それと、多少長くなったかもしれません…それでも良ければよろしくお願いいたします。
2時間目はIS基礎知識の授業であった。祐樹は事前に出されていた、課題をこなしていたので何となくであったが理解出来ていた。
だが、理解出来ていない人物がいた。その人は教室の中央で冷や汗を垂らしている、一夏であった。
それを見た山田先生は一夏に大丈夫か聞いていた。
「では、ここまで分からない人とかいませんか?」
「…」
「織斑君大丈夫ですか?分からない所があったら聞いてくださいね。何せ私は先生ですから!」
「あ、あの~」
「はい!何でしょうか」
「全部わかりません…」
この言葉に山田先生は戸惑っていた。自分のやり方が間違っているのではないか?同様な事を祐樹に聞いてみた。
「え!?全部ですか?高柳君はどうですか?」
『えっと…事前に勉強していたのですが確認したいことがある感じですかね』
「それじゃあ、概ね理解しているってことでいいですか?」
『はい。その感じで大丈夫です』
「え!わかるのか祐樹!?」
『うん。だけど、復習も兼ねてもう一度勉強するようだけどね』
そんな中千冬が一夏に事前に渡した課題について聞いてみると、古い電話帳だと思って捨てたと答えた。これに千冬は大激怒。鉄拳制裁が行われた。
「織斑。入学前に渡した参考書はどうした?必読と書かれていたはずだぞ」
「え、古い電話帳だと思って捨てました」
ゴチン
「馬鹿者!あれほど『必読』と書いてあっただろう!…再発行するから一週間で覚えろ」
「え!あの厚さはちょっと「いいな!」…はい。わかりました…」
「高柳…君は大丈夫だと言ったがどうだ?」
『はい。参考書の内容は一通り理解しました。けど、やはり実技試験はどうも苦手で…』
「それなら問題ない。ちょうどいい相手がいるからな」
そう言って、千冬はセシリアの方を見た。すると、彼女は祐樹のサポートを行うと高らかに宣言するのであった。
「ご安心下さいませ。高柳さんのサポートはこのセシリア・オルコットが行いますわ!」
「だそうだ。良かったな。それでは授業に戻るぞ」
そう言って、授業は再開された。授業終了後一夏は苦い顔をしながら祐樹の傍に来た。
「千冬姉のげんこつには参ったなぁ」
『それは、参考書を捨てた一夏が悪いよ。あんなに大きく『必読』と書かれているんだからさぁ』
「けど、祐樹はどうやって勉強したんだよ」
『僕は施設にいたマザーに教わったんだよ。参考書の内容を全部点字にしてもらって、それを触って勉強したんだ。ほら、こんな風にね』
そう言って、祐樹は自分が使っていたノートと参考書を見せた。そこには、点字用に写し出された参考書とノートがあった。
「うわぁ~すげえな…これ全部覚えたのか?」
『うん。慣れれば簡単だよ』
「そう言えば、祐樹はいつから目が見えなくなったんだ」
『えっと…「10年前ですわ」うん?』
「10年前、イギリスで起こった列車事故に巻き込まれてそこから目が見えなくなってしまったのですわ」
「えっと…君は誰だ?」
「まぁ!私をご存じない?イギリス代表候補生セシリア・オルコットを!入試主席の!?」
「ごめんな。俺君を知ったのさっきだしさ」
「これだから日本の男性と言うのは『セシリア』うん?」
『セシリア。それ以上はいけないよ』
「ですが、祐樹!『でもじゃないよ』うう…」
『ごめんね一夏。セシリアは昔からこうなんだ』
「ああ、大丈夫だ。ていうか、祐樹とこの子って知り合いなのか?」
『まぁ、知り合いって言えば知り合いかな?それよりも、もうそろそろ授業が始まるよ』
「あ!やべ!次は千冬姉の授業だった!」
そう言って、一夏とセシリアは自分の席に戻って行くのであった。そして、3時間目が始まる前に千冬からこんな提案があった。
「そう言えば今度、ウチの『クラス代表』を決める。クラス代表とは、そのままの意味で生徒会の会議や委員会への出席やその他諸々を決定する時に必要な奴だ。決まれば一年は変更なしだからな。自薦、他薦は問わない。誰かいないか?」
その時1人の子が手を挙げた。
「はい!織斑君を推薦します!」
「わたしも~!」
「賛成!」
「ええ!俺かよ!」
「他にいないか?なら織斑で決定になるぞ?」
「ちょっと待ってよ!俺はやりたくないぞ!」
「諦めろ、自薦、他薦は問わないと言いたはずだ」
「まじかよ!なら俺は祐樹を指名する!」
『はい?』
突然名前を呼ばれたので驚いた祐樹であったが、何となくであったが一夏がこちらに振ると予測はしていた。
そんな話を他所に千冬は話しを進めていく。
「なら、高柳と織斑のクラス投票になるがいいか?」
「ちょっと待ってくれ「お待ちになってください!!」うん?」
一夏が反対意見を言おうとした時に、待った!の声を出した人がいた。セシリアである。祐樹がストップをかける前に彼女は罵詈雑言の嵐を一夏に浴びせるのであった。
「納得が行きませんわ!1組の代表はこの入試主席の私セシリア・オルコットではありませんか!大体、男がクラスの代表なんて恥さらしもいいところですわ!そのような屈辱耐えらせませんわ!」
「大体、このような極東の地まで来てIS技術を学びに来たのに、男が珍しいだけの理由でクラス代表になるなんて、甚だおかしいですわ!あろうことか、その男共の内1人は基礎知識を知らない愚か者。まぁ、高柳さんは別ですけどね」
その言葉に一夏も反論してしまった。
「イギリスだって日本から見れば極東だろうが、それに世界一メシマズ選手権で何年の覇者だよ」
そして、この言葉に祐樹は反論するのであった。
『一夏。今は聞き捨てならないね』
「なんで!?」
『確かにイギリス料理は、フランス料理やイタリア料理などからすると種類が少なく上に食材の多様性も貧弱で、イギリス人自身がイギリス料理の不味さを自虐的にジョークのネタにするほどだ。しかし、それは一部の料理であって、全てではない』
『もともとイギリスの土地は食材のバリエーションが豊かでなかった上に、文化的にも遅れており上流階級で独自の料理があまり発達しなかったし、中流階級にも言えて、サーヴァント制度により伝統料理の継承が失われてしまった。しかも階級社会の維持のため、ジェントルマンが質素倹約と中身のないステータス誇示を進めたため、ますます料理の質はヒドくなっていった』
『とまぁこんな感じなんだ。だから、何も知らないでその国の文化を馬鹿にしないでほしい。それと一夏、スコーンは好きかい?』
「えっ!そうだな…好きだぞ」
『スコーンはイギリス料理なんだよ』
「嘘だ!」
『本当だよ。それに、カレーもイギリス発祥のチキンティッカマサラと言うカレーもあるんだよ』
「そんな!カレーはインドだろ!」
『発祥はインドだけどね。イギリス人の船乗りは航海中にシチューを食したかったがんだけど、当時は牛乳が長持ちしないとの理由で諦めるしかなかった。しかし、牛乳のかわりに日持ちのするカレーの香辛料を使って、シチューと同様の食材で作った料理をイギリス人の船乗りが考案しており、これがイギリス的なカレーの由来のひとつとされるんだ』
この言葉に一夏は黙ってしまうしかなった。そして、祐樹はセシリアの声がする方に体を向けるのであった。
『それとセシリア・オルコットさん』
「は、はい!」
『貴女にも非がありますよ』
「ええ!どうしてですか祐樹!」
『貴女はイギリス代表候補生ですよね。であれば、貴女の発言はイギリスそのものとして受け止められるべきです。ましてや、ここは半数以上が日本人ですし、ISの生みの親篠ノ之束も日本人です。そんな人達を馬鹿にしたのですよ』
「えっと…そんなつもりでは…」
『なくても人とは悪い方向に捉えてしまいがちです』
そう言って、セシリアはクラスの人達を見てると、どことなく白い目で見てくる人達がちらほらいた。
「…」
『確かにオルコットさんの言い分も分かる。織斑先生提案いいですか?』
「なんだ?」
『クラス代表決定戦ですが、
「え!?」
「ちょっと!?」
この言葉に2人が驚いていたが、千冬は無視して話しを進めていくであった。
「理由は?」
『3人の実力を測っておきたいんです。オルコットさんは代表候補生ですから別格ですが、僕や一夏は未知数です。ですからある程度の実力を測っておきたんです』
「それは、クラス代表決定戦でなくてもよかろう」
「そ、そうだよ!祐樹」
『それに、クラス代表にふさわしいか決めてもらう為にもやる必要があると思いますが?』
「確かに一理あるな。どの道戦わなければいけないからな」
「千冬姉!?」
「織斑先生だ。よし、それでは勝負は1週間後の月曜日。放課後の第三アリーナで行う。織斑と高柳、それにオルコットは準備をするように」
そして、3人によるクラス代表戦が始まるのであった。
3時間目終了後。祐樹の机に一夏とセシリアが詰め寄った。それに対して祐樹はどこ吹く風の様に冷静であった。
「祐樹!どうしてこうなんだ!」
「祐樹!どうしてあんな事言ったのですか!?」
『どうもこうああ言わないと収集が付かないからですよ』
「それにしても祐樹が戦う必要ありませんわ。私がいますもの!」
そう言って、ドヤ顔をするセシリア。だが、一夏は納得いかなかった。
「なぁアンタ。アンタは祐樹の何なんだ?」
「あら、私の事を「アンタ」と呼ぶのは貴方が初めてですわ。…いいでしょう。私は祐樹のフィアンセですわ!」
その言葉に祐樹は否定するのであった。
『違うからね。…オルコットさんとは昔知り合った仲なんだよ。それよりも次の授業の準備しないと駄目だよ』
そう言って、祐樹は、ノートや教科書の脇にある点字を触って準備をするのであった。一夏とセシリアも渋々と席に戻って行く。
そして、4時間目が終わり昼休み。多くの生徒達が仲の良い人達と食堂へと向かう。
IS学園の食堂は豪華だった。和・洋・中を揃えており、多くの生徒達からの要望も対応できる。祐樹は白杖を持って、匂いを頼りに食堂へと向かうのであった。
一夏は箒と一緒に行ったし、セシリアも他の子達と行ってしまった。なので1人で来た食堂だが、勝手がわからない。
そもそも、メニュー表を見ることが出来ない為どれが載っているのかわからない。
『困ったな…どうしようかな?』
そんな風に思っていると、後ろから来た女子生徒に声をかけられた。
「あら?何か悩み事かしら?」
『え?』
「ここよ、ここ。あなたの後ろにいるわ」
そこに居たのは、薄黄色のブレザーに黄色のリボンを付け、水色のショートヘアに猫の様な細い赤い目。そして、扇を持ちそこには「お困り」と書かれていた。
『ええ、食事をどうすればいいのか』
「なら、そこにある好きなボタンを押せば食券が出てくるから、それを渡せばいいのよ」
『ええ、そうなんですけどね…』
「なに?どれを頼めばいいか迷っているの?お姉さん的にはね…『違うんです』うん?」
その女子生徒がオススメを言おうとした時祐樹が待ったをかけた。そして、食券機を指差してこう言った。
『えっと…
「カレーのボタンなんて目の前に…え?もしかして貴方…目が…」
『まぁ…そう言うことです』
その言葉を聞いて女子生徒は固まってしまった。そして、理解した。
「ああ、その…ごめんなさいね。てっきり決まっていないと思ってしまって」
『大丈夫ですよ。もう慣れましたから』
「…」
『…それよりも、後ろがつっかえています』
「そ、そうだったわね。えっとカレーライスでいいのかしら」
『はい。お願いします』
女子生徒はカレーライスのボタンを押して食券を祐樹に渡した。
「はい、これがカレーライスの食券よ」
『ありがとうございます。えっとこれをどうすればいいんですか?』
「ああ、説明するわね。一緒に来てちょうだい」
『はい』
そして、自身はそば定食の食券とカレーライスの食券を食堂のおばちゃんに渡すのであった。
「ここに食券を渡すのよ。はい、お願いしますね」
「あいよ。あら、そっちの子は2人目の男性操縦者かい?」
『はい。よろしくお願いします』
「いいね、礼儀正しい子は好きだよ。じゃあカレーライスとそば定食だね。ちょっと待ってな」
そう言って、直ぐにカレーライスとそば定食が祐樹と女子生徒の手元に来た。そして、カレーライスを女子生徒は祐樹のトレーに乗せて一緒に食べようと誘って来たのであった。
「それじゃあ、一緒に食べましょうか」
『え?悪いですよ。教えて頂いただけでも迷惑なのに…』
「いいのよ。お姉さんに任せない!そこが空いているわね」
そう言って、二人掛けの席に案内するのであった。そして、その女子生徒は祐樹と対面する形で座って自己紹介をするのであった。
「それじゃあ、私は更識楯無と言うわ。生徒会長をしているのよ」
『僕は高柳祐樹です。一応2人目の男性操縦者っていう事になっていますが…』
「そうよね。織斑君だけでも大変なのに2人も見つかるなんてねぇ」
『なんか…すいませんでした』
「あ!違う、違うのよ!君は悪くないわよ。それよりも冷める前に食べましょう」
『そうですね。えっと…』
そう言って、祐樹がスプーンを持とうとした時、何処にスプーンがあるのかわからずアタフタしていた。それを楯無は不意にも可愛いと思ってしまった。
「はい。これがスプーンよ」
『あ、ありがとうございます』
「いえいえ。それじゃあ」
「『いただきます』」
そして、互いに食事を終えて雑談タイム。話しは祐樹がクラス代表決定戦に参加することになった所までになった。
「そうなのね。今度の代表決定戦に参加する事になったのね」
『はい。けど、この試合どうしても負ける訳にはいけないんです』
「どう言うこと?」
『まず、僕は一般人で大きな後ろ盾がないです。それに比べて一夏は「ブリュンヒルデの弟」という箔があります。オルコットさんは言わずと知れたイギリス代表候補生です。そんな2人に負けたら、僕はここに居られる事が出来るかどうか。最悪の場合研究施設に行って実験体とかですかね…』
「そんな…」
『だから、何としてでもこの試合は負けられないんです』
「なるほどね…決めた!!」
『はい?』
「代表決定戦まで私が貴方を鍛えてあげる!」
『ええ!そんな悪いですよ。更識さん「楯無」え?』
「私の事は楯無って呼んでちょうだい。貴方の事は祐樹君って呼ぶわ」
『でも…「でもじゃない♪」…わかりました。楯無さんにも悪いですよ』
「大丈夫よ。私の事は心配しなくて「お嬢様?」え、う、虚ちゃん…」
そこに現れたのは、眼鏡にヘアバンド、三つ編みと生真面目な雰囲気を醸し出している。ちなみに巨乳である。
「お嬢様こんなところにいたのですか。もうそろそろで…あれ?」
「う、虚ちゃん!違うのよ!決してサボって居たんじゃないのよ!ただ、祐樹君とお喋りをしていただけで…」
『楯無さん?どうしたんですか?』
「ああ、貴方が2人目の男性操縦者ですか。初めまして布仏虚と言います。IS学園の生徒会に所属し生徒会会計を行っております」
『初めまして。高柳祐樹と言います』
「はい。それでお嬢様、どうしてもこんなところにいたのですか?」
「えっと…ね…」
歯切れが悪い楯無を助けるため祐樹はISのコーチをしてもらっていた事を虚に説明した。
『更識さんにISのコーチをしてもらうように依頼していたんですよ』
「え?」
『実は…』
そう言って、祐樹は先ほど楯無に説明した事を虚にも話し始めた。そして、納得してもらった。
「成程そうでしたか。疑ってしまい申し訳ありませんでした」
「いいのよ。それでこの話し受けてもいいかしら?」
「はい。お嬢様の業務に支障がでなければ…」
そう言って、ジト目で楯無を見る虚。
「だ、大丈夫よ虚ちゃん。それじゃあ、今日から始めましょう。場所は放課後連絡するわね」
『はい。よろしくお願いします』
そう言って、祐樹はトレーと
「お嬢様もしかして彼は目が…」
「ええ、そうよ。それに来週のクラス代表決定戦で、何としても勝たなければならないと言っていたわ」
「そうでしたか…」
「お姉さんとしては、無茶して欲しくないんだけどね…」
「…お嬢様」
「さて、私達も行きましょうか」
「はい…」
そう言って、2人も食事を後にするのであった。
放課後。教室には一夏と祐樹が残っていた。如何やら織斑先生と山田先生から残る様に言われていた。
一夏は参考書の内容を必死に勉強していた。対する祐樹は明日の勉強準備とIS理論の本を読み直していた。
「あ~わかんねー。なぁ祐樹、ここ教えてくれよ」
『何でもかんでも人に聞くのは良くないよ。自分で考えた方がいいよ』
「え~俺達友達だろ」
『その前にクラス代表決定戦で戦う相手だよ。手の内を見せないように、互いに干渉しないように言ったはずだけど』
放課後になる前に、3人で話し合い「クラス代表決定戦が過ぎるまで互いに干渉しない」と確認をした。
その件にセシリアは涙を流しながら返事をするしかなかった。そして、渋々一夏が参考書と向き合っている中で山田先生と織斑先生が教室にやってきた。
織斑先生の手にはスポーツバックとキャリーケースが握られていた。
「あ、まだ居ましたね。良かったです」
「山田先生と織斑先生。どうしたんですか?」
「えっと…織斑君達の部屋割りが決まったのでその連絡と鍵を渡しに来ました」
「え?当面の間はホテルから通うって聞かされていたんですけど…」
「事情が変わってな。ここで寮生活をしてもらう」
そう言って、織斑先生はスポーツバックとキャリーケースを机の上に置いた。
「織斑は一週間分の服とスマホの充電器があれば十分だろ。高柳は施設の人が準備してくださったぞ」
『ありがとうございます』
祐樹はキャリーケースを受け取ると、山田先生からカードキーを受け取った。一夏もスポーツバックを受け取り山田先生からカードキーを受け取ったが、祐樹と部屋番号が違うことに気が付いた。
「あれ?俺が「1025」だけど、祐樹は「1028」だぞ」
『え?そうなんですか?』
「ああ、急な部屋割りだったのでな。相部屋だが、粗相のないようにな」
「それと、お二人は大浴場は使えません」
山田先生からの言葉に一夏は落胆する。如何やら一夏は風呂に入れるのを楽しみにしていたらしい。
「え!?どうしてですか!」
この答えに千冬と祐樹は頭を抱えてしまった。この状況下で言う発言ではないと…
「はぁ~織斑。お前は犯罪者になりたいのか?」
「え?」
『一夏。ここにいる人達は僕達を除いて女の子なんだよ。女子生徒達が入っている風呂に君は入りたいと思うのかい?』
「え?…あ!」
「やっと理解したか馬鹿者が…」
『昔から一夏ってこんな感じです何ですか?』
「まぁ…そうだったな…」
『…心中お察しいたします』
「ありがとうな高柳…」
「?どうしたんだ2人とも?」
そんな苦労も本人は知らずにしていた。その後山田先生から詳しい説明を受けた2人は割り振られた部屋へと向かうのであった。
1028号室の前に来た、一夏と祐樹はここで別れる事になったのだ。
『じゃあ一夏また明日ね。いい?同室の子は女の子の可能性があるからね』
「分かってるって!そうれじゃあな」
そう言って、1025号室へと向かうのであった。祐樹は一抹の不安があるものの、同室の子を待たせては悪いと思い、ドアをノックするのであった。
コンコン
「…どなた?」
『えっと…織斑先生からここに来る様に言われた高柳祐樹です』
中の人がドアを開けると、ヘッドギアを装着した内巻きのミディアムヘアに加え、四角眼鏡(実際は簡易型ディスプレイ)をかけた儚げな少女がいた。
「…」
『えっと…入ってもいいかな?』
「…どうぞ」
『失礼します』
祐樹はキャリーケースを引きながら白杖を持って1028号室に入って行くのであった。それを見た同室の子は不思議がっていた
「…どうしてそれを持っているの?」
『ああ、これですか。これがないと僕は歩けないので…』
「…どうして?」
『僕は…目が見えないんです』
「え?」
そこから祐樹はこれまでの半生について話し始めた。最初は真剣に聞いてた女の子であったが、次第に泣きそうになり終いには号泣してしまった。
「う、う…大変だったんだね」
『まぁ、もう慣れましたけどね』
そう言って、いるとドンドンとドアを叩く音が響き渡った。祐樹は出て行くと何故か焦っている一夏が現れるのであった。
『はい?』
「良かった祐樹!助けてくれ!」
『一夏?どうしたの?』
「その…えっと…と、とにかく来てくれ!」
そう言って、祐樹の腕を掴むと自分の部屋である1025号室まで引っ張って来た。すると、女の子達が物珍しさから集まってきた。
「え?何々?織斑君が高柳君を連れて来ているんだけど」
「てか、ここまで仲良かったんだ」
『ちょっと待ってよ一夏!何処に連れて行くのさ!』
「いいから、来てくれ!じゃないと、俺が死にそうなんだよ」
そして、1025号室まで来るとドアが無惨な姿になっていた。中には剣道着姿の女の子が木刀を持って立っていた。
「どこにいった一夏!」
「げ!まだ怒ってるのかよ…」
『一夏。説明してよ』
「ああ、実はな…」
一夏からの説明を受けて祐樹は、2度目の頭を抱えるのであった。如何やら一夏はノックをせず、部屋に入り入浴上がりの彼女と鉢合わせをしてしまった。
その後、彼女の下着を見てしまい「箒も大きくなったなぁ~」と言ってしまった。彼女は羞恥のあまり怒ってしまい木刀を振り回してドアを破壊してしまった。
事態を収拾できないと思った一夏は祐樹に助けを求めに来たとのことだった。
『はぁ~。じゃあその子と未だに話せていないの?』
「ああ、木刀を持った箒は何して来るかわからんからな…」
『わかったよ。但し、今回だけだからね』
「なんか…すまん」
祐樹は木刀でボロボロになったドアを開けて中に入って行く。それに気づいた箒はすぐさま木刀を隠したのであった。
「た、高柳!どうしてここに…」
『一夏から話しを聞いたんですよ。彼には悪気はないと思うけど、今後は再発防止策を考えたほうがいいかもしれないね』
「うむ…そうなんだがなぁ」
今一つハッキリしない箒に祐樹はある事を確認してみた。
『もしかして篠ノ之さんって一夏のこと…好きなの?』
「んなぁ!そ・そ・そ・そんな事ないぞ///」
何ともバレバレな嘘を付くと祐樹は思ってしまったが、祐樹はバカにせず素直に褒めた。
『いいことじゃないですか。少なとも僕はいいと思いますよ。誰かを好きになると言うことは…』
「高柳?」
『僕はこの目があるから、相手に負い目をかけたくないんですよ』
「高柳…」
『だから、篠ノ之さんは頑張って一夏を振り向かせて下さいね。それじゃあまた明日です』
そう言って、祐樹は出て行こうとしたが、箒に呼び止められた。
「ま、待ってくれ!」
『はい?』
「…私の事は箒と呼んでくれ。苗字で呼ばれるのは嫌いなんだ。その代わりお前の事は祐樹と呼ばせてもらう」
『いいですよ。それじゃあまた明日です。箒さん』
「ああ、また明日だ」
そう言って、祐樹は部屋を後にするのであった。一夏には『もう大丈夫だよ』と言い自身の部屋へと戻って行くのであった。
『ただいま戻りました』
「…おかえりなさい。何か、トラブルがあったようだけど解決したの?」
『ええ、上手く行きましたよ。あ!そいえばまだ自己紹介をしていませんでしたね。』
「…そう言えばそうだったね。私は更識簪」
『僕は高柳祐樹。1年1組です。よろしくお願いしますね更識さん』
「…名前で呼んで。苗字は嫌いなの」
『そうでしたか。なら簪さんで』
「敬語も不要。同い年だから…」
『そうなんだ。なら、よろしくね簪』
そう言って、祐樹は手を差し出したが簪は「?」を浮かべてた。
『ああ、ごめんね。どうも施設にいた頃の癖で、何かに触らないと気がすまない質でね』
「…そうなんだ。何だかおかしいね祐樹は」
『あはは…簪が嫌だったら気にしなくていいよ』
「そんな事ない。少しだけ驚いたから…はい。これでいい?」
そう言って、簪は中に浮いている祐樹の手を取って握手した。
『ありがとう。それとこれからもよろしくね』
「うん。よろしく」
そして、簪と握手した後に楯無との特訓に向かうのであった。
メインヒロインの3人が登場し益々盛り上がって行くかもしれませんが、気長に待ってください。
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