一回戦を終えた僕等はAクラスに戻ってきたんだけど……
「ただいま……あれ?」
「?どうしたの、明久くん?」
「いや……何だか……」
僕は今見えている光景に違和感を感じる。
あ、そうか。
「客が減ってるんだ。僕等が向かう前と後で」
「お客さんが?…………あ、ホントだ」
注視しないとわからない位だけど確かに減っている。
「お、明久か」
「あ、秀吉」
秀吉がやってきた。ちなみに執事服姿だ。
「ちょっと厄介な事が起こっておってな……」
「厄介な事?何か迷惑な事をする客でも来てるの?」
「その通りなのじゃ……」
そうか……。
「あ、その人終わっちゃった……」
「?何を言っておるの……じゃ……」
あれ?二人共、何で僕を見て口をあんぐりさせてるの?
それよりも……
「ねぇ、秀吉。それって同級生?それとも下級生とか……もしかして上級生?」
「あ、ああ。三年生じゃから上級生じゃ」
なるほど……僕等よりも一歳年上なのに礼儀ってのを習ってこなかったんだね……。
「こんな食べ物食えるわけないだろ!」
「まずいしな!」
と、そんな声が聞こえてきた。
なるほど……あいつらか……。
「秀吉。雄二は?」
「あ、ああ。雄二なら霧島と学園祭を回っておってな。あいにく留守なんじゃ……」
「それだったら僕が対応するから。他の皆にはいつも通り接客するように言っといてくれる?」
「わかったのじゃ……(ああ、あの笑顔は……あの三年生、終わったのじゃ……)」
さてと……。
「すいません、お失礼ながらお話はお聞きしますのでお静かにしていただけませんでしょうか」
「なに~お客様に対して静かにしろだって?」
「周りのお客様の御迷惑になりますので」
「おいお前ふざけてんのか?」
「すいません、お失礼ながらお話はお聞きしますのでお静かにしていただけませんでしょうか」
「なに~お客様に対して静かにしろだって?」
「周りのお客様の御迷惑になりますので」
「おいお前ふざけてんのか?」
………………………。
「お客様、いい加減にしてくれませんとこちらとしても実力行使になりますが、よろしいでしょうか?」
「あぁ?やんのか?」
「俺たちを黙らせてみろよ!」
よぅし。言質は取った。じゃ、思う存分やらせてもらおう。
僕はまず坊主頭の方の三年生の背後に一瞬で近づき、首元に手刀を当てて気絶させる。
「常村!?」
ほら、相手を前に友人の心配してる場合?
僕はモヒカン頭の方の腹に捻るように拳を叩き込む。
「がっ……」
そして二人を僕は沈黙させる。
そして僕は二人を肩に担ぎ、廊下に放り投げる。
それを見ていた他のお客様は
「「「「「「(゚д゚)」」」」」」
皆様、ご覧の有様でした。
「皆様、申し訳ありません。お客様方に多大なご迷惑をおかけしました。深くお詫び申し上げます」
僕は深く頭を下げる。
「お詫びとしましては、今ここにおられるお客様方には2割引とさせていただきますので……」
そう言って僕はまどかちゃん達の所に戻る。
「よかったのかの?あんなにして……」
「うん、迷惑をかけたのは事実だしね。それにこういう事をすれば「あそこのクラスはいい所だぞ」って噂が立って客も戻ってくると思うし」
「なるほどの……」
秀吉は感心している。まあ、半分は確かにそう思っていたけどもう半分は単純に気にくわなかったから……かな?
「あら?ここにまどかちゃん達がいるって思ってたんだけどな……」
あれ?今の声、どっかで聞いた事あるような……。
僕は声のした方向を見てみる。
そこには黄色の髪を二つのカールに結んだ僕達の仲間がいた。
「マミさん!」
「あ、明久くん♪久しぶりね♪」
マミさんは相変わらずだな。
「それで、マミさんはどうしたんですか?」
「今日私の通ってる学校、休みでね。それでまどかちゃん達の通う文月学園は学園祭って聞いてたから。様子を見にきたの」
「そうなんですか……何にしろ、これであの時の再現って事ですね」
まあ、まどかちゃん達はいないが。
「そうね……確か、貴方が転校してきてからは私たちと一緒にいたものね」
「杏子ちゃん達、呼びましょうか?」
「いいわ。ここでお客様になってるから」
そう言って優雅に席に座るマミさん。
うぅん、いつ見てもどっから見ても貴族のお嬢様みたいだ……。
「それにしても……明久くんの教育の賜物なのね、ここの執事のレベルが高いのって……」
「は、ははは……」
僕は苦笑する。まあ、今回も悪ノリしてしまった僕も僕だけど……。
「あ、僕休憩時間だ。ごめんね、マミさん」
「いいわ。ゆっくり休んできても。私はここで見守ってるから」
「ありがとうございます。それでは、ごゆるりとお寛ぎくださいませ、お嬢様」
僕は最後にそう言ってその場を立ち去る。
「あ、そういえば今から明久くんも休憩だったね」
そして更衣室にやってきたら女子の更衣室からまどかちゃんが出てきた。
「うん、さやかちゃん達は?」
「私と入れ替わりで入るんだ」
「ふぅん……ねぇ、まどかちゃん。一緒に学園祭を回らない?暇潰しにさ」
「うん、いいよ♪というか、私も誘おうかなって思ってたし」
「よかった、それじゃ行こうか」
「うん♪」
そしてその後は短い時間ではあるけどまどかちゃんと休憩時間を過ごした。
まあ、大半は説得に使っちゃったけど……あ、説得ってのはまどかちゃんにあまり必殺技名を叫ばないようにって事をだよ。
だって聞いてる方が恥ずかしいんだもん……あ、僕の場合は呟く感じだから別に問題は……ないよね?
さやかSIDE
あたしはまどかと入れ替わりでホールに入ったんだけど……。
「ねぇ、杏子……」
「何だ、さやか?」
「あたしの見間違いかな?秀吉と土屋が島田と姫路を必死に抑えてるように見えるんだけど……」
「だったらお前の目も耳も正常だな。あたしの目と耳にも同じような情報がやってきてやがる」
という事は目の前で行われている事は……現実って事だよね?
「抑えるのじゃ!二人共!」
「……明久はただ休憩に向かっただけだ…!」
「邪魔しないでよ!木下、土屋!ウチ達は吉井にお仕置きしないといけないのよ!」
「そうです!あのままじゃあの子が大変な事になってしまいます!」
いや、むしろあんたらと関わった方が明久が大変な事になるんだけど……。
「はぁ……あいつら、明久の事、玩具か何かと勘違いしてねぇか?」
「そうよねぇ……明久にだって意見を言う権利はあるっての……」
あたし達は秀吉達の所に向かう。
「おぉい、あんたらはまだ休憩時間じゃないんだから勝手に出て行っちゃいけないでしょ?」
「そうだぞ。結構忙しいんだからな」
あたし達は島田達を止めようとしたけど
「何よ!邪魔すんじゃないわよ!」
「そうです!それにまどかちゃんが明久君に変な事をされてもいいんですか!?」
「はぁ……」
あたしは思わずため息をつく。
そんなの、こっちは結構ウェルカムなんだけどね……。
明久は全然気づいていないし……。ま、ウェルカムなのはまどかもだけど。というかあたし達五人全員だしね。
「あのね?明久はそんな事しない。これは明久の事を誰よりも分かってるあたし達だからこそ、断言できる。明久は相手の嫌がる事は決してしない」
「そうだな。むしろそんな明久を見たら「お前誰だ?」って感じだし」
杏子もあたしと同じ意見だしね。
「あんた達に吉井の何がわかるってのよ!?」
「そうです!私は吉井君の事を小学生時代から知ってます!」
小学生の時から知ってると……ふぅん?
「それが?」
「「なっ!?」」
「あのね……明久の事を昔から知ってるなら何でそんなに変な考えを持つかな?あたし達は1年っていう短い時間だったけど……明久と関わってきたの。その短い時間の中で濃密な時を過ごして……あたし達は明久を知った。それを否定すんの止めてくれる?」
「さやかに同感だな。明久はどうしようもないようなあたしでも助けてくれた。だからな……明久に何かしたら……」
杏子はそこまで言って、二人に近づく。
「…………命の保証は出来ねぇぞ?」
「「っ!!?」」
ああ……杏子の奴、殺気も込めてたよ、今の……。
まあ、これでちょっとは変わってくれるといいんだけどね……まあ、変わんないんだろうね。
でも、明久は守ってみせる。
明久が……あたし達を守ってくれたように……だって……明久はあたしの最後の希望、だもん……。
SIDE OUT