仮面ライダーディブレイカー~紅の破壊者~   作:火野荒シオンLv.X-ビリオン

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シオン「なぁ、今回の内容、13288字なんだが……」
翔「んなもんお前が詰め込めすぎたからだろ知るかそんなこと」
シオン「いや、ね……どうしても次回までに今回のラストの部分を持っていきたかったのと、今回の事件についての大まかな説明が必要だと思ったの……その結果、お前の戦いが短くなったけど」
翔「それはそれで問題だから、後で楽屋裏な」
シオン「Σなんで!?」

※今回も後書きは書きませんが、ちょっとした次回予告………色んな意味でハンカチとティッシュ辺りを用意してください←


仕組まれた罠

翔が裏口に到着する少し前………城では既に、エルティナたちスラム街の住民たちが攻め込んだことを聞き、パニックに至っていた。

城の兵士たちは大慌てで武装し対抗するも、かなり押されてる状況……

この事態は当然、王の間と呼ぶべき場所にいるカリ ナたちにも行き届いており、その場に同席していた草加は片手にネックレスのようなものを幾つか持ちながら、カリナに話しかける。

 

「…あーあ、遂に反乱を起こしちゃったね」

「っ…!まさかこんなに早くにも……!!」

「…ま、こっちは必要なものは手に入れたからい いけどね。こっちもこっちで驚いてるよ…『これ』がこんなに早く手に入るなんて思わなかったから」

 

草加はそう言いながら、手に持つネックレスのようなものを見せびらかすように掲げる。

カリナはにが苦しい顔をしつつ、彼の方を向く。

 

「とりあえず、粗方の反乱軍がここに来るまでが問題だけど。そのために反乱を起こさせたんだしね」

「…お前たちの欲しがっていたそれはちゃんと渡した。だから早く、約束を果たせ」

「言われなくても分かっているさ…この城の最重要機密……その処理を俺たちが引き受ける…だろう?慌てなくてもすぐに終わるさ…それよりもその玉座の下からいけるんだろう?その最重要機密がある場所に」

 

草加は付近に佇む王座を指差しながらカリナに尋ねる。

カリナは苦虫を噛み締めたような顔をしながら、 王座の前に立つと、玉座の腕を置く場所に触れる。

そしてそこに何かのスイッチがあるのか、それを指で押すと、玉座が音を立てながら横にずれ始める。

そして完全に横にずれ終えると、玉座があった場 所の下には、下へと降りる階段が露にされていた。

それを見た草加はにやりと笑みを浮かべながら、カリナに「ご苦労様」とだけ告げると、一人でそのまま階段を下りていってしまった。

それをただ見送ったカリナは……その場で崩れ落ち、ダン、と地面を殴りつけていた。

 

 

「っ…!これでようやく……世界が救われる……そのためだけに…街の者を……スラムの者を……っ!!」

「大王様、とにかく今はこの場から逃げるのです!」

 

オーム大臣はそう言いながら、彼の腕を掴んで立ち上がらせ、緊急用の脱出口がある場所まで連れて行こうとする。

しかしカリナはオーム大臣の腕を振り払うと、まだだと彼に告げる。

 

「まだだ…あの男との約束は、できるだけ反乱軍全員を、ここに呼び寄せろというものもある……もしそれを守らなければ、約束を取り消される可能性だってある。…それに俺も、この場で総てを、打ち明かそうと思っていたんだ…」

「し、しかし…下手したら大王様が殺される可能性だって…!」

「それでも構わない。それが俺の責務だ」

「…大王様……」

 

彼の話を聞いたオーム大臣は、少しずつ力が抜けていく…

するとカリナは彼の腕を引き連れ、緊急用の脱出口がある壁まで連れて行き、そこを開くと、彼を無理やりその中に投げ込んでしまう。

当然オーム大臣は驚くが、その前にカリナはその壁を閉めてしまっていた。

その背後から大きな声が聞こえるが、カリナのいる方からロックを掛けたためか、扉は開く気配がない……

カリナはその場でへたり込みながら、小声でオーム大臣に謝罪していた。

 

「…すまない、オーム大臣……だがこれはさっきも言ったように、俺の責務だ……俺がまいた種は、俺が…」

「―――とりあえず上ってきたが……ここが王が佇むような場所…で合ってるよな?」

「!」

 

すると奥から声が聞こえ、彼はその方を覗いてみる。

そこにいたのは、見たこともない衣装を着た青年で、彼はその青年が反乱軍の……それも首領であると考える。

 

(まさかもうここまで来るとはな……あの者が反乱軍の親玉なら、先にあの者だけに真実を話して、早めに事態を治めやすくすべきか…)

 

カリナはそう考えると、ゆっくりと立ち上がり、そのまま近づきながら、青年に向けて声を掛ける。

 

 

「……貴様が反乱軍の親玉か」

 

 

 

同時刻、城の地下に到達した草加は、地下の中心に立つ。

彼が立ってる場所の周りには、何かの紋様が描かれており、草加はそれらを見渡していく……

そして一通り見渡すと、懐から真っ黒のキューブを取り出し、それを中心において、スイッチのようなものを押していた。

 

するとキューブに青いラインが入り、機械音を発すると、暫くその場でカタカタと音を立てながら、小刻みに動き出す。

やがて動きが小さくなっていき、最終的にはピタリと停止し、青いラインも消えてしまった。

草加は動かなくなったキューブを拾うと、先程手に持っていたネックレスのようなものと、カプセルのようなものを取り出す。

そしてカプセルの突起の部分を押し、地面に投げると、ボン、と軽い爆発が起こり、煙が立ち込める。

やがて煙が晴れてくると、先程カプセルを投げた場所に、蓋の上に何か数字を入力するような機械が取り付けられた鋼鉄製の箱が現れていた。

 

草加はそれに対し何の表情も変えず、箱の蓋を開けると、ネックレスのようなものとキューブをその中に入れてしまう。

そして蓋を閉じ、ロックをすると、取り付けられていた機械に数字を入力し始める。

そしてエンターを押すと、ピーと機械音がなり、同時に箱はその場から消えていた。

 

 

「…さて、あのキューブに本当に"アレ"が入ったのかは疑問だけど、大体の仕事は終わり、っと……後は"始末"と"時間稼ぎ"だな……」

 

草加はそう呟くと、再び階段を登っていく。

そして登っていくこと数分後……自身が入ってきた入り口が見えてくる。

と、同時に何やらカリナと、彼とは別の声が聞こえ、草加は軽く耳を澄ませる。

そして会話の内容を聞いた草加は舌打ちしつつ、玉座を開く。

そしてうっすらとカリナと別の声の主の顔を見た草加は……何故かニヤリとしていた。

 

 

「…おやおや、まさか本当にこの世界に来るとは……」

 

 

 

~~~

 

 

草加が隠し階段のような場所から現れ、翔は顔を歪ませる。

 

「あん?誰だお前」

「名乗る必要はない、かな?一応そこの彼が、名前は出してるからね」

「…ということは、お前がクサカってやつか」

 

草加の言葉を聞いた翔は、なおもライドブッカーの銃口を向けたまま、彼に尋ねる。

対して草加はその事に対し「御名答」と答えていた。

 

「やはり物分かりはいいようだね…登竜翔君?」

「…俺の名前を知ってるという事は、大方ヘルズのメンバーだろ」

「そこまで分かるとは……」

「当然だ。さっきそこの王に、お前が異世界から来たと聞いた。そして俺の名前を知ってるという事は、今まで何回か遭遇したヘルズのやつだと思ったんだよ」

 

草加は自分がどうしてヘルズのメンバーであるのかという理由を勝手に聞かされながらも、純粋に驚く。

―――まさか、ここまで頭が切れるとはね……

草加がそう思っていると、カリナ彼の方に歩み寄ってくる。

 

「…おい!随分早く終わったが、本当に"アレ"は処理したんだろうな!?」

("アレ"…?)

「あぁ……その件は終わらせたよ。けど……まだ反乱軍が集まっていないじゃないか」

「ぐっ…」

「おい、"アレ"ってなんだ?」

 

カリナは草加にまだ反乱軍が集まっていないのを咎められ、思わず何も言えなくなってしまう。

が、そんなのはどうでもよかったのか、翔は彼らの言ってる"アレ"について尋ねる。

それを聞いた草加は軽くため息をつくが、仕方なく語り始める。

 

「(そこら辺については聞いてないのか…)…仕方ない、特別に話してやろうか……」

「!」

「その昔、この世界には【魔物】という存在が数多く生息していた……その中でも取り分け力の強い【魔王】が、この世界に君臨していた、という言い伝えがあるんだ。その魔王は驚異的な力を持ち、人々を苦しめていたらしい」

「…まさかその言い伝えの魔王が本当にいて、実はこの城の下に封印されていた、とかじゃねぇよな…?」

 

すると草加の語りを中断するかのごとく、翔は何となく頭に思い浮かべた結末を述べてみる。

それを聞いた草加は……軽く頭を押さえながら、彼に向けて告げていた。

 

「……君、空気が読めないとか、よく言われないかい?」

「どういう意味だそれは。というか正解なのかよ」

「まぁ、正解ではあるね……それで、話を続きをするけど、その魔王が封印されたのは、約300年前ほどで、当時の魔法使いみたいな者たちが、命を張ってまで封印をしたらしい……」

 

草加はため息をつきながら、再度語り始める。

どうやらこの世界にはかつて、どの世界でもありがちな御伽話のように、魔王を封じ込めるという出来事があったらしい……

その魔王を封じ込めるため、当時の者たちが封印を施し、それをこの城の地下深くに封印したようなのだ。

しかし時が経つにつれ、それは空想の話であると人々が思い始めだし、終いには魔王が封印されてると言われるこの場所に、カリナの先祖が城を建ててしまったようだ。

 

「…それで、その封印がある日少しずつ解け始め、魔王が出てくるのが怖いから、何らかの依頼のような形でお前らがそれの処理をするって買って出た、と。そういうことか?」

「ちょっと残念。現段階ではまだ封印は解かれていき始めてなかったんだよ……ただ、そこの大王様が、ある日地下へ通ずる階段を見つけてね……そしてその地下を色々調べた結果、魔王が封印されてる場所と特定したんだって」

「っ…」

 

草加の話に、側で聞いていたカリナは顔を歪ませる。

そして渋々、翔に話し出して来る。

 

「……本当は反乱軍の者たちが到着したときに話したかったが……俺は1年前のある日………ちょうど俺の親父が死んで少し建った頃だ……そこの、特別な地下に通ずる階段を見つけたのは……俺はオーム大臣や専門家を引き連れ、その地下を降りていき、その地下を調べた……そしたら封印の魔法が何十にも張られていると聞き、更に書物などを調べた結果、ここに魔王が本当に封印されているのを知ったんだ……その時はまだ、封印は解けはじめてはいなかったものの、いつ封印が解けてしまうか分からない……そう思い、俺はできる限り城のものにも知られないように徹底した……」

「…まさか、街やスラムの納税をあげたのも……」

 

翔は彼の言葉を聞くと、それが納税に繋がっているのか尋ねる。

それを聞いたカリナは……ゆっくり首を伊達に振っていた。

 

「大体はそうだ……実行に写したのは7ヶ月前ぐらいだったか……俺は封印魔法を使えるものたちを集めるために、莫大な資金が必要だった……そもそも今の時代で、魔法が使えるものは衰退していて、さらに封印魔法を持つものは一握りしかいなかった……それもほとんどが王族だから単なる話し合いだけでは無理だと考えたからだ。だからできる限り、街やスラムの納税を僅かながらあげて、資金を集めていたのだ…」

「所詮は金で解決するしかなかった、ってことか」

「……だが半年前のある日………そこの男がやって来た」

 

カリナはそう告げながら、隣にいる草加を見つめる。

 

「この男はある日、俺の所にやって来るなり『異世界から来た』と言い出し、更にはどこから存在を知ったのか『この城に眠っている魔王の処理を条件付きで引き受ける』とまで言い出したのだ。俺はにわかに信じられずにいたが、その上でこの男はこの城の秘密……つまり魔王がこの城の下に本当にいたという事実をバラすというのだ。当然街の民に知られてしまえば、パニックが起こる……だから俺は、あえてこの男に任せることにしたんだ」

「……成程、繋がってきた。つまりこういうことか……そこのクサカってやつは、条件付きで魔王をどうにかしてもらいつつ、裏で言いなりになっていた、そういうことか」

 

一通りの話を聞いた翔は、今までの話を整理して尋ねると、カリナは唇を噛み締める。

だがそれでも翔が気になることが、いくつか残ってる……それが気になった翔は、草加の方を向いて尋ねる。

 

「…なぁ、お前はこいつにどんなものを要求した?そしてなんでここにわざわざ反乱軍を呼び寄せるよう仕向けた?そもそもお前たちはなんで、この世界にいたという魔王の処理を引き受けた?」

「いちいち質問が多いね、君も……だけど1つだけ、君の問いに答えてあげるよ」

 

草加がそう告げた途端、何処からか城の兵士でも、反乱軍でもない人間たちが現れる。

が、その人間たちは顔に紋様のようなものが現れ、同時に灰色の体をした【異形】に姿を変えていた。

当然カリナはそれに驚き、翔も何となく意図を察する。

 

「なっ…魔物!?」

(まさかオルフェノクがいたとはな……だが、これで大体予想通りだ)

「君が二つ目に聞いた質問―――それはこのカリナ大王とスラムの反乱軍を、一網打尽にするためさ」

「!?」

 

草加のその言葉を聞いたカリナは驚き、どういう事だと彼に詰め寄る。

が、草加は近づくカリナを殴り飛ばし、地面に倒れた彼をじっと見つめる。

 

「ぐっ…俺を始末する可能性は少しはあった……だが反乱軍の者たちまでだと!?」

「あぁそうさ……大首領が事が終わったら始末しておけ、ってね。反乱軍もまとめて」

「やっぱりな……わざわざここに呼び集める理由があるとしたら、ここに集めた方が始末しやすいからだとは、薄々気づいてた。城の至るところにいる反乱軍を集めた方が効率はいいしな」

 

翔はやっぱりと思いながら、彼らに集めた理由を述べ、それを聞いた草加は「その通り」と返答する。

確かに裏口から入ってきた者もいれば、途中でバラバラになって行動する者もいる……わざわざ探しに行って始末しようとすれば、当然苦労するだろう。

 

だから草加は考えたのだ。カリナも始末するなら、一緒の空間で始末する方が楽だと。

カリナが…彼が魔王の件について深く心配してるなら、それが気になってこの場に残る可能性がある。そう思って。

それを聞いたカリナの顔は青ざめていくが、構わず草加は翔の方向を見る。

その手には携帯電話のようなものが握られており、彼はニヤリと笑いながら、翔に話しかける。

 

「…まぁ、結果としてはまだ集まってないけど……代わりに"君一人"が来たなら、丁度いいや」

「?どういう事だ」

「さぁね、どういう事だろうねぇ…?知りたいなら、俺を倒すことだ」

 

草加がそういうと同時に一体のオルフェノクが、銀色のアタッシュケースを持ってくる。

草加は強引にそれを奪い取ると、アタッシュケースからベルトのようなものを取り出し、腰に巻き付ける。

そして手に持っていた携帯電話のようなもの……"カイザフォン"を回転するように開くと、9、1、3の順番に打ち込んでいく。

そしてカイザフォンの『enter』を押すと、『standing buy』という音声が流れてくる。

 

 

「……変身」

 

 

その一言と共に草加はカイザフォンを"カイザドライバー"に差し込み、平行になるよう押し倒す。

すると彼の体の周りに"フォトンストリーム"と呼ばれる黄色の線が浮かび明かり、眩く発光しながら彼の身を包み込んでいく。

そして光が収まると、そこに立っているのは黒に近いボディに黄色いラインが肺だ他スーツを身に纏い、紫の複眼とギリシア文字のχ(カイ)をしたマスクをした存在だった。

それを見た翔は驚きを隠せないが、同時に興奮が高まっていく。

 

「なっ、カイザだと!?……おもしれぇ!!そこの王様よぉ!死にたくなければ退いてろ!変身!!」

『カメン・ライド ディ・ブレイカー!!』

 

翔は素早くドライバーを巻き付けカードを挿入して変身すると、そのままライドブッカー・ガンモードで発砲する。

だが草加―――否、仮面ライダーカイザは先程アタッシュケースを持ってきたオルフェノクを正面に立たせ、その攻撃を防いでくる。

しかし盾にされたオルフェノクは当然ダメージを受け、体の限界が来たのか灰になって崩れてしまった。

 

『が、ぁぁ…』

「……仲間を盾にするなんて、なかなかやるじゃないか」

「悪いけど、俺は一瞬たりとも、オルフェノクを『仲間』とは認識してないね」

「あぁ、そうか…よ!」

 

カイザの言葉を聞いたディブレイカーは軽く流しつつ、瞬時に懐にカイザの懐に潜り込む。

…が、カイザが素早く後ろに下がると同時に2体のオルフェノクが彼らの間に割り込んでくる。

それを見たディブレイカーは舌打ちしつつ、容赦なくオルフェノクを切り捨て、再度カイザに詰め寄ろうとする。

が、彼を囲うように次々とオルフェノクが集まりだし、ディブレイカーはそれに対してキレ始める。

 

「オイコラァ!!数で攻めるのも立派な戦法だけど少しはテメェ自身の力で戦えよ!!」

「悪いけど、近づきたくはないんだよね……報告通りだとすれば、ディブレイカーのスペックを考えると、一発殴られただけでもスーツが壊される可能性が高いからね……けど安心しなよ。攻撃はするからさ…!」

 

カイザがそう言うと、腰に付いてるホルスターから、こちらもギリシア文字のχのような武器"カイザブレイガン"を取り出すと、銃口のようなものをディブレイカーに向け、濃縮されたフォトンブラッドを発砲する。

ディブレイカーはそれに気付くと、咄嗟に付近のオルフェノクを盾にし、攻撃を防ぐ。

が、カイザは構わず遠距離からの攻撃を続行し、盾になったオルフェノクは限界が来たのか、灰になって消滅していた。

それを離れて見てたカリナは酷い、と言葉を漏らすが、どうやら双方とも、そういったものには関心がないようだ。

 

(『仲間』として認識してないとはいえ、ここまでやるものなのか…!)

「…だぁーもう!斬っても殴っても蹴っても湧き出てくるからめんどくせぇー!!こうなったら一気に凍らす!!」

『アタック・ライド ブリザード!!』

 

と、あまりにもしつこくオルフェノクたちが襲ってくるのに嫌気が差したのか、ディブレイカーはバックルを開き、ブリザードのカードを挿入すると、周囲全体に強い吹雪を発生させる。

吹雪に直撃したオルフェノクたちは氷付けにされ始めていき、それを見たカイザは舌打ち、完全に凍りついたオルフェノクたちを撃ち砕いていた。

 

「ちっ…やっぱり一筋縄じゃいかないか……にしても役に立たないやつらめ……!」

「おーおー、大層ご立腹だな。お前」

「まぁね……元々オルフェノクは嫌いだけど、俺にとって邪魔なやつはもっと嫌いなんだよ……例えば俺の思い通りにならないやつや、俺を好きにならないやつとかな……!」

「いや知らねーし」

 

ディブレイカーはそう言ってライドブッカー・ソードモードを撫でると、再び攻撃を仕掛ける。

だが、またもやオルフェノクたちが現れ始め、今度は遠距離から攻撃が飛び交う。

ディブレイカーは慌ててそれらを切り伏せていくが、そうしてる間にまたもカイザに距離をとられてしまう。

 

(ちっ……近づかれるのだけは阻止しようってか……つか、どっから湧き出てるんだよこいつら!来るときの足音も聞こえねぇし!壁か!?壁でも上ってきてるってか!?)

「……さて、仕留められる自信はないけど、さっさと終わらせようか…」

『Ready』

 

カイザはそう呟きながら、カイザフォンに取り付けられているミッションメモリーを外すと、カイザブレイガンに装填する。

するとグリップの下部から刀身のようなものが現れ、その刀身にはフォトンブラッドが纏われている……

 

だがそれだけでは終わらず、カイザは何処からかリストウォッチのようなものを取り出し、それを腕に取り付ける。

そしてリストウォッチ……"カイザアクセル"からアクセルメモリーを取り出すと、今度はそれをカイザフォンのスロットに装填する。

 

『Complete』

 

するとカイザの胸のアーマーが総て展開し、更に複眼が赤色に変わり、その上ベルト付近以外に流れるフォトンストリームが黄色から銀色に変わり始める。

それらの工程が終わると、そこには先程とは少し違うカイザ……カイザ・アクセルフォームになっていた。

それを見たディブレイカーは驚くが、そうしている間にもカイザAFはカイザアクセルのスイッチを押す。

 

「なっ、カイザのアクセルフォームだと…!?構造的にはアクセルフォームになるのは難しいはずじゃ…」

『start up』

「!」

 

するとカイザAFの動きが急に速くなり、ディブレイカーはその動きを見切ろうとするが、やはりオルフェノクが邪魔で集中しづらい……

そうしてる間にも四方八方から大量の光弾が放たれ、それらに誤発してしまったオルフェノクの体は光の網のようなものに包まれ、身動きが取れなくなってしまう。

 

「(不味い…カイザブレイガンでの必殺技か!くそっ、動きは目で追えるのにこいつらが…)…!しまった!!」

 

するとディブレイカーも不意を付かれ、光の網に捕らわれてしまう。

ディブレイカーは急いでそれを無理矢理引き千切ろうとするが、そうしている間に更に光弾に当たってしまい、余計に身動きが取れなくなってしまう。

 

(くそっ!何重にも重ねてきやがった…!しかも強度がありえねぇぐらいつえぇ…!!)

『3』

(!やばい、もうすぐアクセルフォームの制限時間が終わるということは…!)

 

不意にディブレイカーの耳に、カイザアクセルのカウントを取るような音声が聞こえてくる。

アクセルフォームの基本的な活動時間は35秒……高速移動を行うと9秒になる。

こうしてディブレイカーが捕らわれている間にも、既に7秒弱も経っている……

だが、その残り時間だけでも、今のディブレイカーに向けて必殺技を放つのには十分だ……当然それを食らえば、高確率で死ぬ可能性だってある。

 

(くそっ!無理矢理動こうにもオルフェノク共が邪魔だし…くそっ、早めにジャンプとかで逃げていれば…!)

『2』

「!」

「―――終わりだぁ!!」

『1』

 

2のカウントが鳴ったと共に、カイザAFがディブレイカーの目の前に現れる。

そして1のカウントが聞こえ、同時にカイザAFが逆手に持ったカイザブレイガンを振りかざす。

それを見たディブレイカーは、まるで悔しそうに舌打ちをし、諦めかけていく。

 

 

 

……だが

 

 

 

『Time Out Reformation』

「…!な、ぜ……うごか、な…!」

「…?」

「―――無事に止められたようだな…」

 

 

突然カイザAFの攻撃が止まり、更には制限時間が来たためか、アクセルフォームから通常フォームに強制的に戻っていた。

何が起きたのかと双方は戸惑うが、突然カリナが立ち上がり、ゆっくりとこちらへ向かってくる。

 

「…今のは俺が唯一使える"魔法"だ。元々俺にも魔力は存在していたらしいが、生憎使える魔法が【特定の範囲内の相手の動きを止める】というものだけだからな。使う機会もないから、無事成功する自信はなかったが」

「なっ…!?貴様、裏切るつもりか!?」

「裏切るだと?俺は貴様とは"互いの利益が一致しただけの仲"…と呼ぶべきものだ。互いの目的が終わった今、お前の言いなりにはならん!……それに俺だけを始末するならまだしも、スラムの住民すらも巻き込んだ罪は重い…無論、街の者たちもこの争いに巻き込んだこともな!!」

「なっ……貴様ぁ!!」

 

カリナの一言に、カイザは驚く。

が、その一言が頭に来たのか、怒りが頂点に達したカイザは、動けるオルフェノクたちに彼を殺すよう叫ぶ。

だが……その一瞬の判断が、大きなミスを招いてしまう。

 

 

 

「―――俺を忘れてもらっちゃあ困るぜ…う、おぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!」

―――ブチッ、ブチブチッ、ブチッ

「!?」

 

 

なんと今まで身動きが取れなかったディブレイカーが、何重にも重ねられた網を無理矢理引き千切って、解放されていたのだ。

それを見たカイザは驚き、「バカな…!」と声を漏らすが、動きが止まってる隙を付かれ、ディブレイカーが殴り付けてくる。

もろに攻撃が直撃したカイザのアーマーはバキバキッと不吉な音を立て、そのままカイザは大きく吹っ飛び、近くの壁に激突していた。

それによりカイザの変身が解けてしまうが、ディブレイカーは構わずに、カリナに襲い掛かっているオルフェノクを瞬時に撃破する。

 

「ぐ、っ…はぁ、あ…!」

「…助かった……」

「……本当は助けてもらいたくはなかったが、助けられた以上、少なくとも仮は返してぇからな……何より、俺も流石にこんなところで死にたくなかったし」

「…素直じゃないな、貴様も」

 

ディブレイカーの言葉を聞いたカリナはフッ、と笑う。

そんな彼に軽く調子が狂いつつも、変身を解いた翔はゆっくりとボロボロの草加に歩み寄る。

そして彼の胸ぐらを掴むと、先程の戦いが始まる前に放った言葉について尋ねていた。

 

「…おい、お前。さっき戦いが始まる前に『代わりに俺だけが来たから丁度いい』なんてこと、言ったよな?……どういう意味だ?」

「は、は……そういえ、ば…言った、ねぇ……」

「いいから答えろ。あの時言い放った言葉の意味はどういう事だ」

 

翔は胸ぐらを掴む力を強くし、再度草加に尋ねる。

しかし草加はボロボロながらも、どこか余裕の表情を見せる。

 

「なら…教え、てや……る…お前、たちが…来る、事は……っ!……つい最近、しっ……た…」

「何?」

「…俺、は……大しゅ……りょ……の、命、で……ある、やつと…ここに、来た……っ!」

「…仲間がいるってことか?」

 

翔の言葉に、草加はニヤリと笑みを浮かべる。

するとそれを聞いたカリナは「そういえば」と何かを思い出したような声を発する。

 

「……一昨日、そいつと共に、別の男が俺のもとに来たのだ……」

「別の男?」

「あぁ。だが……そいつと違ってその別の男は、この城には"泊まってない"のだ」

「…なんだと?」

 

カリナの話を聞き、翔はどういう事かと分からずにいる。

すると草加が鼻で笑いながら、その意味を説明し始める。

 

「はっ……まだ…きづか、ない……のか…そいつ、は今…"街のどこか"にっ……もし……した、ら……スラム、に……はい、て……もな…っ!」

「スラムだと?何のために…、……」

 

そこまで聞いた翔は、突如言葉を止める。

―――まず最初に、彼は"自分達がこの世界に来ることを知っていた"と言った……その次にこいつは、今回は他の仲間を引き連れてきた……けどそこの王が"城には泊まらなかった"と言った

―――もしそれが本当だとしたら、今もそいつは街を彷徨いてるはず……けどこいつはその後に【スラム】の単語を出した……

―――けど、何でスラムに行ったんだ…?スラムには見張りとして残っている反乱軍のやつらと、子供にガキ共……そして零が……………!!

 

 

今までの話を聞いて考えた翔は、草加が何が言いたかったのかを、やっと理解する。

と同時に草加の胸ぐらを更に強く掴み、覇気のある顔で尋ねていた。

 

「…おい、まさかお前たちは"俺がこの城に来ることを予め予想していた"のか…?」

「…ようやく、気付いた…よう、だね……確かにその通りさ……報告では既に、君が異常な、までの……戦闘狂なのは、聞いて、たからね……っ…」

「…つまりお前たちの目的は……!」

 

翔が最後まで言いかけた瞬間、突如として草加の身体が光り出し、周りで束縛されたままのオルフェノクたちも輝き出していた。

当然翔は驚くが、草加は強引に翔を引き離し、その場から少し離れる。

 

「…どうやら俺らには…、撤退しろ、って事、か……残念……だね…俺を……殺せ、なく、て……」

「なっ…待ちやがれ!」

 

翔は慌てて草加を捕まえようとするが、彼が触れようとした瞬間、草加も、オルフェノクたちも、その場から消えてしまっていた。

カリナは転移魔法かなどと叫んで驚いていたが、翔の様子がおかしいことに気付き、声を掛けようとする…

……だが翔は、突然彼が上ってきた方の階段へと走り出し始めていた。

と同時に、ようやく辿り着いたのか、エルティナたち反乱軍が昇ってくるのが見える。

 

「なっ、登竜!?貴様、姿が見えないと思ったら既にここに」

「―――退けよ」

「!!?」

 

しかし翔は構わず、彼らの合間を一瞬で潜り抜けていく。

当然エルティナや他の反乱軍は驚き、後ろを向いて彼を見ようとするが、既にその場にはおらず、彼女たちは口をポカンと開けていた。

 

その一方で翔は物凄い速さで階段を降りていく。

そして城の外に出ると、彼はそのままスラムのある道を走っていく。

 

 

 

(……無事でいろよ………"零"……!!)

 

 

 

~~~

 

 

 

時間は約40分ほど前に遡り、スラム街にある反乱軍のアジトと呼ぶべき場所……

その中では、零がうつ伏せになって倒れていた。

周りには10人近くの子供たちがおり、その内の何人かは、彼女の体をちょこちょことつついている。

 

 

「…おねーちゃんだいじょーぶー?」

「う、うん……大丈夫だから……(うー……なんで私がこんな目に……)」

 

それはほんのちょっと前、翔たちが城へ向かった時だった。

とりあえず村人たち全員に隠れられる場所で隠れるよう指示し、最後に子供たちをアジト連れていった……のだが、子供たちが人見知りが激しいのもあり、アジトの中で子供たちが軽く暴れだしたのだ。

とりあえず落ち着かせようとしたのだが、その際棚から本が落ちてきたり、逃げる子供を捕まえようとして頭を打ち付けたり、捕まえた子供が暴れてその子の手が顔面に直撃(しかも普通に痛い)したり……

今はなんとか落ち着いたのか、現在みたいに興味本意でつついたりしてるが、等の本人は(主に頭に色々当たりまくったせいで)、軽くへとへとになっていた。

 

(うー……何度も打ち付けたから頭が痛い……)

「あ、あの……ごめんなさい…迷惑かけて……」

「(あ、昨日の…)いや、いいよ。私は大丈夫だから」

 

すると昨日お礼を言いに来た少女―――リンが、零に向かって謝罪する。

零はなんとか起きながら、嘘ではあるが大丈夫だと彼女に伝え、それを聞いたリンはホッとする。

と、ようやく警戒が解け始めたのか、他の子供たちも零に話し掛けていた。

 

「ねーねーおねーちゃん!このまえのへーしたちたおしたのすごかったー!!」

「どーやったらあんなにつよくなれるのー?」

「おねーちゃんかっこーがおにーちゃんみたーい!!」

「…え、と……」

「こら!ナツ!グレイシー!ルーシア!!お姉ちゃんが困ってるでしょ!!」

 

するとリンが一番はしゃいでだ子供たちを一喝し、名前を呼ばれた子供たちは「ごめんなさーい…」と謝罪する。

しかしその数秒後、リンは零の前で大声を出したことが恥ずかしかったためか、顔を赤くしていた。

 

「…あ、その……」

「(…人見知りとは聞いていたけど、意外としっかりしてるのね…)…クスッ」

「…笑い、ました……?」

「あ、ごめんごめん……でも、しっかりとしたお姉さんなのね」

「……そんなこと…ないよ……エルティナお姉ちゃんに比べたら……私はまだ…」

 

リンは零の言葉を否定するような発言をする。

…確かに彼女たちを引き取ったというエルティナと比べたら、その差は明らかに違うのはわかる……

だがそれはエルティナが大人であるからで、まだ12歳ぐらいのリンはまだ子供であるからだ……当然まとめやすさにも違いがある。

零はそれを思いつつも、「それでも」とリンに語りかける。

 

「それでも……貴女は充分、この子達をまとめる事はできるでしょ?それだけでも充分じゃない」

「でも…」

「大丈夫。自分に自信を持って」

「そーだよ、リンおねーちゃん!リンおねーちゃんはときどきこわいけど……でもそれ以上に優しいもん!」

「ぼくがけがしてないたときも、いたいいたいのとんでいけー!ってしてくれたもん!」

「…みんな……」

 

零の言葉に連れられ、子供たちもリンが優しいこと……大事に世話してくれることなどを次々と話してくる。

それを聞いたリンは軽く涙を流しており、余程嬉しかったととれる……

そんな彼女の表情を見た零は、よかったよかったと笑顔で頷いていた。

……が………

 

 

 

―――キィィィィィィィィン…キィィィィィィィィン……

(?耳鳴り……?)

「…うー……みみがいたいよー……」

 

 

突然彼女たちの耳に、甲高い音が鳴り響く。

しかもその耳鳴りは一向に収まらず、子供たちは全員耳を塞ぎ、零は何かがおかしいと感じ始める。

しかし原因はわからず、音はしばらく鳴り続けたあと、自然と消えていた。

 

 

「……今の耳鳴りはいったい………」

「―――そこにいたのか…」

「!?誰ですか!」

 

突然アジトの入口から、男性の声が聞こえる。

何らかの事情でこっちに来た村の人間か、もしくは城の兵士か……それがわからないまま、零は子供たちの前にたち、身構える。

するとカツ、カツ、と足音が聞こえ、こちらに向かってくるのが分かる……

そして入口に取り付けられたカーテンをどかしながら入ってきたのは………村の者でも、兵士でもない、金髪で皮ジャンのようなものを着た男……

 

 

 

「……やっと見つけたぜ……星野零……!」

 

 

 

その男の正体は………浅倉威だった……

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