いよいよ代表決定戦です!
祐樹のスマホに『今日の17時に第三アリーナに待っているわね』と楯無から音声メッセージが届いたので、人伝いに第三アリーナに向かう祐樹だったが、ISに乗る際に着るISスーツが無い。
仕方ないので、体操着を持って第三アリーナの隣にある更衣室に入り、着替えて外に出るのであった。
そこには、楯無ともう1人。虚の姿があった。
「あら、時間通りに来てくれたのね。お姉さん嬉しいわ」
『いえいえ。貴重な時間を割いてまで教えて貰っているんです。無駄には出来ませんよ』
「そうですよお嬢様。早く始めましょう」
「分かったわよ。それじゃあ、先ずは祐樹君が乗るISを決めましょうか」
そう言って、楯無は2体のISをアリーナ内に呼び出した。そして、虚がそれぞれのISについて説明した。
「では、私から説明させて頂きますね。まず、祐樹さんから見て左側にあるのが日本純国産の第2世代型IS【打鉄】です。
性能が安定しており使いやすいのが特徴的です。武者鎧のような形態をしており、両肩部分に装備された楯は「破壊される前に装甲が再生する」など防御力に特化しています。武装が近接用ブレード「
ただし、追加装備の種類によっては大幅に変化します。柔軟な仕様の日本製OSによって第二世代でも最大数の
虚の説明を聞いて祐樹は、どういった戦いをすればいいのかを頭の中で考えていた。そして、分からない所を質問するであった。
『布仏先輩一ついいですか?』
「ええ、どうぞ」
『先ほど説明があった【打鉄】の武装ですけど、近接用ブレード「
「ええ、「
『
「ISが操縦者と最高状態の相性になった時に自然発生する固有の特殊能力です。通常は第二形態から発現しますが、それでも能力が発現しない場合が多いですね」
『そうでしたか…ありがとうございます』
「いえいえ。それよりも祐樹さんは凄いですね。これ程詳しく教えたのにすぐに理解できるなんて」
『昔から勉強するのは好きなので』
「とても感心しています。お嬢様もこれくらい出来てほしいんですけどね…」
そう言って、ジト目で楯無を見る。
「や、やだなぁ虚ちゃん~私はちゃんとやっているよ」
「どうだか…それじゃあ、続けますね」
今度は右側にあるISについて説明をし始めた。
「次に祐樹さんから見て右側にあるのがフランス、デュノア社製の第2世代型ISが【ラファール・リヴァイヴ】です。
現在配備されている量産ISの中では最後発ですが、世界第3位のシェアを誇り、7カ国でライセンス生産され、12カ国で制式採用されています。
後継機の【ラファール・リヴァイヴ・カスタムII】の原型で、操縦しやすく汎用性が高いのが特徴的です。それにより操縦者を選ばないことと、多様性役割切り替えを両立しています。
別名『飛翔する武器庫』の異名を持っています」
『飛翔する武器庫ですか?』
「はい。この【ラファール・リヴァイヴ】は汎用性が高いことから多くの装備を積むことが出来ます。ですので多くの国で正式採用されているんですよ」
『成程…』
それぞれの特徴を聞いて祐樹は考えていた。防御力重視の【打鉄】で行くか、武器のバリエーションが豊富な【ラファール・リヴァイヴ】で行くか。
「難しく考えないで初めのうちは直感を信じてみればいいんじゃない?」
『楯無さん…そうですね。なら、これにしてみます』
そう言って、祐樹が選んだのは…
「【打鉄】ですか?」
『はい。僕は火力重視よりも防御力重視の人間なので。だから、【打鉄】にしてみようと思います』
「いいと思いますよ。それでは
虚が作業している中祐樹は【打鉄】に触って実感していた。これがIS。空を飛ぶ力があると知りながら、兵器として使われている。
そう思っていると無意識のうちに『悲しいなぁ…』と出てしまった。
『どうしてこの子達は、こんな扱いをしなければならないのでしょうか…』
「祐樹君?」
『本来は宇宙空間での活動を想定し、開発されたマルチフォーム・スーツだと聞きました。
ですが、ある事件によって従来の兵器を凌駕する圧倒的な性能が世界中に知れ渡ることとなり、宇宙進出よりも飛行パワード・スーツとして軍事転用が始まり、各国の抑止力の要がISに移っていった。そう聞きました』
「…そうね。でも、それが今の常識なのよ」
『僕はISにふれて少しだけしか時間がありません。けど、彼らは…その決定権がない…僕はそれが悲しいと思ったんです』
「祐樹さん…」
『もし、彼らに何らかの意思があるのであれば、僕は空へ…宇宙へ連れていってあげたい。そして、君たちは兵器じゃないって言ってあげたいです』
祐樹の壮大な願いに対して楯無と虚は見入ってしまった。その間に
「うふふ///祐樹さんって凄いですね。私、感動しました」
「ええ、祐樹君らしい考え方だわ。その思い無駄にしちゃあだめよ」
『その…恥ずかしいです///』
その仕草に年上女性の2人にクリーンヒットしてしまった。
『はぅ///』
『?どうしたんですか?』
「な、何でもないのよ…それよりも早く着てみましょう」
『は、はい』
そう言って、祐樹は【打鉄】に触れた。すると、【打鉄】が光の粒子となり祐樹の身体に装着された。
途端に謎の浮遊感が来るが嫌な気分はなく、むしろ心地よい感じだった。
『おお~これがISですか。いいですね』
「装着は問題なしね。気分はどうかしら?」
『問題ありません』
「わかったわ。それじゃあ、先ずは歩行ね。祐樹君、歩いている自分をイメージしてみて。ISはイメージが大事なのよ」
『わかりました。よし!』
祐樹が歩こうとしたら、前のめりに倒れそうになってしまった。仕方なく祐樹は「歩く」と言う行動をこと細かく頭の中で分析してみた。
(落ち着け。先ずは歩くと言う事を細かく分析してみよう。先ず、足を上げる。そして、上げた足を前に出す。最後に地面に着く。これの繰り返しだ)
自身の心の中で繰り返し、動作させる。すると今度はスムーズに歩行が出来た。
『出来た!』
「凄いじゃない!」
「ええ、そうですね。初日でここまで出来る何て…」
『ありがとうございます』
「うん、うん。それじゃあ、歩行の反復練習をしましょうか」
『はい、お願いします』
そして、歩行練習は食堂が閉まるギリギリまで続いた。夕食も楯無と一緒に食べて自室に戻ると、簪がお風呂から戻ってきた。
「…おかえりなさい。何処に行っていたの?」
『ただいまです。夕食を食べに食堂に行っていたんです』
「そうだったんだね。もう寝る?」
『少しだけ勉強してから寝るかな。簪はどうする?』
「私はもう寝るよ。明日も早いから…」
『わかったよ。ベットはどっちを使えばいいのかな?』
「私は奥の方を使っているから、手前が空いているよ」
『じゃあ、僕は手前を使わせてもらうね』
「うん」
そして、祐樹はパジャマとシャンプーやボディソープを持ってシャワー室に入っていた。20分後祐樹が出て来ると、隣のベットで寝息を立てている簪を起こさないように、慎重にして祐樹は勉強をするのであった。
簪が寝て日付も変わる頃になると、アラームから『12時~!12時~!』と音が鳴ったので祐樹は寝る準備をするのであった。
『おやすみ。簪』
次の日。祐樹は食堂へと白杖を持って歩いていた。食堂に着くと昨日同様食券を買うのだが、昨日とメニューが違っている。
悩んでいると後ろから3人の女子生徒に話しかけられ、何とか食券を買うことが出来た。
『う~んどうしようかなぁ』
「あの~何か困っている?」
『え?』
そこには、ショートカットと青いヘアピン、見た目が真面目な性格であり「クラスで一番のしっかり者」がしっくりくる子がいた。
「こっちだよ~ユウユウ!」
『ユウユウ?それって僕の事?』
「うん!祐樹だから、ユウユウ!それで、ユウユウは何してるの?」
祐樹の事をユウユウと言っている子は丈がやたらと長い制服や私服、着ぐるみを着ており常に眠たげな雰囲気を醸し出している。
『えっと…BLTセットを頼もうと思ったんですけど、何処にあるのかわからなくて…』
「え?BLTセットならここにあるよ!はい」
赤髪のショートヘアで元気いっぱいに声をかけて来た子がBLTセットのボタンを押してくれた。
『あ、ありがとうございました』
「いいよ!それよりも一緒に食べない?ちょうど私達もご飯にするところだし」
『いいんですか?なら、お願いします』
そう言って、祐樹はBLTセットを貰って3人の後に付いて行くのであった。その様子をある人物は鋭い目で見ていた。
~???side~
昨日は祐樹にきつく当たってしまいましたわ。けど、祐樹がいけないのですわ。久しぶりに会った人に対してあんな冷たい態度を取るなんて…
「私はあの頃から祐樹に会うのを楽しみにしていたのに…」
そんな彼女を尻目に祐樹が食堂に入って来ると、3人の女子生徒達と話し込んでいる祐樹を見かけてしまった。
「あ、あそこにいるのは祐樹!…うん?はぁ!私と言うものがありながら…他の女と仲良くするなんて…許せませんわ!」
そう言って、彼女セシリア・オルコットは色々勘違いをしたまま食堂を後にするのであった。
~セシリアside out~
セシリアが怒りながら食堂を後にするのと同時に祐樹は、BLTセットを持って3人の女子生徒達と話し込んでいた。
「それじゃあ、昨日は詳しく自己紹介出来なかったから…鷹月静寐って言います」
「布仏本音って言いま~す!よろしくねユウユウ~!」
「相川清香です!ハンドボール部に所属して、趣味はスポーツ観戦とジョギング!よろしくね!」
『布仏…ってことは布仏先輩って?』
「お~お姉ちゃんの事知っているんだ!」
『ええ、昨日ISの歩行訓練で楯無さんと一緒にいたので』
「そうなんだ!だから、お姉ちゃん嬉しかったんだね…」
『どうかしましたか?』
「ううん!何でもないよ」
そして、話題は入学初日にセシリアと抱き合っていたことについて話しが始まった。
「そう言えば、高柳君ってオルコットさんと知り合いなの?」
『え…ええ、まぁ…』
「何か言いにくい事でもあるの?」
『…彼女オルコットさんとは小さい頃イギリス旅行に行った時に知り合ったんです』
そこから祐樹は3年前の列車事故に巻き込まれて両親と両目を失ったことや、そこで出会ったオルコット家での話しなどを断片的ではあるが、話し始めた。
それを聞いていた3人は真剣そのものだった。
『…以上がオルコットさんとの出会いです』
「…そんな事があったんだ」
「何か…悪いこと聞いちゃった感じだね」
「うん…ごめんねユウユウ」
『謝らないでください。それにいつか話さないといけないと思っていましたからね』
「でも…「ほら、ぼやぼやするな!」うん?」
そこには、ジャージ姿の千冬が立っていた。よく見るともうそろそろで1時間が始まる時間帯であった。
「食事は効率よく迅速に行え!私は1年の監督も行っている!」
それを聞いた女子生徒達は、急いでご飯を食べていた。祐樹も遅れまいと食べ終わって3人と一緒に教室へと向かうのであった。
1時間目。千冬は一夏に来週行われるクラス代表決定戦について説明していた。
「織斑。来週の試合だが学園にある予備機がない。従って学園側で専用機を用意することにした」
「専用機!?…1年のこの時期に…」
「羨ましい~私も専用機が欲しい」
「なんだ?そんなにいいのか?」
当の本人は専用機の重要性を理解していなかった。流石にマズイと思った祐樹は専用機の重要性について説明した。
『いいですか一夏。専用機とは言ってしまえばその人専用の機体です。現在、幅広く国家・企業に技術提供が行われているISですが、その中心たるコアを作る技術は一切開示されていないんだよ。
世界中にあるISは 467機。その全てのコアは篠ノ之束博士が作成したもので、これらは完全なブラックボックスと化しており、未だ博士以外はコアを作れない状況にあります。
しかし博士はコアを一定数以上つくることを拒絶しており、各国家・企業・組織・機関では、それぞれ割り振られたコアを使用して研究・開発・訓練を行っているんだよ』
「お~すげぇ!」
そんな一夏が喜んでいると、1人の生徒が手を挙げた。
「あの~織斑先生。篠ノ之さんって篠ノ之博士の関係者ですか?」
「そうだ、篠ノ之はあいつの妹だ」
「え~すごい!じゃあ博士に言えば専用機作ってくれるのかな!?」
「あの人は関係ない!」
その一言で、周りの空気が一変した。どうやら苗字で呼ばれるのが嫌いって言っていたのはこのことだったらしい。
「すまない、驚かせてしまったな。けど本当に関係ないんだ…」
箒の一言でそれ以上の追及はなかったが、その後千冬から祐樹の件で教室は更に盛り上がってしまった。
「なお、高柳は学園から支給される予備機で行う」
『え!』
『織斑先生それは言わないでくださいよ』
「すまんな。つい口がすべってしまった」
この発言に対して、一夏とセシリアは怒りを露わにした。
「はぁ!どう言うことだ!俺に専用機があるのにどうして、祐樹にはないんだよ!」
「そうですわ!私そんな状態で祐樹と戦っても嬉しくありませんわ!」
「それは…『僕がそう望んだからですよ』高柳…」
一夏とセシリアから責められている千冬を尻目に祐樹は説明し始めた。
『まず、オルコットさんはイギリス代表候補生です。既に専用機がある。それに一夏は世界初の男性操縦者です。そんな彼に企業や日本政府が興味を示さない訳がありません。だから、男性操縦者でもISを動かせる為に調査として専用機を与えるのだと思います。
それに、僕はしがない一般人です。だから、これが一番何ですよ』
「祐樹…」
『織斑先生少し喋り過ぎました…申し訳ございません』
「いや、大丈夫だ。それでは授業を続けるぞ」
そう言って、授業が再開されたが、一夏とセシリアからのジト目が気になっていた。そして、授業が終わった直後でセシリアがツカツカと足を鳴らしてこちらにやって来た。
「祐樹!どうしてあんな事言ったんですか!?」
『あんな事とは?』
「とぼけないでくださいまし!自分はしがない一般人だということです!貴方は私たちオルコット家にとっては命の恩人です。そんな人が言う事ではありませんよ!」
『だとしてもです。オルコットさんにとって大事かもしれませんが、世間から見れば一般人が助けたとしか認識されないんですよ』
「ですが…『それに、クラス代表決定戦までお互い干渉はしないと言う事。忘れてないですよね?』そうですけど…」
『そういうことです。では、次は移動授業なので失礼します』
「あ!祐樹!待ちなさい!」
そう言って、祐樹は白杖を持って教室を出て行くのであった。その後もセシリアから執拗に言って来たが、上手く躱していくのであった。
そして、放課後。一夏と箒は剣道場で試合をしたが、余りの体たらくに箒が「一から叩き直す」と言ってずっと剣道漬けの毎日を行っていた。
祐樹も楯無と虚監修の下、歩行訓練→武装の換装→飛行訓練→射撃訓練→格闘訓練と一通りの訓練を受けていた。
そして、クラス代表決定戦前日。今日はその総仕上げとして、楯無からある課題を出された。
「それじゃあ、今日は実戦形式をやりましょう」
『お手柔らかにお願いします』
「大丈夫よ。それで判定だけど私のSEを50%にしたら祐樹君の勝ち。その前に祐樹君のSEが切れたら私の勝ちってことで」
『はい。頑張ります』
『それでは、両者スタート位置についてください』
管制室にいる虚から試合開始の合図があり試合が開始された。
『それでは、これより模擬戦を開始します。…スタート!』
祐樹はスタートと同時に楯無に向かって飛び出し葵を振るった。楯無は避けることなく
その後も鍔迫り合いをしながら一旦は距離を取ることにした。
『…やはり、そう簡単に取らせてくれませんね』
「当たり前よ。これでも生徒会長なんだもの」
『そうでしたね』
「てか、祐樹君どうして私の居場所が分かったの?」
『ISのハイパーセンサーで距離を測ったんですよ。それで楯無さんの位置が分かったんですよ』
「へぇ~ちゃんと勉強しているんじゃない」
『基礎中の基礎ですよ。それにこれもやってみたいんです…よ!』
そう言って、祐樹はスラスターから放出したエネルギーを再び取り込み、都合2回分のエネルギーで直線加速を行う、いわゆる「溜めダッシュ」をして楯無に突っ込んで行った。
『行きますよ!』
「
『でりゃあああ!』
祐樹は楯無と交わる刹那葵を振るい、ダメージを与える事が出来た。
『やった!』
しかし、喜びも束の間。今度は楯無が
「ちょっと不意を突かれたけど、もう手は抜かないわよ!これはどうかしら!」
『は、早い!』
「はい。お終い~」
『ぐわ~!』
『高柳祐樹【打鉄】SEエンプティ。勝者更識楯無!』
こうして、模擬戦は楯無の勝利で幕を閉じた。更衣室から出て来た祐樹はフラフラの状態であった。
「お疲れ様♪どうだったかしら」
『はい。全然出来てなかったと思いました。やはり、一長一短では勝てないですね』
「大丈夫ですよ祐樹さん。お嬢様はロシア国家代表です。強いのは当たり前ですから」
『ええ!楯無さんって国家代表だったんですか…』
「そうなのよ。最も、最近は別の件であんまり活躍していないけどね…」
「けど、そのお嬢様に一太刀浴びせたのです。誇りに思ってもいいと思いますよ」
『布仏先輩…ありがとうございます』
「いえいえ。それと、今度からは虚と言って下さい。妹の本音に会ったと聞いたので」
『わかりました。虚さん』
「ちょっと!虚ちゃんにお礼を言って私にはないわけ!?」
『楯無さんも貴重な時間を割いてくださってありがとうございます』
「まぁ!ちゃんとお礼が出来る子。お姉さん好きよ///」
『と、兎に角明日は全力で頑張りますね』
「ええ、頑張ってらっしゃい」
「健闘を祈っています」
『はい!』
そして、早めに部屋に帰った祐樹は明日の為にイメトレをして就寝するのであった。
放課後。いよいよクラス代表決定戦を行うため一夏、セシリア、祐樹の3人は会場である第三アリーナに集合していた。
それぞれのピットに立っていた3人にサポートとして、1人の生徒の入室を許可している。
「なぁ箒…」
「なんだ一夏」
「この一週間剣道しかしていなかったんだが…」
一夏のもっともな指摘に対して箒はそっぽを向くしかなった。
「オイ!」
「し、仕方ないだろ!ISの貸し出し予約がいっぱいだったのだから!」
「でも、他にもやり方があっただろう?例えば座学とかさぁ…」
「う、うるさい!もう少しで試合なのだ集中していたらどうなのだ!」
「わ、分かったよ…」
実は、箒は少しでも一緒にいたい気持ちがあり、あえて教えなかったのだ。そんな事も知らず一夏は試合の準備をするのであった。
既にセシリアは専用機【ブルー・ティアーズ】を纏ってアリーナ上空に待機していた。
そんな時山田先生と織斑先生が急いで一夏の所にやって来て、専用機の説明をするのであった。
「お、織斑君~」
「山田先生!大丈夫ですか?」
「ええ…何とか…大丈夫…です」
「深呼吸~吸って~吐いて~」
「す~はぁ~…もう大丈夫です。それよりも織斑君の専用機が届きました!」
そう言って、コンテナから現れたのは灰色に両側にスラスターが搭載されているISがいた。
「これが織斑君の専用機【白式】です」
「これが俺の専用機…」
「織斑、時間が限られている。
「お、おう」
だが、予想以上に時間がかかる為千冬はある決断をするのであった。
「まだかかりますか山田先生」
「ええ、あと30分はかかります…」
「そうですか…仕方ない」
そう言って、千冬はある場所へ連絡を入れた。すると、アリーナ内に動揺が起こった。
「私だ。ああ、そうだ。頼む」
「ちふ…織斑先生。どこに連絡したんですか」
「ちょっとな…」
「え?どうして…祐樹が出ているんだ!」
千冬から連絡を受ける数十分前。祐樹がいるピットにはメカニックマンの虚がいた。楯無とじゃんけん3本勝負に勝った彼女は最終チェックを行っていた。
「
『ええ、問題ありません。いつでも行けます』
「ですが、祐樹さんの試合は次のハズです。それまで相手の出方を分析しましょう」
『そうですね「ピーピー」うん?』
「はい。ええ!…わかりました」
『どうしたんですか?』
「今織斑先生から連絡があって、祐樹さんの試合開始が早まって、先にオルコットさんと戦うようです」
『…そうでしたか。わかりました』
「祐樹さん…大丈夫ですか?」
『ええ、どの道オルコットさんや一夏と戦わなければいけないのですから』
「…わかりました。それじゃあ、カタパルトに向かってください」
『了解です』
そして、カタパルトに【打鉄】をセットされ、大空へと向かうのであった。
『高柳祐樹、行きます!』
カタパルトから射出された祐樹はセシリアが待つアリーナ上空へとたどり着いた。
「どうして祐樹が!?最初は織斑さんだと聞いていましたが…」
『如何やら一夏は時間がかかるみたいだから、先に僕が来たんですよ』
「そうでしたか…最後のチャンスを与えますわ。降伏してください!私は祐樹を撃ちたくありません!」
『オルコットさん…いや、セシリア。今更だけどそれは聞けないお願いだね』
「どうしてですか!?貴方は頑張っていました。必死に勉強して訓練もしていました。なのにどうして…」
『今ここで試合を投げ出したら今日までの努力が水の泡になってしまいます。そして何より…こんな僕の為に時間を割いてくださった人々に申し訳がたたないので…』
「祐樹君…嬉しい事言ってくれるんじゃない///」
「祐樹さん…嬉しいですね///」
この言葉を聞いた楯無と虚は改めて祐樹の訓練をして良かったと思うのと同時に、特別な感情を持ち合わせるのであった。
『さて、時間がありません。それじゃあ、始めましょうか』
「…わかりましたわ。そんなに言うのであれば私も代表候補生です。全力でお相手致しますわ!」
そう言って、セシリアは気を引き締めてきた。対する祐樹もハイパーセンサーに全神経を集中させて相手の出方を待つ。
『それではこれより。セシリア・オルコットVS高柳祐樹の試合を始めます。試合スタート!』
先に動いたのはセシリアだった。自身のスターライトmkⅢが祐樹を捉えてビーム光線を撃ってきたのだ
「もらいましたわ!」
《敵ISロックオン。攻撃。ビーム光線到達まで0.4秒》
『回避!』
祐樹はギリギリの所で回避したが右腕をかすめていく。SEが30%減ってしまった。
「なんですって!アレを回避するですって!?」
『今度はこっちから行くぞ!』
「っく!」
対する祐樹は葵を取り出し、セシリアへと肉薄するのであった。だが、セシリアは射撃型特殊レーザービット(ブルー・ティアーズ)を
「さぁ踊りなさい!わたくしセシリア・オルコットとブルー・ティアーズの奏でる
《警告、右側よりレーザー光線。到達まで2秒。警告、左側よりレーザー光線。到達まで4秒》
『…と言う事はそれぞれ独立で動いている。なら…』
祐樹はハイパーセンサーからの情報を基に光線が交差するタイミングを見計らって上に逃げようとした。しかし、それは罠だった。
既にセシリアは祐樹が上に逃げると踏んで待ち構えていた。そして、それに引っかかってしまった祐樹はスターライトmkⅢのレーザー光線をもろに受けてしまった。
「もらいました!」
『なに、ぐわぁぁぁぁ~!』
《警告、残りSE150。残りSE150》
『祐樹君!(祐樹さん!)』
何とか地面への落下は避けたものの風前の灯火となった祐樹に対してセシリアはブルー・ティアーズで囲み涙ながらに降伏をするように言って来た。
「もう…もういいでしょう!何故…そこまで…貴方は頑張るのですか…」
『それは…セシリア、君にふさわしい人になる為だよ』
「え?」
『3年前のあの日、僕は両親と両目を失った。そして、君の家で生活していくうちに君の偉大さを知ったんだ。だから、次に会う時は君にふさわしい人になりたいと思ったんだ。そして、一夏がISを動かしたことによって始まった全国一斉調査で僕にも「適性あり」となった。
だから、思ったんだ。もし、セシリアに会った時にはふさわしい人になろうと…苦手な勉強も頑張った。今度は僕が君に実力を示す番だと思ってね』
「祐樹…」
『だから、僕はどんな状況になっても諦めないと誓ったんだ』
「わかりました。なら、私もそれに答えましょう!」
《警告。上、左、右よりレーザー光線のロックオンを確認》
ハイパーセンサーからの警告を基に祐樹は冷静に作戦を立ててみた。残りのSEは150%対する【ブルー・ティアーズ】は400%。
(さて、どうしたものか…使える武装は近接用ブレード「
(問題はどこにビットがあるかですね…一つ試してみますか)
そう言って、祐樹は近接用ブレード「
すると、左右からボン!と何か破壊された音が聞こえた。如何やら祐樹が撃った弾がビットに当たり2つ破壊されたようだ。
この出来事にセシリアは驚きを隠せなかった。
「な!私のブルー・ティアーズが!」
『そこだ!』
今度は声がする方に撃ってみると、ボンと1つ音が聞こえて来た。これより祐樹は確信した。
(なるほどね…ようは主であるセシリアを守るようにブルー・ティアーズが配備されているって言うことか…なら)
「どうしてここまで追い詰められるんですの」
『それについては試合が終わってから話すよ。そろそろ決着と行こうか!』
「来なさい!!」
『行くよ!セシリア!』
その瞬間楯無との特訓で出した
「
『でりゃあああ!』
祐樹は勝ったと思ったが、そこは代表候補生。セシリアの1枚も2枚も上だった。
「お生憎様!ブルー・ティアーズは
すると、スカート部分から2基のミサイルが発射された。
『!』
避けられないと悟った祐樹はそのまま突っ込んで行った。そして、もろにミサイルを受けてSEが0になった。
ドガーーン!
『祐樹!』
『祐樹君!(祐樹さん!)』
《高柳祐樹【打鉄】SEエンプティ!よって勝者セシリア・オルコット!》
粉塵が晴れると【打鉄】を装着したままの祐樹が真っ逆さまに落ちていくのがわかった。
それと同時にセシリアが駆け寄り祐樹をキャッチしたまま、ピットへと戻って行くのであった。
「祐樹!」
『…』
「祐樹!しっかりしてくださいまし!祐樹!」
『…セシリア?』
「祐樹!良かったですわ。今ピットに戻りますからね」
『…ありがとう。それと負けちゃった』
「何を言ってますの。貴方はよく頑張りました。それと、ピットに戻った時に話しがあります」
『わかったよ…』
こうして、クラス代表決定戦1回戦はセシリアが勝利した。
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