仮面ライダーディブレイカー~紅の破壊者~ 作:火野荒シオンLv.X-ビリオン
マギア「…何が起きた?」
「……やっと見つけたぜ……星野零……!」
突然やって来た男―――浅倉威は零の顔を見ると、舌を舐め回す。
彼を見た零はいったい誰なのかと思い、同時に何故自分の名前を知っているのかと疑問を持つ。
そして……彼から"ある雰囲気"が漂っているのを感じ取り、警戒していた。
(…この男……明らかに村人でも、兵士でもない……しかもなんで私の名前を知って……いや、それ以前にこの男………リーダー並の"殺気"を放っている……!)
「…戸惑ってるようだなぁ…?…まぁいい……さっさとゼロとやらに変身しろ」
(ゼロドライバーの事まで知ってるの!?)
ゼロドライバーの事すらも知ってる浅倉に対し、零は驚きと警戒を隠せない……むしろ、こちらの手の内が知られている、そのような気がしてならなかった。
「…なんであなたが、私の名前やゼロドライバーの事を知ってるのか分かりませんが……少なくとも私は貴方と戦うつもりは……」
「―――なら、戦う気を起こしてやるよ……」
零は子供たちの事を考え、浅倉に断りを入れようとする。
…が、浅倉は彼女の言葉を無視し、ポケットから手鏡と、紫色のカードデッキのようなものを取り出す。
そして手鏡を自身の姿を映すように向け、更にそこからカードデッキを手鏡に映す。
すると鏡に映った彼の腹部にバックルのようなものが現れ、更にそのバックルは手鏡から抜け出すように現れ、彼の腹部に装着されていた。
そして手鏡を投げ捨て、口許をニヤァとする。
(!龍騎系統のライダー…!)
「―――変身」
そして浅倉が呟くと、腹部の『Vバックル』にカードデッキを装填する。
すると彼の周りにいくつもの白っぽい影が浮かび上がり、彼の体に重なり始める。
そして影が重なり終えた時、そこに立っていたのは、紫のボディをした仮面ライダー………"王蛇(おうじゃ)"だった。
変身し終えたのを見た零は咄嗟にドライバーを構え警戒するが、王蛇は構わずカードを一枚抜き取ると、"牙召杖(がしょうじょう)ベノバイザー"と呼ばれるものに装填する。
「…試しに使ってみるか…」
『MIRROR VENT』
「…?何も変化がない…?」
しかしカードを装填したのにも関わらず、音声が鳴り響いただけで、王蛇はおろか周りにすら何の影響もない……
しかし油断はできず、零はとりあえず子供たちを先に逃がそう……そう考えたときだった。
「―――キャアアアアアアア!?」
「!リンちゃ…なっ!?」
突如背後からリンの悲鳴が聞こえ、零が後ろを振り向くと、信じられないような光景に目を疑ってしまう。
…彼女と子供たちを囲むように、大きく、長い尻尾が隔てており、その尻尾の持ち主は、大きな紫の蛇……ベノスネーカーが、彼女たちの背後に居座っていた。
『…シャアアア…』
「み、ミラーモンスター!?そんな……いつの間にこの建物に!?」
ベノスネーカーを見た零は、信じられないと言わんばかりの言葉を漏らす。
…ベノスネーカーは本来、ミラーワールドと呼ばれる世界に住まうミラーモンスターと呼ばれる生物……そしてミラーモンスターは、鏡がない限り、現実世界へ出られないのだ。
現にこの建物には、鏡の類いになるものが"全く置かれておらず"、その為音も立てずにこの建物に入るのは、不可能なはずなのだ。
「そんな…いつの間に…!」
「…教えてやろうか……そいつがいつの間にそこにいた理由……それは"さっき使ったカード"だ」
「!」
「さっきのカードは、戦極とか言う男が調整ついでに作ったカードのうちの一枚だ……効果は確か【一定の空間を擬似的なミラーワールドにする】だとか…それにわざわざカードを使わなくても、全体が鏡になるんだとよ…30分も持たんらしいし、生身の人間が消滅することもないらしいがな」
王蛇の言葉を聞いた零は、その意味を理解してしまう。
……恐らく先程が使ったカードは、周囲一体を擬似的なミラーワールドにする、言わば空間系のカードだ。
それにより擬似的なミラーワールドが作られ、更にはその空間が鏡そのものになっている、ということは、【そこの住人であるミラーモンスターはどこからでも現れる】ということになる。
恐らくは地面も鏡になっており、恐らくそこから、本来のミラーワールドから現れたのだろう……それを聞いた零は、不味いと感じる。
(迂闊だった…まさかそんな能力のカードを持ってたなんて…!)
「…まだ変身しないのか…?……だったら"見せしめ"でもしてやるよ…やれ」
「!しまっ…」
王蛇はベノスネーカーに指示すると、ベノスネーカーは待ってたと言わんばかりに、顔を子供たちに向ける。
そして……一人の男の子に襲い掛かると、一瞬で男の子を、飲み込んでしまっていた。
それを見たリンは叫び、他の子供たちは悲鳴をあげる。
「が、ガジル!」
「が、ガジルが…うわぁぁぁぁぁぁ!?」
「いやぁぁぁぁぁぁ!!」
「!」
「…分かっただろ。お前が変身しないと、一人ずつ【殺す】。…いや……俺の【気分次第】で殺すかもなぁ……?今の調子でいくなら、大体3ふ…」
「っ…よくも…!変身!!」
『ミドリ!シップウ!!』
マスクのせいで見えないが、明らかにマスクの下で笑っているであろう王蛇の言葉を聞き、零はできるだけ気持ちを抑えながらも、怒りを露にする。
そしてゼロドライバーを巻き、直接グリーンフォームに変身すると、速攻で王蛇に殴りかかる。
が、元々ゼロGFの攻撃力が低いせいか、王蛇はあえてその攻撃を受けると同時にゼロGFの腕を掴み、拘束してしまう。
「やっと変身したか…だが……弱いなぁ…?」
「!しまった…っ!」
「殴るならもっと強く殴れよ…!」
「ぐぅ…!?」
『ROOM VENT』
王蛇はゼロGFを蹴り飛ばすと同時にカードを一枚抜き取り、体勢を建て直させる前に装填する。
しかしまたもや周りに何の変化も起こらず、ゼロGFはよりいっそう警戒を強める……
……だが
「…おせぇよ!!」
「!?ぐわぁ!!?」
なんと、いつの間にか王蛇はゼロGFの後ろに立っており、しかもゼロGFが気付く前に強烈な蹴りを噛ましていた。
―――うそ、なんでグリーンフォームの方が速くのに…あっちが速く…!
ゼロGFは何が起こったかわからないまま軽く吹っ飛ばされつつも、素早く体勢を建て直し、再度攻撃を仕掛けようとした瞬間……何故か"動きが重く感じていた"。
(…!?なん、で……うご、きが…鈍い、の……!もしかして、これ、も…)
「…ちんたらしてるんじゃねぇよ!」
「ぐ、はぁ!?」
ゼロGFは先程王蛇が使用したカードの効果だと考えるが、そうしてる間に王蛇は接近し、今度は地面に叩きつけていた。
「ぐ、ぅ……もしかし、て……【素早さが逆転】している…?」
「正解だ……次いでに道具も使えねぇ、よ!!」
「がはっ!?」
「今のカードも、戦極が作ったやつだ…もっとも、俺も武器は使えねぇがな…」
王蛇はゼロGFを踏みつけながら告げる。
どうやら先程のカードも、一定の範囲内に、素早さが逆転する機能と、道具を使えなくするという機能がついた特殊な空間を作るのだろう……
本来王蛇よりも明らかに速いゼロGFが、王蛇より急激に素早さの差がついたのは、その空間の作用が原因だろう……
そう思ったゼロGFは「だったら」と一番動きが遅いブルーフォームにフォームチェンジしようとする。
だが……僅かな隙間からブルーフォームへのボタンを押してもゼロドライバーはなんの反応がなく、ゼロGFは「なんで!?」と叫ぶ。
「なん、で…ドライバーが反応しない、の……!」
「言っただろ……【道具は使えない】、ってな……そしてそのベルトも所詮【道具】なのは代わりない…」
「!」
「…さて、そろそろお寝んねの時間はやめろ……これ見てさっさと起き上がれ」
王蛇はまたもやベノスネーカーに合図を送ると、ベノスネーカーは再び子供たちを睨み付ける。
子供たちが恐怖に怯える最中、ベノスネーカーが一人の女の子に狙いを定め、口を開けて襲いかかる。
女の子は逃げる間もなくベノスネーカーに食べられてしまい、それを見たリンはさらに絶叫していた。
「いやぁぁぁぁぁぁぁ!!?ウェンディーンがぁぁぁぁぁぁ!!?」
「なっ…やめて!!子供たちを襲うのは!!」
「はっ…だったらもっと本気で戦え……よ!」
「が、はっ…!」
王蛇はゼロGFを蹴飛ばし、そこから更に首もとを掴むと、壁を突き破るように投げ飛ばす。
そのまま壁を突き抜けていったゼロGFは転がり落ちながら、ふらふらと立ち上がる。
それを見ながら歩いてくる王蛇は、仮面の裏で舌打ちしていた。
「…イライラする……あのカードを使わなければよかったかもな…」
(っ…動きが鈍いせいで……思うように反撃が…!)
「…まぁいい。後1分もすりゃあ、カードの効果も切れる。それまでの間は…痛め付けてでもおくか」
外に出てきた王蛇はゼロGFの腕を掴むと、そのまま後ろへ投げ飛ばす。
そして地面に転げ落ちたゼロGFに追い討ちをかけるように、その場でゼロGFを足蹴りをしていた。
そして何度か蹴りを入れると、強く踏みつけ始め、更にカードを一枚抜き取っていた。
「…そろそろ時間だ……次はこれだ…」
『SWING VENT』
「おらよぉ…!!」
「ひぎっ!?」
どうやらルームベントの効果が切れたのか、王蛇は抜き取ったカードを装填する。
するとどこからか鞭のようなもの―――"エビルウィップ"を呼び出し、それを手に取ると同時にゼロGFに攻撃していた。
するとゼロGFは今まであげていた声とは少し違う、悲鳴に近い声を出し、何故かその場から動かなくなってしまう。
「い、いや……鞭で打たないで…!」
「?よくわからねぇが……ガキどもが死んでもいいんだな?」
「そ、それは…っ!」
王蛇はエビルウィップを構えながら、子供たちの方を歩き出し、ゼロGFはホワイトフォームになって阻止しようとする。
だがダメージが蓄積しているゼロHFの攻撃がまともに当たるはずがなく、王蛇はそれを回避すると同時に背後からエビルウィップを当ててくる。
「ひんっ!?」
「…なんでか知らんが、判断力も鈍ってきているな……仕方ねぇ、また一人食わせるか…」
「や、やめ…ひっ!」
王蛇を止めようとゼロHFが立ち上がろうとするが、再び鞭で体を打たれると、またもやその場で怯えてしまう。
それを見た王蛇はつまらなく感じたのか、エビルウィップをその辺に投げ捨てながら、ベノスネーカーに再び合図を送る。
そしてベノスネーカーは、なんとか逃げ出そうとする男の子に狙いを定め、再び口を開いて襲い掛かる。
その男の子はベノスネーカーに直接丸呑みにされなかったものの、噛まれたことにより激痛が走り、その場で悲痛な叫び声をあげていた。
「ひ、ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!?」
「いや…やめて!ラクスを離して…っあぁ!?」
「り、リンちゃ…っ!」
「…面倒だ。もう一人やれ。一番小さいやつをだ」
「い、いや…ぁああぁぁ!!?」
「もうやめてぇ!!子供たちに手を出さないでぇぇぇぇぇ!!」
次々とベノスネーカーに襲われる子供たちを見たリンは耐え切れなくなったのか、泣きながら王蛇に懇願する。
しかし王蛇はそれを承諾せず、目障りだと思ったのか、今度はリンを襲わせようとする。
だが、これ以上させまいとゼロHFはオーディンマグナムを構えて発砲し、王蛇に直撃していた。
と同時に王蛇が足を離し、すぐさまゼロHFはその場から退避していた。
「ぐ、ぅぅ!」
「はぁっ、はぁっ……まだ…終わってません…!!」
『ムラサキ シデン、デゴザイマス』
ゼロはパープルフォームにフォームチェンジすると、瞬間移動で王蛇の背後に回り込み、ベルゼスナイパーのフォアエンド部分に付いてる刃で攻撃する。
それに怯んだ王蛇を見たゼロPFは、再び瞬間移動を行い、ベノスネーカーに捕らわれている子供たちを救出していた。
その間に召喚されていた両手がベノスネーカーを抑え込み、ゼロPFは子供たちに無事かどうかを確認していた。
「…ごめんなさい、遅くなってしまって…怖かったでしょ……?」
「お、おねぇ、ちゃ……!怖かったよぉ…!」
「「「うわぁぁぁぁぁぁぁん!!!」」」
(っ……私が早く、あいつを倒せていれば……!!)
「…ねぇ、リンおねぇちゃん……ラクスたち、うごかなくなった……」
「…ぇ」
近くにいた子供の一人が、気まずそうにリンに告げる。
それを聞いたリンは一瞬だけ理解できず、ゼロPFは先程噛まれた子供たちを見る。
するとその子供たちは何故か倒れたままで、それを見ただけで、その子供たちが既に息をしていないと理解した。
それを知ったゼロPFはどういう事かと思い、息をしていない子供たちの体を調べてみる。
先程腕を思い切り噛まれていたとはいえ、見たところ出血死とは少し違っていた。
「…まさか……!」
「あぁ…お前が考えてるように、俺の契約モンスターは【毒】をもっているんだよ…」
「ど、く……?」
ゼロPFがもしやと思ったと同時に、王蛇から真実を告げられ、リンの顔色が青ざめてくる。
そしてゆっくりと、死んでしまった子供たちの下に歩み寄り、死体を揺すっていた。
「…ねぇ、起きてよ…ラクス…リサナ……ねぇったら……!」
「無駄だ…そいつらはもう、死んでいる……心配するな…今すぐお前たちも……」
「―――うぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!」
王蛇が最後まで言いかけた途端、ゼロPFが瞬間移動で接近し、雄たけびを上げながら切りかかる。
しかし王蛇はいつの間にか手に持っていたカードを装填しており、音声が発せられると同時に、ゼロPFの持つベルゼスナイパーが手から消え、何故か"王蛇の手元に"それが渡っていた。
ゼロPFは何が起きたのかと思うが、それにより攻撃は空振りしてしまい、そのまま奪われたベルゼスナイパーで攻撃されていた。
『STEEL VENT』
「な!武器を奪われ…きゃぁ!?」
「…ちっ、期待するほどじゃなかったか……だったらもう……終いだな…」
王蛇はゼロPFを見てそう告げると、デッキから一枚、カードを取り出す。
そしてそれを構えたと同時に、紫色の霧のようなものが漂い始め、王蛇の体を包み込んでいく。
すると彼の持つ牙召杖ベノバイザーが突然姿を変え、より神々しさを感じるものへと変化していた。
そして変化した牙召杖ベノバイザー……"牙召杖ベノバイザーツバイ"にカードを装填する。
『SURVIVE』
その音声が鳴り響くと同時に、紫の霧が王蛇を中心に強く渦巻き始める。
それを見たゼロPFは嫌な予感がし、瞬間移動で近づくが、渦の勢いのほうが強く、そのまま吹き飛ばされていた。
そして霧が晴れると、そこには姿が変わった王蛇がいた。
その見た目は銀色のラインが金に変わり、胸の装甲も先程よりも少し分厚く、更には顔のマスクの頂点にVに似た角のようなものが取り付けられている。
更に足の踵には鋭く尖った刃物のようなものが取り付けられており、全体の紫はより鮮やかで、それでいて禍々しさを放つ姿になっていた。
…王蛇サバイブと呼ばれる姿になった王蛇は、再びカードを一枚取り出し、装填する。
『SWORD VENT』
すると背後にいるベノスネーカーも姿を変えていき、先程より一回り大きく、体表が鮫肌のように鋭く、そして顔のエラのような部分から棘のようなものが出現した姿……"ベノサーペンダー"になっていた。
そしてベノサーベンダーが尻尾を振ると、ベノサーペンダーから剣のようなものが飛んでいき、王蛇SVはそれをキャッチする。
その剣の見た目は刀身が大きく、それでいて幅が剣の異様に平べったいという、奇妙な形をしていた。
王蛇SVはその剣を構えると……ゼロPFと距離がかなり離れているのにもかかわらず、その剣を振りかざしていた。
当然距離的に届くはずがない……そう思った瞬間だった。
王蛇SVの持つ剣は途中で刀身から"別の刀身"が現れ、更にその刀身からも別の刀身が出てきており、あっという間にゼロPFの目前まで迫っていた。
ゼロPFはそれを見て驚き、急いで交わそうとするが、後ろにいる子供たちの存在を思い出し、あえてその刀身を受ける。
が、そこから更に刀身が現れ続け、最終的にはゼロPFの体に纏わり付いていた。
当然刃に体が触れているためゼロPFは傷つき、痛みを堪えながら王蛇SVの方を見る。
「っ…仕込み刃の武器だったなんて…」
「はっ…この武器はおもしれぇ……おらよぉ!!」
「!がぁぁぁぁ!!」
王蛇SVは手に持つ剣………"ベノスライサー"を後ろに引く。
すると巻きつけられた刃が体を刻んでいくように戻されていき、刃に触れているゼロPFは計り知れないほどのダメージを受けていた。
その刃の鋭さはかなりのもので、元々防御力の低いパープルフォームの装甲やスーツは、ボロボロになっており、彼女の皮膚が見え隠れしているほど…
ゼロPFはその場で膝をつき、なんとかその場で踏みとどまる……が、ベノサーベンダーを抑えていた両手が彼女の元まで吹き飛ばされてきていた。
それを見たゼロPFは慌てて後ろを振り向くと、既にベノサーベンダーは子供たちの所におり、ゼロPFは急いでそれを止めようとするも、王蛇SVに背後から攻撃されていた。
「余所見をするんじゃねぇ、よ!」
「が、ああぁぁ!!?」
「お姉ちゃん!!」
『シャァァァァァ…!』
「!リンおねえちゃんあぶない!!」
手も足も出ないゼロPFを見たリンが叫ぶと同時に、ベノサーベンダーが彼女に襲い掛かる。
だがそれを見た子供の一人が、小さい体で彼女を全力で突き飛ばし……代わりにベノサーベンダーに食べられてしまっていた。
それを見たリンはその場で泣き叫ぶ。
「グレイ…シー……いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
「ぐっ…もう、やめ……」
「はっ……やめるかよ…」
王蛇SVはベノバイザーツバイを横向きに構えると、杖の持ち手より下の部分を握り、ゆっくりと横に動かす。
すると中から刀身のようなものが現れ、鞘を引き抜くと、その刀身をゼロPFに突き刺していた。
すると突き刺された部分からはスーツが少しずつ解け始め、そのまま腹部を貫かれた彼女からは血が滲み出し始める。
同時に彼女の体に異変が起こり、体中に何かが回り込むような感覚に襲われていた。
「が、ぐ…何かが…私の中を…!」
「毒さ。この刃物には、生き物には強弱を選べる毒を……服や木、岩とかのようなものは酸を発するんだとよ……今お前に流し込んでるのは、弱いが人を殺せる程度の毒だ……回るのは早い上に、体を痺れさせることもできる。……死ぬまでの間、あいつらが一人一人死ぬところ、見ていけよ…」
王蛇はそう言って刀身を引き抜くと、ゼロPFの体から血が大量に噴き出し始める。
ゼロPFは壮絶な痛みに悲鳴を上げ、その場で苦しんでいた。
そうしている間にベノサーペンダーは次々とリン以外の子供たちに襲い掛かり、リンはそれをただ、涙を流しながら見ているだけだった……
「あ、ぁ……ナツ…ルーシア……シャル……みんな…みんな……………ははっ、ははは、はははははははははははは……!」
「っ……リン、ちゃ……」
遂には耐え切れなくなったのか、リンの精神は崩壊し、終いには笑い始めていた。
しかしその笑いは機械的で、彼女の瞳からは、未だに涙が流れていた。
それを見たゼロPFは歯を食いしばりながら、王蛇SVを睨み付ける。
しかし王蛇SVはそれに気付いておらず、目の前で機械的な笑いをしているリンの元へ歩み寄っていく。
…恐らく、最後は彼自身の手で、その命を潰す気なのだろう……
やめろ…
それ以上はやめろ……
もう充分でしょ……これ以上はやめて……
ゼロPFは心の中でそう叫ぶが、リンの元までたどり着いた王蛇SVは、首元を掴み、ベノスライサーを構える。
「はははっ、ははははははは……」
「…一思いに殺すか……それともバラバラにしながら殺すか……試しに腕を一本…!」
王蛇SVはそう言ってベノスライサーを彼女の左腕に構える。
そして……そのまま振り下ろし、切断していた。
しかし彼女は痛みを感じていないのか、未だに笑ったまま……
恐らく精神的なダメージが強いのだろう……それを知った王蛇SVはつまらなそうな顔をする。
「…ちっ、ぶっ壊れすぎてまともに痛みすら感じてねぇな……仕方ない、このまま」
「―――や、め、ろぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」
「!…ほぉう……まだ立てるとはなぁ…!」
王蛇SVがベノスライサーをリンの首元に構え、そのまま切り落とそうとした瞬間、背後から雄たけびに近い声が聞こえる。
王蛇SVは驚き、後ろを振り向くと………今までのダメージと、毒の影響で動くことすらできなかったゼロPFが、立ち上がっていたのだ。
しかしその体はふらついており、今にも倒れそうになっていた。
が、彼女は構わずブルーフォームにフォームチェンジし、ボロボロの体で王蛇SVに向かって走り出す。
それを見た王蛇SVは、リンをその辺に投げ捨て、同じようにゼロBFに向かって走り出していた。
「…やっと面白くなってきたじゃねぇか!!」
「うぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!」
ゼロBFは背中のアームで殴りかかるが、王蛇SVはそれを軽々と交わし、カウンターで切り裂く。
もろに攻撃を受けたゼロBFだが、それでも怯まず王蛇SVに殴りかかっていた。
しかしその攻撃はとても安直で、どれも総てかわされてしまい、何度も反撃をもらっていた。
やがて攻撃の速度が遅くなっていき、遂には体が限界を向かえたのか、強制的に変身を解除され、そのまま零は倒れてしまう。
「ぁ…ぁぁ……」
「…ちっ、毒が完全に回っているな……もうじき死ぬのは確定だとして、正直つまらないことばかりだったぜ……」
王蛇SVはそう呟きながら、せめて止めは自分で刺そうと思い、ベノスライサーを構えようと………した瞬間だった。
突然背後から異常すぎる殺気を感じ、王蛇SVはゆっくりと振り返る。
そこにいたのは……登竜翔だった。
いつの間にここまで戻ってきたのか……王蛇SVは分からずにいたが、彼がここにいるということは、草加が失敗、あるいは早期撤退をしたのだろうと王蛇SVは考える。
が、正直彼にとって、そんなものはどうでもよかった………彼のイライラを払える、充分な相手が、ここに来たのだから………
「…登竜翔……貴様がここに戻ってきたということは、草加は失敗した、ということか……だが、俺は目的は果たしたし、何よりお前が」
「―――テメェがやったのか」
突然王蛇SVの言葉を遮り、翔が彼に尋ねる。
…その瞳は、ギラギラと輝いており、その目を見るだけで、物凄い殺気を放っているということが感じられる。
王蛇SVはそれを聞き、「そうだ」と答える。
それを聞いた翔は「…そうか…」とだけ告げ、ゆっくりとディブレイクドライバーを構える。
……その際、ドライバーからカチリと、何かの音が鳴りながら………
「……テメェに死刑宣告だ………"5秒"で終わらせる………変身」
『カメン・ライド ディ・ブレイカー!!』
ベルトを巻きつけてカードを装填し、翔はディブレイカーに変身する。
………だが、その変身は、今までの変身と、何処か少し、違っていた。
それはディブレイカーへの変身が完了した瞬間だった……ディブレイカーからフォトンブラッド………否、それ以上の強さで、真っ赤な光が発せられていた。
王蛇SVは特にその事に関して気にしなかったが、5秒で終わらせる、という言葉に興味を感じたのか、彼を挑発する。
「はっ……5秒で終わらせるだと……?面白い……やってみ………………」
王蛇SVが最後まで言いかけた、瞬間だった。
突然王蛇SVの変身が解け、その上近くにいたベノサーペンダーが、バラバラになって崩れ去っていた。
同時に変身が解けた浅倉の体には、無数の切り傷や、体を撃ち抜かれたような後が、いくつも存在している………
―――何が、起きた……?
浅倉はそう思いながら、地面に倒れる。
そのまま体をピクピクするが、数秒後………息をしなくなっていた。
……大量の血でできた、血溜まりの上で………
その背後には、いつの間にか変身を解いていた翔がいた。
………その腕に、先程の戦闘で傷つき、辛うじて息をしている零を、抱えながら………
最初からクライマックスで死人が大量発生していくというとんでもない事態になった今回←
今までの話の中で、下手したら翔暴走回よりもえげつないんじゃないのか………!?
というか設定上、明日(12月25日)が零の誕生日でもあるから、色々不吉だよ!!←←
というわけで、前回のラストに登場した浅倉ですが………うん……
もう言えるとしたら、ベノスネーカー使って一人一人子供たちを殺して、零を挑発するって、とんでもなくえぐいことするなとしか……
でも戦おうとしない相手に対する行動としては間違ってないのがなんとも言えない始末………
お陰で零の心はボドボドだよ!それ以上にリンちゃんの心が逝ッテイーヨしたけどな!!!←
今回王蛇が使ったカード『ミラーベント』と『ルームベント』は全部、戦極凌馬のせいです。
ミラーモンスターの弱点は、外での活動に限界があることで、反対に龍騎系統のライダーはミラーワールドへ入れる時間が10分にも及ばない(資料によると9分55秒が限界)、そして何より龍騎系統以外のライダーや普通の人間は、ミラーワールドに入るとすぐ消滅してしまう……
その辺を考えた上で、ミラーベントなるものを作製しましたが……鏡がない場所から出てくる時点でチートでしかないし、何より鬼畜過ぎることに←
因みにルームベントの方は、ポケモンの『トリックルーム』と『マジックルーム』が両方発動した状態、と認識して頂けると、とても分かりやすいです。
徹底的に追い詰められ、いたぶられる零ェ……
零の性格上、基本的に普通の人間……例えライダー相手でも、あまり本気は出せないんですよね……下手したら殺してしまいますし。
本気になった時は恐ろしいですが、基本的にそうなるのは、まずないですね。
そしてエビルウィップに怯える理由……これは何処かで明かす予定です。
……作品問わずに、ね?
もはや惨劇しか起きてない状態……普通こんなんされたら、誰だって泣き叫ぶよ……翔みたいなやつはともかく。
王蛇SVの使った武器『ベノスライサー』は、犬夜叉の蛇骨というキャラの武器を参考にしています。
切れ味はとりあえず凶悪レベルなので、操るのに失敗したら、自分自身が傷つきますが。
他にもストライク・ガード・ストレンジといったカードも追加され、ついでに残り2体の契約モンスターのカード、並びにスチールベントも使えます。
後、踵の棘みたいなのは、完全にギルスのあれですねー。王蛇に似合うかと思って付属してみました。
…あ、因みにサバイブ時のガードベント、ガイを召喚するとかじゃないですからね……?←
遂に精神崩壊してしまったリンちゃん……いや、本当にこればかりは仕方ないよ、うん……
一応子供たちの中で生き残ったのは、彼女だけです。
次回で精神がどうなってるかどうかと言われたら………うん………
何とか気力を振り絞るも、蓄積されたダメージと毒のせいでまともに戦えずに倒れてしまった零……
これはもう、彼女のほうもメンタルが崩壊しかけない状態です。
いや、何もできずにただやられて、その上目の前で子供たちが殺されていく、なんてされてるので、当然精神的に痛いですよ…しかもエルティナと約束したし……
そしてやっと現場に駆けつけた翔。
因みにこの時の時間は
翔たち城に攻め込むと同時に浅倉村に進入→翔城に潜入、カリナのいる所まで全力ダッシュしてる頃には、さらっと村人たち殺される→翔がカリナと遭遇し話を聞き始めると同時に浅倉が零のいる場所に入り、変身する→草加現われ、説明と同時に零変身→翔と草加の戦闘(ざっと5分弱)が始まった頃、零ボコられる→翔たちの方の戦闘終了、草加に本当の目的を知らされている頃、王蛇SV光臨、零を動けなくする→事実を知った翔が全力でスラムに戻る(ざっと3分間)、その間に浅倉がリンちゃんの左腕切断、そして零が力を振り絞って反撃、しかし限界により変身解除して倒れる→浅倉が止めを刺そうとした瞬間、翔戻ってくる
……ざっと20分近くの間でこんな出来事が起きて……というか翔が異常に早すぎる件について。
翔の死刑宣告後のディブレイカーによる瞬殺……本当に何が起きたのか、そう言わんばかりの超速戦だった件について。
何がどうなっているかは、いずれ分かります。
そしてさらっと殺された浅倉ェ……
…
……
………ネタバレしますと、次回、浅倉は復活します←
そして次回……今回の内容並みに鬱展開になる予定………