仮面ライダーディブレイカー~紅の破壊者~ 作:火野荒シオンLv.X-ビリオン
翔「うるせぇ!!」
シオン「いや、だってテンションあげたいもん……これ投稿する次の日から仕事の研修で2泊3日止まりにいくし…」
翔「おい待てどういうことだそれ」
シオン「というわけで、今回の文章はいつもよりさらに酷くなってると思いますが、是非読んでいってください。それでは、後編をどうぞー!!」
翔「おいこら無視すんな作者ァァァァ!!」
突如としてデパート店内に現れた、拳銃を持った男……それを見た人々は怯えた様子でその男を見ており、亜里沙も震えながら零に話しかけていた。
「ね、ねぇ…なんかあの男……本物の拳銃持っているんだけど……これってリアルで…」
「強盗、でしょうか…とりあえず、下手に動いたら発砲してくるかも……ここはあの男の言う通り、大人しくしときましょう…!」
零の言葉に亜里沙はコクコクと静かに頷き、零は男を見て静かに考える。
(この状況を抜け出すには、私がどうにかするか……他の人が警察に連絡してもらうのを待つか……でもそれだと、警察が来るまでにどれだけ時間が掛かるか……だけど私が動いても、他の人が危険に晒される……っ…どうすれば……!!)
零は必死にどうするか考えるが、そうしている間に男はゆっくりと、近くにいた女性に近づく。
そしてその女性を無理矢理立たせると、頭に拳銃を突き立てていた。
女性は軽く悲鳴を漏らすが、男は気にせずに、声を張り上げる。
「聞け!お前ら!!もし警察を呼んだら!!」
「ひぃ!?」
「今この場にいるお前ら全員皆殺しだ!!分かったか!?」
男はそう言いながら、じりじりと女性を連れながら後退していく。
それを聞いた人々はざわめき出し、流石に自分が動かないといけないと零は思い、動こうと……して、足が止まっていた。
(―――もし、失敗したら……?あの女性が殺される…?それとも、他の人が撃たれる……?)
足を止めてしまった零は、思わず失敗したことを脳裏に思い浮かべてしまう。
そして脳裏に思い浮かんだことが、今その場で起きてしまったら……零は思わずそんなことを思い浮かべてしまい、足が動かなくなってしまっていた。
(ちょ…お姉ちゃん!今動こうとするのは不味いって!!)
「…?おいそこの奴!!その態勢はなんだ!?まさかこっそり近づいて俺を捕らえようだなんて考えてねぇだろうなぁ…!?」
「っ…しまった……」
すると男の方が零の存在に気付き、こちらに銃口を向ける。
零はしくじったと考え、大人しくその場にしゃがみ込む。
と、男が彼女の居るほうをじっと見つめており、いったいどうしたのだろうと周りの者たちがざわめき出す。
それと同時に男が「おい」と彼女の居る方向へ向かって声を出す。
「…そこのガキ。今からお前を人質にするからこっち来い」
「!?」
「え、っと……私…?」
「テメェだっつてんだろ!早くしろ!!」
男はどうやら亜里沙に目をつけたらしく、今居る人質よりも扱いやすいとでも思ったのか、彼女にこちらに来るよう叫ぶ。
一方の亜里沙は自分のことなのかと尋ねるが、男はさっさと来るように叫び、亜里沙は大人しくそれに従おうとする。
それを見た零は彼女を引き止めようとするが、亜里沙は彼女の方を向いて告げていた。
「!駄目、行っちゃ!!」
「…大丈夫だから、心配しないでよ……だって………」
「…ぇ……」
「おいガキィ!さっさとこっちに来い!!来ないとこの女どころか他の奴らも殺すぞ!!」
零に向けて何か小声で呟く亜里沙だが、男が怒鳴りながら呼んでるのを見て、せっせと男の前まで歩んでいく。
男はニヤリと笑うと、片方の腕で拘束していた女性を強引に放し、亜里沙の腕を無理矢理掴んでいた。
その際彼女に「抵抗しようとしたら殺す」と念を入れるかのごとく、耳打ちをしており、亜里沙は苦虫を噛み締めたような顔をする。
一方の零は、先程亜里沙に言われた言葉を思い出していた。
(……『アンタが私を助け出すのを、信じてるから』……なんで、私なんかに………)
~~~
一方その頃、当の事件が起きているデパートの前では、大量のパトカーが周囲を囲っていた。
どうやら店内で誰かが密かに通報したらしく、それを聞いて駆けつけたのだろう……
客の大半は犯人がその場に居ないと言うのもあり建物から抜け出しており、現在付近に居るのは警察関係の者たちのみだった。
しかし警察は到着し、周囲を包囲したものの、誰も建物の中に突入しようとする素振りを見せていなかった。
『こちらA班、一階の非常用通路の出口に到着!』
『B班も二階の非常用通路出口に到着!突入の許可を!!』
「待て!まだ突入するな!犯人は例の連続殺人犯…だから大勢の人々が人質として盾にされてる筈だ!」
『しかし、相手は一人なんでしょう!?ならば一気に突入して……』
「駄目だ!人質の身の安全が優先される!」
「警部!たった今店内で犯人に見つからずに情報を送ってくる人々の情報によりますと、今度は子供を人質に取ったらしいです!!そのままじりじりと一階の非常用通路のあるルートへ向かってる模様!!」
「くっ…!人質を盾に強行突破する気か…!」
警察の者たちは犯人が強行突破すると聞き、頭を悩ませる。
…その場で無理矢理突入すれば、抑えられるのは高いだろう……
だが大型のデパートであるために、建物もかなり広い……犯人の下まで行く間に犯人に気付かれてしまう可能性もあり、下手したら犯人が人々を殺してしまう可能性がある。
つまり下手に動けば、市民が命の危機に晒される可能性が高くなるのだ。
幸い犯人が単独犯であるのが分かりきっているため行動しやすいのだが、人質の存在を考えると、こちらが行動する前に牽制されてしまうこともありえる……
「警部、A班以外を突入させ、気付かれないように犯人に接近させるべきでは…」
「その手もある、が……複数人だと見つかる可能性が……しかし少数では……」
警部と呼ばれている者はどのようにして状況を対処すべきか、頭を抱えて考えている。
そして………その光景を、ある男が見ていた。
(…警察、無能過ぎるにもほどがあるだろ……つーか煙幕とかで視界を遮るとか、そんな選択肢はねぇのかよ……)
その男の正体は翔で、何故この場に居るのかと言うと、単純に夕飯の買出しに来ていただけなのだ。
だが、目的地は見て分かるように警察に包囲されている状態……しかも一向に事が進んでないため、彼は軽くイライラしていた。
「ったく、コウマたちが帰った後に夜飯の買出しに来てみれば……どんだけ神経質なんだよあの警察どもは……今更他のとこに行くのもめんどくせぇし………」
翔は頭を掻き毟りながら、辺りを見回す。
そして警察が包囲している場所で僅かに開いてる空間を見つけると、気配を悟らせないかのごとく、その隙間を掻い潜って行く……そして誰にも気付かれないまま、堂々と正面からデパートへ入っていってしまった。
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人質を亜里沙に変えた犯人の男は、拳銃を振り回しながら客たちを牽制し、ゆっくりと後退していく。
すると男は何かに気付いたのか、舌打ちをしていた。
「チッ…もうサツが来やがったのか……追い詰められてたとはいえ、ここに来たのは間違いだったか…まぁいい。ガキを人質にとれば問題ねぇ……!」
「ちょっと!乱暴しないでよ!」
「うるせぇガキ!!テメェ立場わかってんのか!?殺されたくねぇならおとなしくしとけ!」
「っ…!」
乱暴に扱われるのに嫌気が指した亜里沙は叫ぶが、男は拳銃の銃口を彼女の額に当てる。
亜里沙はそれを見て唇を噛み締め、男は再度どこかへ逃げるかのごとく、ゆっくりと通路を通っていく。
回りの人々は、ただその光景を呆然と見過ごしているだけ……そして零に関しては、じっと亜里沙を見て、悩んでいた。
(…亜里沙ちゃん……なんで私にあんなことを……現に今だって、こうして見つめることだけしか、出来てないのに……)
零は先程亜里沙に言われた言葉を思い出す。
それは明らかに、彼女自身に助けを求めている証拠……しかし零は、それを理解しててなお、動けずにいた…
先程も行動を起こそうとして立ち止まってしまい、より男の警戒心を強めてしまった上に、亜里沙が人質にされる要因を作ってしまった……彼女の中で、その事が【枷】になっていた。
(なんで私みたいな、心の弱い人間に、任せられるの……安全に助けられる自信なんて、全くないのに…)
零が頭の中で、ずっと同じような考えを繰り返してる間に、男は道を曲がろうとする。
男が曲がる方角は、非常用出口が設けられている場所があるところ……男はそこから逃げ出そうとしているのだろう……
しかし零はそれでも動けず、そのまま男が通路を曲がろうと……
「―――いい加減助けに来なさいよ!!こんの大馬鹿!!」
した瞬間、亜里沙が男の腕の中で暴れながら、突然大声を張り上げて叫び出していた。
男はおろか客の人々も驚き、零に至っては顔を青ざめていた。
それもそうだ……今の言葉は、自分に向けられているものだとはっきりわかっている……しかもそれが、自分の命が危険に晒されているのに、だ。
男は亜里沙を抑えようと脅し始めるが、亜里沙は構わず、零に向けて叫ぶ。
「こらガキっ!?暴れんじゃねぇ!撃ち殺されてぇのか!!」
「アンタ、いつまでそうやってマイナスなイメージとか引き摺ってんのよ!!そんなんだから出来ることも出来なくなるんでしょ!!昔のこと引き摺って!それを言い訳に今出来ることもやらないで!!そんなんだから動こうとしないでしょ!!過去の出来事なんか今は忘れて!今やるべきことをしなさいよ!!!」
「…亜里沙……ちゃん……、…!」
亜里沙の言葉を聞いた零は、自身の意思でもなく、何故か勝手に立ち上がろうとしているのに気が付く。
―――そうだ……過去の出来事を、勝手に重ねて考えちゃ駄目だ………
零が完全に立ち上がろうとすると同時に、男は暴れていた亜里沙を強引に地面に叩きつける。
亜里沙は咄嗟に受け身をとって後ろを振り向いた瞬間……男が銃口を、彼女の額に押し当てていた。
「!」
「こんの糞ガキが…!後で殺そうと思ったがこの場でぶっ殺してやる!!」
男は我慢の限界が来ていたのか、荒々しい口調がより強くなりながら、引き金を引こうとする。
それを見た亜里沙は小さく悲鳴をあげ、思わず目を瞑っていた。
そして………
―――パァン
「………?…!」
辺り一面に、乾いた音が響き渡る……しかし、その音を出したもの……それが向けられていた少女は………身に何も起きていなかった。
亜里沙は不思議に思い、ゆっくり目を開くと………亜里沙の目の前には、拳銃を持った男の腕を上に向け、抑え込んでいる零がいた。
零は男を抑えながら、ゆっくりと彼女の方を見る。
「…ありがとう、亜里沙ちゃん……貴女の言葉で、悩みも今だけは吹っ飛んだよ…」
「…ははっ、今だけって……そりゃあないでしょ……」
「っ…んの糞野郎がぁぁぁ!」
零の言葉に亜里沙が苦笑していると、男が空いてる腕をポケットに突っ込ませ、何かを取り出す。
男が取り出したものはカッターナイフで、男は刃を剥き出しにさせると、零の腕に突き刺していた。
零は一瞬、痛みのあまり男の腕を離しそうになるが、痛みをこらえ、腕を握る力を強めていた。
しかし彼女の腕からは血がツー……と流れており、それを見た亜里沙は顔を青ざめる。
「っ…!」
「!血…腕から血が……!」
「大丈夫…これぐらい、あの時に比べれば…」
「糞がっ!離しやがれ!!次は頭を刺すぞゴルァ!!!」
「っ…誰が……離す、もんか…!」
「ぐ、があああああ!くたばりやがれぇぇぇぇぇぇぇ!!」
なおも抵抗する零を前に、頭に血が上った男は、彼女の腕に刺したカッターナイフを抜く。
そして今度は頭上に狙いを定め
「とぅ」
「がっ、は、ぁ……」
……た瞬間、突如として誰かが男の顔に飛び蹴りをいれ、男はその場で倒れてしまっていた。
突然の出来事に零が驚いていると、男を蹴り飛ばした人物―――翔を見て驚いていた。
「!?りりり、リーダー!!?」
「ん、やっぱ零だったのか……見覚えのある顔が拳銃持ったそこのやつ抑えてるのが見えたからもしかしてと思ったら……お前こんなところでなにしてんだ?」
「それはこっちの台詞ですよ!?なんでリーダーがこんなところにいるんですか!?」
「…?お前、なんか朝までの雰囲気と違ってね?」
「人の話を聞いてくださいよ!?」
零はパニクりながら翔に向かって叫ぶが、翔は気にせず男の握ってた拳銃とカッターナイフを奪い取る。
そして先程から気になってたのか、亜里沙の方を向いて、彼女を指差して零に尋ねていた。
「…ところでこのガキは?」
「あ、えっと、彼女は……?亜里沙ちゃん…?」
「…腕、こんなに血を流してるのに…大丈夫なの……?」
「……うん…こんな傷、誰かを守るためなら、どうってことないよ…だから安心して、ね……?ほら…泣かないの……」
先程から血がダラリと流れているのに平気なのかと感じていたのだろうか……亜里沙は零にそう尋ねるが、零は大丈夫と伝えながら、彼女の頭を優しく撫でる。
しかし亜里沙は、自分を守るために傷付いた零に罪悪感を感じていたのか、その場で泣き出していた……
~~~
その後、人質にされていた客たちが一斉に警察に通報したのか、警察官や武装をした警察部隊たちが現れ、男を逮捕した。
その際他のものから話を聞いたのか、警察側が零に感謝状を贈りたいなどと言い出したが、零はそれを必死に断り、ショッピングモールを後にしていた。
翔は買い出しがあるという理由で店内で別れ、彼女は今、亜里沙と共に店の外にいた。
「全く……あの時大声出して私に説教してきたのにはハラハラしたよ…」
「でもそうでもしないと、アンタ動こうとしなかったじゃん…」
「うっ…返す言葉もない……」
今は泣き止んだ亜里沙に言われ、零はトホホとした顔をする。
「…でも、お陰で今は立ち直れたよ……ありがとう、亜里沙ちゃん」
「…だからー、なんで今はとか言うのよ!完全に立ち直りなさいよ!!」
「いやでも、完全に立ち直ったら人として駄目だし……」
二人がそんな会話をしながら話してると、突然二人の前に黒い車が現れ、目の前で止まる。
そして車から出てきたのは……亜里沙の父である、藤二郎だった。
彼を見た亜里沙は驚き、零の後ろに隠れてしまい、零は何がなんだか分からずにいた。
「…無事だったか、バカ娘……」
「…何よクソ親父…もしかして私を殺すためにわざわざアンタが出向いたって訳?」
「えっ、お父さん!?」
「殺したいのは山々だが……今日の出来事を聞いて、その気は失せたわい……亜里沙よ。家に帰ってこい」
「!」
藤二郎は何かを押さえたような話し方をしながら、亜里沙に帰ってくるよう告げてくる。
それを聞いた彼女は一瞬驚くが、それでも零の後ろから出てこようとしない……
それを見た零はため息をつきながら、亜里沙の方を向くと、彼女の耳に小声で呟く。
(…本当は帰りたいんでしょ?そして、自分の思いを伝えたいんでしょ?)
「…」
(大丈夫。面を向き合って、しっかり話せば、きっと聞き入れてくれるよ)
「…、……」
零の言葉を聞いた亜里沙は、渋い顔をしながら、藤二郎の前に出る。
そして……その場で頭を大きく下げていた。
「…大事にしていた骨董品を壊してごめんなさい!」
「…」
「…あの時は、ついカッとなったのもあるけど……自分の進みたい道を否定されて、無理矢理押し付けられたのが嫌だったから、反抗的になって……本当にごめんなさい!!」
「…」
「…でも、これだけは言わせて……私は、将来はお医者さんになりたい…そして組の皆を……癒していきたいの…だから親父の跡継ぎは出来ない…」
「……そう、か…」
話を聞き終えた藤二郎は、後ろを振り向き、再び車に乗ろうとする。
その際ドアノブに手をかけようとして、一瞬だけ動きを止めると、振り向かぬまま彼女に告げていた。
「…こんなバカ娘、当主にすると組が壊れそうじゃ……だからもう、お前の好きにせい」
「…!」
藤二郎は言い終えると同時に車のドアを開き、奥に乗り込んでいく。
一方の亜里沙はじっと父親の方を見つめている……
そして彼女は、零の方を向かないまま、静かに告げていた…
「…今日は、色々と……ありがとう…」
「…どういたしまして」
~~~
亜里沙たちが去っていって2分後……買い出しが終わったのか、翔が零の元まで歩いてくる。
「…一応立ち直った、と見ていいんだよな?」
「えぇ、まぁ……今回もご迷惑をかけて、すいませんでした…」
「全くだぜ…ったく、面倒事ばっか起こしやがって…!」
「ちょ、リーダー痛い!そこは痛いですって!?…痛いって言ってるでしょうが!!」
「ぐふぉっ!?」
翔は先程零が刺された腕を突っつくが、やり過ぎたのか彼女から思いきり腹部に肘攻撃を受け入れてしまう。
しかも相当深く入り込んだのか、翔は殴られた場所を押さえながら咳き込んでいた。
「げほっ、げほっ!…お前少しは加減しろよ!?」
「リーダーが悪いんですからね!」
「お前っ……ったく、ここで喧嘩するのもあれだし……零、今から異世界に行くぞ」
「…え?」
~~~
とある銀河……その中にある1つの惑星【カルミーナ】……その星のとある場所にて、鎧を着た女性と、片腕だけがない少女が、祈りを捧げるように目を瞑って屈み込んでいた。
鎧を着た女性―――エルティナはゆっくりと目を開くと、片腕がない少女―――リンの方を向く。
「…そろそろ戻ろう」
「…うん……!」
「…!貴様は……!」
二人は立ち上がり、その場から去ろうと後ろを振り向くと、突然驚いた表情をしていた。
彼女たちの視線の先にいたのは………零だ。
彼女を見たリンは驚き、エルティナに至っては怒りを露にしながら剣を引き抜く。
「おねぇ、ちゃん……」
「貴様!何しにきた!!」
「…貴女たちに、謝りに来ました…」
「なん、だと……!」
零の言葉にエルティナは驚くが、零は構わず頭を深く下げる。
「……私に力が足りなかったせいで、子供たちを……そしてリンちゃんを……許してもらうつもりはありません……けれど…貴女たちに謝らないといけない……だから今、この場で謝らせてもらいます……子供たちを……リンちゃんを守れなくて、ごめんなさい……」
「……お姉ちゃん…」
「…ふざけるな!!あの出来事から1ヵ月経った今、今更謝りに来ただと!ふざけてるのか、貴様!!」
「…その事に関しても、私の心が弱かったせいです。本当にごめんなさい…」
「黙れ!!貴様の話など聞きたくない!去れ!去らぬと今ここで斬り捨てるぞ!!」
零の言葉に対し激怒するエルティナは、引き抜いた剣を構える。
しかし零は顔をあげると………真剣な眼差しで、彼女に告げていた。
「……構いません。私は死ぬ覚悟をしています。斬りたいのなら、斬ってください……殺したいなら、殺してください……貴女がそれで、気を晴らせられるなら」
「…黙れ…」
「私は、一切避けようとしません。だから…」
「…黙れ黙れ黙れぇぇぇぇぇ!!」
零の言葉を遮るように、エルティナは剣を高く掲げると、彼女に向けて振りかざす。
そしてその剣は……彼女の左肩に刺さりながらも、動きを止めていた。
零の肩からは血が滲み出ている……しかし彼女の顔は、斬られているのにも関わらず、先程と変わらぬ表情をしていた。
それを見たエルティナは身体を震わせ、何故だと尋ねる。
「何故、だ…何故貴様は、苦しもうとしない……!斬られているのだぞ…!?」
「…子供たちが殺されたときの…守れなかったときの悔しさや辛さ、痛みとかに比べれば……これぐらいは平気です……例え腕を斬り落とされようと……この場で殺されようと……消させてしまった命の方が、数倍痛いですから……」
静かに告げる零に、彼女の言葉を聞いたエルティナは剣を彼女から抜き取ると、ゆっくりと後退していく…
そして数歩ほど下がると、その場に剣を落とし、地面にへたりこんでいた。
「わ、たし、は……」
「…っ……」
「!お姉ちゃん!!」
と、突然零が前方に倒れそうになり、リンは慌てて彼女を支える。
片腕がないのもあり、大人の体を支えるのにリンは少し苦しそうな顔をするが、ゆっくりとその場に零を下ろす。
「は、ははっ……少し……無理しすぎちゃった…かな…」
「お姉ちゃん…大丈夫、なの…?」
「うん……それよりも、遅くなって……ごめん、ね…辛かったでしょ……?私が、憎かったでしょ…?」
「…ううん……むしろ、お礼を言いたい……助けてくれて、ありが、とう……うぅ…」
「泣かない、でよ…泣かれたら…私、も……っ…」
泣きながら礼を告げるリンにつられてか、零の瞳からも涙が溢れてくる……
その光景を見たエルティナは、ゆっくりと体を起こし……零に向けて、頭を下げていた。
「…すまなかった……総てをお前のせいにして……私は……私、は……」
「…いいん、ですよ……私のせいで、間違い、ないん…ですか、ら……」
「……すまない……本当に……すまない…!」
エルティナもまた、泣きながら己の行った行為に対し、謝罪を続ける……
三人の女たちは、それぞれの思いを胸に、その場で涙を流していた……
その光景を、陰ながら翔は見ていた……
翔はその辺の木にもたれ掛かると、静かに呟く…
「…人の心は、少しいじればすぐ壊れ、どんなに手を加えても、治すには時間が掛かる……だけど治るときには、新たに得るものもある、ってか……零のやつはとりあえず、自分の弱さを見つめ直せる【覚悟】をまた1つ、手に入れたみたいだが……あいつのメンタル考えると、あれだけじゃまだまだ足りないだろうがな…」
翔はため息をつきながら木から離れると、めんどくさそうにしながらも、未だに泣き続けている彼女たちに向かって歩き出していた。