「……………」
「吉井君?吉井君っ」
「えっ?あ、ああ…何、優子さん?」
「何、じゃないでしょ?どうしたの、転校生の子達を見てからずっと呆けてるんだから」
「ごめん、ちょっとね……」
僕は生返事をしてしまう。しかしそんなのはどうでもいい。
問題は……彼女達がこうしているのをあのクサレ兎もどきは知ってるのかって事だ。
知ってるとして何かをすると思うんだけど……まあ、そこん所は後でまどかちゃん達に聞けばいいか。
今は、再会を喜ぶ事にしよう。
「それでは全員自己紹介も終わりましたし、転校生の紹介も終了したので授業に……失礼します」
授業に入ります、と言おうとしたのだろう。しかしその途で携帯電話が鳴る。
「はい……はい……わかりました。失礼します」
高橋先生はそう言って携帯を閉じる。
「FクラスがDクラスに宣戦布告をしたそうです、なので自習にします」
そう言って高橋先生は教室を出た、恐らく呼び出しのために待機するのだろう。
さて、とりあえず……
「ねぇねぇ、まどかちゃん達って前までどこに住んでたの?」
「好きな男の子とかいるの?」
「なんでこの学校に転校してきたの?」
「え、えとえと……」
「やはは……転校生ってどこでもこんな感じに質問攻めに合うよね……」
「そうだな、私の時だってそうだったし」
「私は別に興味はないしね……」
質問攻めに合っているまどかちゃん達に事情を聞かないとな……。
「やほー、吉井君」
「……どうも」
「吉井君」
自己紹介の時に結構アグレッシプな事を言っていた女子、工藤さんと優子さん、それと霧島翔子さんがやってきた。
「……吉井に負けた」
霧島さんは負けて悔しいと思っているのかな?
「確かにね。翔子が代表と思っていたから……」
「……でも、それが今の吉井の実力。誇りに思うべき」
「ありがとう、ちょっとごめんね」
僕は一言断りを入れてから席を立ち、まどかちゃん達の所に向かう。
「ふぅぅ……杏子ちゃんやほむらちゃんの気持ちがよくわかったよ……」
「私は別に気にしていなかったけど……」
「またまたぁ?実は内心オドオドしていたんじゃないのぉ?」
「貴女とは徹底的に話し合う必要がありそうね、美樹さやか……!」
「ホント、さやかって地雷を踏むの上手いよな……」
仲間内4人で話しているまどかちゃん達。それはあの時とまったく変わっていなかった。
「まどかちゃん、さやかちゃん、ほむらちゃん、杏子ちゃん」
「あ、明久君!」
「よ、明久。久しぶりっ」
「久しぶりね、吉井明久」
「久しぶりだな、明久」
本当、まったく変わっていない。
「うん、久しぶり。それで、何でこの学校に来ようって思ったの?」
「「「「学費が安いから」」」」
「それだけの理由っ!?いや、他に理由があるのかもしれないけど……」
僕がそう言うと、ほむらちゃんが近づいてきて
「大丈夫よ、あの兎ゴキブリは来ていないから」
そう、囁いてきた。
兎ゴキブリというのはほむらちゃんがあいつ……キュウべぇを指す時の言葉だ。
ゴキブリというのは簡単な話であいつは世界中に無数にいる為、何匹殺しても何度も何度も湧き出てくる為、名付けられた。
「どういう事なの?」
「なんでも「新しいエネルギーの供給源が見つかったから、僕は失礼するよ」とか言ってどっかに行っちゃったの」
さやかちゃんもやってきてまどかちゃん、杏子ちゃんもやってきて皆で集まって小さい言葉で近況報告のような物をする。
「新しいエネルギー源?」
「詳しい事は言わずにどっか行っちまってな」
「ふぅん……」
何だかあいつの事だから裏がありそうで怖いな……。
「まあ、今はゴキブリの事はどうでもいいわね。それに私たちは学園生活を楽しむ為に来ているんだし……」
ほむらちゃんの言う通りだ。またこのメンバーで遊べるんだな……今から楽しみだ。
その日は本当に自習だけで一日が終わった。まあ、最初の一日だから本当なら昼前には帰れるはずなんだけどそこは文月学園。常識に当てはまらない一日目から授業がある。
まあ、それも試召戦争でなくなったんだけど。
試召戦争っていうのは簡単に言えばテストで取れた点数によって強さが変わる召喚獣同士を戦わせ、相手のクラスの代表を先に倒した方の勝ちだ。
そして、帰宅する頃……
「ねぇ……なんで、皆こっちに来てるの?」
「何でもなにも……私たちの家ってこっちよ?」
僕の疑問にさやかが答える。
いや、私たちの家って……
「目の前にあるの僕が一人で住んでる僕の家のあるマンションしかないんだけど……」
そして、周りには住宅などはない。
まさかとは思うが……皆、このマンションに引っ越してきたんだろうか?
「ま、いいじゃないか。さっさといこうぜ」
そう言って杏子を先頭にマンションに向かっていく皆。ああ、やっぱり皆このマンションに引越したんだね……。
そして僕の住んでいる階まで皆でやってくる。もう驚かないぞ……。
「それじゃ、私はこっちだから」
「私はこっちよ」
「私はこっちだよ、明久君」
「私はこっちね」
僕の右隣がほむらちゃんとまどかちゃん、左隣が杏子ちゃんとさやかちゃんがいる。
つまりは……
「え?一人暮らしなの?」
「ええ、と言っても二人で一つの家を使う事になるけど」
「まあ、勝手知ったるなんたらだから抵抗とかは何にもないけどな」
「という訳で、今日明久の家にいくからねっ」
そう言ってさやかちゃん達は自分達の家に戻っていく。
「一人暮らしか……まあ、僕も人の事は言えないけど……」
僕は半ば諦めのような感じで自分の家に入った。
「しかし、今日はさやかちゃん達が来るのか……ご馳走を作るしかないかな……」
その日、まどかちゃん達は僕の料理を食べて落ち込んでいた。なんで落ち込むのかな……?喜んでくれるならまだしも……。
そして、翌日……。
「おっはよう、明久~~~!」
「ぐっはあああぁぁぁぁぁぁぁ!!!?………………さ、さやかちゃん?」
寝起きは最悪だった。なぜなら……痛みで目を覚ましたからである。
予想通り、僕の上にはさやかちゃんが跨っていた。多分ジャンプして飛び乗ったんだろう。
「やっほぅ、さやかちゃんが起こしにきてやったわよ、明久♪」
そんな風に言いながらも僕の体の上からどいてくれないさやかちゃん。
「ごめんさやかちゃん……苦しいから……早くどいて……」
「むっ。それは遠回しに私の事を重いと言ってない?」
「言ってないから……むしろ軽すぎて心配になるレベルだけど……勢いつけた後のそれだから……」
「あ、あはは、ごめんごめん。久しぶりにやってみたかったからさ」
「ったく……本当に変わってないよね、皆……」
さやかちゃんは時々こうして僕を起こしに来てくれる。しかし、鍵はかけた筈なんだけどな……。
「ああ、杏子がピッキングで開けてたわよ?」
「杏子ちゃん……不良過ぎるよ……」
あれ?その当事者の杏子ちゃんはどうしたんだろう?
「ああ、杏子の事を考えているんだろうけど、今あいつこの家の台所使って朝食作ってるわよ。ちなみに結構猛勉強してたから味は保証する」
味は保証って言っても……。
「まあまあ、さやかちゃんを信じなさいって!」
そう言って僕の肩をばしばしと叩くさやかちゃん。
さやかちゃん……とりあえず、早くどいてくれないかな……。
さやかちゃんを強制的に退かしてリビングに向かう。
そこでは……まさに朝の風景だろうとも言える模範的な朝食が用意されていた。
目玉焼きにウィンナー、サラダにご飯と味噌汁……そしてエプロンを着た杏子ちゃん。
「おっ、やっと起きたか明久。さっさと座れ、朝食の支度は既に済んでるんだからな」
「エプロン姿、妙に似合ってるね、杏子ちゃん……」
杏子ちゃんが着ているエプロンは赤色を主体とし、所々に花の絵がついている可愛らしいエプロンだ。
「お、おかしいか?私としてはいいんじゃないかって思ってたんだけど……」
「い、いや、おかしいとかじゃんくて似合ってるなって思って……」
「そ、そうか……よかった、似合ってないとか言われたらへこんじまってた……(ボソッ)」
最後に何か言ってたけど小さくて聞こえなかった……何て言ったんだろう?
「さ、さあ!早く食おうぜ!冷めちまうよ!」
そう言って慌てるように席に座る杏子ちゃん。まあ、そんなに聞きたい事でもないしいいか。
そして杏子ちゃんお手製の朝食はすごく美味かった。あまり今まで他人の料理を食べた事がなかったからいい勉強にもなったし。
杏子ちゃんは褒めたら「べ、別にこれくらい……///」って言って顔を赤くしたんだけど……それと対照的にさやかちゃんは顔をむすっとさせるし。
そして家を出た所でまどかちゃん達とも合流して学園に向かう。
「にしても、こうしてると本当に中二の頃を思い出すわね」
さやかちゃんは唐突にそんな事を言う。
「まあ、確かにそうだね。僕が転校するまでずっと皆で登校してたし……そういえばマミさんは?」
僕が今言ったマミさんというのは彼女達と一緒に戦った僕等の一個先輩の巴マミさんだ。
「ああ、マミさんだったらさすがに転校するには遅いって事でここの近くの高校にいるよ。時々遊びに来るって言ってたぞ?」
杏子ちゃんが説明してくれる。ありがとうね、杏子ちゃん。
「まあ、巴マミも三年生だからね、この時期に転校してしまえば就職なんかにも影響するだろうし」
ほむらちゃんの言う通りだね。でも、この近くの高校に通ってるのか……また皆で遊べたり出来るんだな……これからが楽しみだ。
前言撤回しよう、ちょっとこれはヤバい……。
「…………(ピクピク)」
「し、しっかりするのじゃ康太!」
「しっかりしろムッツリーニ!今、吐き出させてやるからな!」
「お前はもうちょっと料理を理解してから挑戦しやがれ~!」
「わ、私が何をしたって言うんですか~!?」
話はちょっと前に遡るんだけど……今日は僕の友人である雄二達と屋上でご飯を食べる約束をしてたんだ。その時に雄二達が何で試召戦争を仕掛けたのかを聞こうとも思ってね。
それで屋上に来るとそこには雄二達以外にも島田さんと姫路さんがいた。
島田さんの事は正直言って嫌いだ。なぜか事ある毎に僕に暴力を振るってくる。
その証拠にまどかちゃん達と一緒にやってくると
「吉井ぃ~!何で女子と一緒にいんのよっ!」
とか言って暴力を振るおうとしてきた。まあ、ほむらちゃんが難なく撃退してたけど……。
そして昼食会が開始され、姫路さんが弁当を持ってきたというので披露。
それを見て正直美味しそうだと思った。でも……匂いを嗅いで何だか変だなと思った。
それを料理が出来る杏子ちゃん、ほむらちゃん、まどかちゃん(ほむらちゃんもまどかちゃんも中々のレベル……さやかちゃん?あの子はしないって言ってたよ。全部結婚した夫に任せるって)
そして康太が姫路さんの料理を食べた瞬間……倒れて痙攣し出した。
これには僕等もただ事ではないと思い、何を入れたのかと確認した所…………硝酸を入れたというのだ。
これには僕等もさすがにブチッと堪忍袋の尾が切れる音が聞こえた。
そして僕等で説教中で今ここです。
はぁ……まさか楽しいと思っていた昼休みがこんな恐怖の時間になるなんて……。
そしてあの恐怖の昼休みを越えた休み時間。
「硝酸なんて料理に入れる物じゃないと思うんだけど……」
「そうよまどか。硝酸は結構劇物だから人体に有害すぎる物だし」
まず酸ってついてるんだから入れたら溶けちゃうよ……。
「吉井君、大丈夫だったの?」
「うん、大丈夫だよ。僕等は食べてないし食べた人も何とか吐き出させたし」
いやぁ、本当にヤバかった……。
「にしても、FクラスがDクラスに勝つなんてね」
「でも、設備は交換しなかったんでしょ?代表の考えが読めないわ……」
「ああ、それに関してもわかってるよ」
まあ、大体は予想通りだったな。
「今度Fクラスが試召戦争を仕掛けるのはBクラス。そしてBクラスを倒したら……ここ、Aクラスを狙ってくるよ」
「えっ?Aクラスを?」
「吉井君、それはさすがに……」
「……いや、吉井の考えは当たっているかもしれない」
翔子さんは僕の考えがわかったようだ。
「えっえっ?ちょっと待って、訳がわかんない……」
「さやか……もうちょっと考えればわかると思うんだが?」
「杏子にだけは言われたくない!」
さやかちゃんはそう言いたかったらまず杏子ちゃんとのテスト勝負で一回は勝とうね?確か中二の時に一回も勝ってなかったと記憶してるんだけど……。
「雄二達がDクラスに戦争を仕掛けたのは自分のクラスメイトの士気を上げる為。そして今度はBクラスとの戦争に勝って自分たちだったらAクラスにも勝てるんじゃないかと思わせる事」
「その通りね、おそらくはだけど」
ほむらちゃんも同意してくれている。
「ま、その時になったらわかるよ」
そういえば、Dクラスとの戦争の時、放送で何かしようとしてたけど……あれは何をしようとしてたんだろう……雄二達が来たら聞いてみよっかな……?
そして……二日掛かる激戦の末、FクラスはBクラスに勝った。
その後、Bクラス代表がやってきたのだ。だが衣装が問題だった……なぜかこの学園の女子制服を着てやってきたのだ。これには僕等もドン引き。
まどかちゃん達には見せないようにした。人間ってあそこまで機敏に動けるもんだと思ったね。
そして……翌日、僕等の戦争が始まる……!
こんな感じで色々と端折りましたが概ね原作通りです。これからは原作乖離していきますよ!