずだ。
「教材資料は元より、冷蔵庫の中身に関しても全て学園が支給します。他に必要なものがあれば、遠慮などせずになんでも申してください」
(ずいぶんと太っ腹だね……)
僕は肘をつきながら思った。
「それでは、まずは代表に挨拶してもらいましょう。吉井君、前に出てきてください」
「えっ?は、はい……」
僕はちょっと驚いてから席を立つ。やっぱり本当だったんだ……。
「は?なんであいつが代表なんだよ?」
「なんで観察処分者がAクラスにいるんだ?」
「カンニングでもしたんじゃないか?」
うわぁ……みんなの視線とひそひそ話が背中に、というか全身に浴びて痛い……。
僕は狭い思いをしながら教壇の上に立つ。
「えぇと……Aクラス代表になりました、吉井明久です。こんな僕ですけど……信頼してくれるとありがたいです」
「皆さん、念の為に言っておきますが吉井君は観察処分者ではありません。吉井君は善意で手伝ってくれていただけです」
「なぁんだ、そうだったのか……」
「だったら、凄いんじゃない?」
「確か召喚獣を結構頻繁に使ってたんだろ?だったら召喚獣の操作では右に出る者はいないんじゃないか?」
おおっ。皆も僕の利点に気づいてくれたようだ。
そう、日常的に召喚獣を使っていたという事は操作に慣れているという事である。
つまりは……最初っからチートを使っている感じなのである。
「あはは……そんな訳で一年間、どうかよろしくお願いします」
そして、皆から激励の拍手を受けた。よかった……受け入れられて……。
「さて、それでは自己紹介を始めてください」
僕は自分の席に座る。
「うぅぅ……緊張した……」
「大丈夫、吉井君?」
と、隣に座っている優子さんが話しかけてきた。
「ああ、大丈夫大丈夫……慣れないだけだから……」
そうして、僕は机に顔を擦り付けながら皆の紹介を聞いていった。
そして全員の自己紹介が終わった。ふぅ、やっと終わり「それでは最後に」おぉ~い……。
「転校生を紹介します」
転校生?
「入って来てください」
「「「「はい(は、はい)っ)」」」」
………………………あれぇ?僕の耳がおかしくなったのかな……すんごく懐かしい声が聞こえてきたんだけど……。
そしてその転校生が入ってきた。
1人目はピンク色の髪をツインテールに結んだ可愛い顔をした女の子。2人目は青いショートカットのボーイッシュな感じの女の子。3人目は長い黒髪、すらりと伸びた四肢、凛とした顔立ちをしている女の子。4人目は赤い髪をポニーテールにしておりこちらのボーイッシュな感じの女の子。
忘れる筈がない……だってあの子達は……
「えっと、
僕が……
「えぇとね、名前は
文字通り……
「
命を掛けて……
「
救った女の子達だった。