Assault Lily with GODZILLA 〜Kings of the earth〜   作:俺っちは勝者の味方ー!

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 お ま た せ

怪獣(タイタン)の存在する世界観ならではの…こんなIF(もしも)があってもいいんじゃないかっていうお話。
ちゃんと一章と繋がります。



髑髏島の白百合
プロローグ;本当の始まり


 

 これは…リリィと地球の神々が邂逅せし壮大な物語の前日譚である。

 

 

 

 

    1952年    

 

 

 

 

 南太平洋に位置する()()()()での夜。二人の男が貨物船〈ワンダラー号〉の残骸のなかで、焚火を挟んで座っていた。

 

 彼らの肌の色、瞳の色、髪の色はどれを取っても共通点が無い。現在の、炎を中心に静かに談笑に興ずる姿からは想像もできないが、七年前の彼らは冷酷無比の『アメリカ兵』と『日本兵』であり、互いの喉にナイフを突きつけ、目を血走らせて、心を殺意で満たしていた。

 

 その時だ、コングが現れたのは。殺し合いを繰り広げていた二人を仲介するように悠然と姿を晒したコングの凝視は、忽ち二人の憎悪を霧散させた。

 それから武器も闘志も軍服も、全てを捨て去るのに大して時間はかからなかった。名をハンク・マーロウ、イカリ・グンパイと言う二人は真の兄弟となり、血の繋がりよりも深く、強く絆を結び、互いに見捨てないと誓い合った。

 

 

 …この日は終日、辛い思いをしたーーーーーースカル・クロウラーが地上に現れ、イウィの村の子供三人をさらい、コングが島の半分まで追いかけ殴り殺した。

 二人は黙って物思いに沈み、辺りを沈黙が包む。火の粉がぱちぱちと弾けたり、遥か遠くから微かに虫やカエルや鳥や獣の鳴き声が響いたりもするが、それは心地のいいものだった。

 

 

「一番おそろしい瞬間て、なんだった?」

 

 

 軍平が尋ねる。彼は英語を話し、マーロウは日本語を話す。互いの言語の扱いは初めは本当に拙いもので、最早会話とは呼べず、身振り手振りを織り込ませたコミュニケーションが主であった。

 だが、同郷の者たちも吃驚するくらい流暢で、日によっては英語のみだったり、日本語のみだったり、あるいは両者が混同したハイブリッドの会話も朝飯前な今となっては、それもいい笑い話だ。

 

 

「今日は相当やばかったな。お前は?」

 

 

 マーロウが言う。軍平は長い間沈黙し、炎を見つめていた。一点に集中するその眼差しはとても呆然としているようには見えず、答えを見つけ出そうと思いを彷徨わせているのかもと考えた。マーロウはそれでかまわなかった。時間はたくさんあり、それを急いで消化する必要もここにはない。

 

 …ふと、今日起きた出来事を思い出す。あの胸糞悪い大蜥蜴が音もなく地底から這い上がり、平穏だった村の陰にひっそりと身を隠し、無慈悲に襲いかかった惨劇を。

 島には山の数ほどの危険が潜み、それがいつ何時自分たちの安泰に牙を向けてくるのかわからない。それを改めて痛感した。

 

 

「なあ、軍平。船の修繕がてら、俺たちで日記を書こう。そんでこの島を出るって時にそいつを手紙にして残すんだ」

 

 

 軍平の瞳に映るものが炎からマーロウへと変わる。

 

 

「手紙に残す、か。しかも俺たちが過ごした日々を」

 

「俺と軍平はここに来ていっぺんどん底を味わった。けれど、互いに支えて救われて、ここまで来れた。兄弟になった。だが、もし仮に、俺たちが島を脱出した後、不運にもこの島に()()が迷い込んだとしたらどうなると思う?さらに最悪なことに、自分一人しかいなかったら?」

 

「それは……ああ、そうか」

 

 

 そこまでいって軍平の疑問の念は解消された。要は先達として、手紙という形でこの島で生き残る術を留めておこうと言うのだ。

 確かに、隣に頼れる人(マーロウ)がいなくて、イウィに見付けられることもなく、一人森を徘徊している状況を思い浮かべると流石の軍平でも心細さを覚える。この島は()()()()()()から殊更に。

 

 

「意味のあるものは、一見無意味に思えるものたちから生まれてきたんだ!それにいい退屈凌ぎにもなる。だろ?」

 

「…ああ、マーロウの言う通りだな。毎日の楽しみがまた一つ増えることは喜ばしいよ」

 

 

 軍平が微笑むとマーロウの心は踊った。普段は表情に差を出さないくせして、こういう時に気持ちの良い顔を浮かべるのは軍平の悪いところだ。

 

 

「それと、さっきの質問」

 

 

 続けて軍平が言った。

 

 

「やはり俺は、ここではじめて俺たちが会った日が一番おそろしかった」

 

「はじめてコングを見た時か」

 

「違う。俺が一番怖かった瞬間は、奴が現れる直前、危うく親友を殺しかけた時だ」

 

 

 

 

    2052年    

 

 

 

 

 ここは先の出来事より100年の時を経た例の島ーーーーーーの沿岸部。もとい白く輝く砂浜である。

 

 島全体を覆う壁のような黒雲と、それと全く真反対の鮮やかな群青色の空とが共存する中、そこにはギラギラ照りつける日差しを浴びる()()()()()()を持つ眠り姫が打ち上げられていた。

 瞳を閉じたままの顔立ちには幼さが残るがしかし、鼻筋が通っており、いずれは美しい女性へと成長することが約束されているかのようだ。

 

 けれども、そんな美麗な少女には()()()()()()()。比喩や誇張表現でもなく、本当に。彼女の右の二の腕から先は跡形も無く消失しているのだ。

 …見れば、全身に酷い火傷を負い、ところどころでは炎症を起こしている。()()()()()なら生きているかも怪しい…正しく満身創痍の状態だ。

 

 

「っ…」

 

 

 そんなボロボロの少女の意識が太陽の煌めきに促され、ついに浮上する。その目覚めの第一声として実に可愛らしいくしゃみが飛び出た。

 

 

「くちっ」

 

 

 それから彼女は右腕のそれを主とした激痛に端正な顔を歪ませながらも、その場を立ち上がる。思ったよりバランスが取り辛く、立ち上がるまでが大変だ。

 

 

「うんしょ、っと。…ここ、どこだろう」

 

 

 腕を丸ごと損傷する大怪我を負ったその時からかなりの日数が経つために、痛みは幾許かおさまってはいる。…が、だとしても、常人であればまずそれには耐え切れない。忍耐強い人間だとて、外聞も意に介さず叫び、その場でのたうち回る。そんな苦しみを与えるはずなのだ、この傷は。

 …しかして、

 

 

「あ、梨璃からもらった制服、せっかくみんなとお揃いだったのにダメにしちゃった」

 

 

 「しかられちゃうかなあ」などと、少女に動じているような気色は一切なく、それよりもむしろ己が身嗜みの酷さを憂いていた。

 とても残念そうに。どこか愛おしそうに。

 

 そこでようやく片腕が無くなっているのに吃驚したが、ほんの一瞬のそれっきりで…少女の意識はすでに前へと向いていた。後ろを顧みるよりもずっと大切な、成し得たいことがあるからだ。

 

 

『百合ヶ丘へーーーーーーーーもう一度、梨璃に…みんなに逢いたい』と。

 

 

 それは子供の夢のように純粋で、希望に満ちていて…けれど、鋼のように固い意志。あるいは、目を覚まして、自分の“ 生 ”を実感した瞬間より芽生えた願い。

 

 片腕を失った現実?それに伴う苦痛?…そんなものは少女の純心を以てとうに打ち負かされていた。

 

 

「よしっ」

 

 

 鬱蒼としたジャングルと、目に付く物が何も転がり落ちていない砂浜とを見比べて、少女は意気込む。血を流し過ぎたためにまだ足元がふらふらして頼りないが、着実にジャングルへと歩みを進める。

 一途な願いを友として、少女は未知へと飛び込むのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 改めて。これはリリィと地球の神々とが織りなす物語の前日譚にして、百合ヶ丘女学院が誇る一柳隊の一員(リリィ)一柳結梨の成長を描く冒険譚である…。

 




Coming soon!

既に製作確定済みの次章だけど、そのさらに次の章で活躍するレギオンはどっちが良い?

  • ヘルヴォル&グラン・エプレ
  • アールヴヘイム&ロネスネス
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