そして、翌日。僕は食堂にやってきたのだが……いかんせん、Fクラスの男子と女子生徒の疲れ具合が半端ないのだが……。
と、そんな中でもFクラスと離れて朝食を食べている雄二達を見つけてその席に向かう。
案の定雄二達もぐったりしているんだけど……どうしたんだろう?
「おはよう、雄二」
「おお、明久か……おはよう……」
雄二は覇気がない挨拶をしてきた。
「明久か……おはようなのじゃ……」
「……おはよう」
秀吉や康太も同様だ。おかしいな、昨日部屋に戻るまでは何ともなかったのに……戻った後に何かあったんだろうか?
「どうしたの、雄二?何かすっごく疲れてるように見えるけど……」
「疲れもするわ……」
その後、朝食を食べながら雄二は事情を説明してくれた。
何でも女子の入浴時間に合わせるようにFクラス男子が暴走。
そのまま風呂を覗きに行こうとしたらしい。
そして雄二達が女子達の援護に行ったのだが……何でも女子達から信用を得られなかったらしい。
その理由というのが「お前たちも男子だし……あいつらのスパイかもしれない。だから助けなんていらない」というものだったらしい。
僕はそれを聞いて思ったことを口にする。
「アホでしょ」
「そうだよなっ!折角人が親切に助けてやろうって言ってんのにむしろ邪魔者扱いだぞ!?しかも、召喚したらしたで、女子達もなぜか俺たちの召喚獣も構わずに攻撃しようとするしで……」
そこまで言って雄二はテーブルに突っ伏す。
「そのせいで……わしらは、ここまで疲れておるのじゃ……」
秀吉が雄二は続けて言おうとした事を代弁してくれる。
「……不本意」
康太の言う通り、これはあまりにも不本意だよね。
「それにしても明久。この騒動に気づかんかったのか?」
「……あそこまで騒動になれば気づいたと思っていたが……」
ああ、その事ね。
「あはは……実は、僕の泊まってる部屋、完全防音になってるらしくて……」
そう、なぜか僕の部屋だけ完全に防音処置が備わっているのである。
「何でなのじゃ……?」
「さあ……?」
僕自身もわからない。
さて、今日の日程は……というか、この合宿通しての昼は勉強会となっている。
いくつかの部屋を襖を開けて一つの部屋に変えて全てのクラスの生徒が一室に集中している。
そんな中でも全然勉強をしていないのがFクラスの男子生徒だ。
まあ、あんまり関係ないので黙って見てたんだが……
「おい明久。ここってどうなってるんだ?」
「ああ、ここはね。この公式を使って……ここにこう当てはめると……」
「ほうほう……ああ、なるほどな。すまんな、明久」
そう言って雄二は解き方を書いたノートを持ってFクラスの男子達の所に向かう。
雄二は優しいな。
自分では自覚してないだろうけど、僕等のメンバーの中では一番優しいのではないだろうか?
「明久ぁ~お願い、歴史教えてぇ~!」
さやかちゃんが泣きついてきた。
「また?ていうか、杏子ちゃんに教えてもらってたんじゃないの?」
「杏子に教えてもらうと、何か負けた気になるのよ!」
さやかちゃん?言っとくけど普通に勉強じゃ負けてるからね?
「さやか」
「きょ、杏子……!」
「ほら、さっさといくぞ。お前はちゃんと勉強すりゃ本当にいい点数取れるんだから」
そう言ってさやかちゃんの首根っこを掴んで引きずって連れていく杏子ちゃん。
「ああ!明久、ヘルプミー!!」
さやかちゃんはそう叫びながら彼女達で集まっている場所に連れ戻されてしまった。
ちなみに僕は一人で勉強をしています。
「あ、アッキー……ちょっと……」
と、後ろからあだ名で呼ばれる僕。僕をこんなあだ名で呼ぶ人を僕は一人しか知らない。
「何、工藤さん?」
案の定、後ろにいたのは工藤さんだった。
「ち、ちょっとね……康太君の事なんだけど……」
ははぁ、なるほど。康太について知りたいって事なんだね。
「康太君の異性の好みって……知ってる?」
異性、か……。
「うぅん、そこまで踏み入った事は知らないな……でも、工藤さんはそのままでいいと思うよ?」
「え?」
「工藤さんはそのままでも充分可愛いんだし……康太と仲良くなりたいんでしょ?」
「な、仲良くっていうか……そのぉ……翔子ちゃんと坂本君の関係みたいな感じに……なりたいな……///」
工藤さんは顔を赤くしながらそう言う。
「ま、いつも通り康太と接していけばいいと思うよ?」
「そう…なの、かな?」
「うん、大丈夫だよ。僕が保証するから」
僕は親指を立てて所謂サムズアップをする。
「うん……そうだね……ありがとう、アッキー!」
そう言って満面の笑みで康太の所に走っていく工藤さん。
それで……なんだけど……。
「あのさ……姫路さん、島田さん、何で僕ににじり寄ってくるの?」
僕は立ち上がってとりあえず下がる。
後ろに振り向いてみるとそこには予想通り姫路さんと島田さんがいた。
「吉井が工藤に変態的な目線を向けていたからでしょ!?」
いや、僕はただ見てただけなんだけど……。
「吉井君、そんな事してはいけません!お仕置きです!」
「だから、何でそんな事でお仕置きされないといけないのっ!?おかしいと思わないのっ!?」
僕がそう叫んでも二人は寄ってくるのを止めない。
と、近くで勉強していた同じAクラスの男子生徒が二人を注意する。
「あの……代表が困ってるし、意味がわからずにお仕置きとかおかしいんじゃ……」
「何よっ!あんたには関係ないでしょ!」
「そうですっ!関係ない人は黙っていてください!」
「いや、関係ないって……同じクラスで代表だから関係なくはないんだけど……」
「ああ、もう!うっとうしいわね!いいから、どきなさい!」
そう言って島田さんはその男子生徒の腹を殴る。
「がっ!?」
その一撃を喰らって男子生徒はお腹を抑えながらうずくまる。
「だ、大丈夫っ!?ちょっと、ここまでする事はないでしょ!?」
「何よ、ウチは悪くないわ!邪魔したこいつが悪いのよ!」
今、何て言った……?自分は悪くない……?
「おかしいよね……普通人を殴ったりしたら謝るのが常識でしょ?」
「おかしくはないわ!それよりもお仕置きよ、吉井!」
僕は近寄ってくる島田さんの腕を掴んで強引に壁に叩きつけるように投げる。
「きゃああああああああ、がはっ!?」
遠心力も利用して投げたからそれ相応の衝撃が島田さんを襲っているだろう。
「今のはこの生徒の分だ……これで、人の痛みをわかったでしょ?」
「吉井君っ!」
僕は速歩きで近づいてきた姫路さんの腕を取って関節技にかける。
「きゃっ!?痛い痛い痛いっ!!?」
「はぁ……あのね……僕だって怒るんだよ……」
「何だ何だ?」「どうしたんだ?」「Aクラス代表が……」「嘘……」「でも、見てたけど代表には何の罪もないよ」
周りが騒々しくなってきたので僕は姫路さんの腕を離し、殴られた男子生徒に肩を貸す。
「大丈夫?」
「だ、大丈夫です代表……」
「いいよ。とりあえず保健の先生の所にいこう?」
そう言って僕は集まってきていた生徒を押しのけながら保健の先生の常駐している部屋へと足を進めた。